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リヨンの対抗心
フレンチは窓に映る景色を眺めながら、少しぼんやりとしていた。
「フレンチ君、なんだからしくないですね。どうかしたんですか」
リヨンが訊ねると、彼はポーカーフェイスで言った。
「博士とハニーさんが散歩に行ってしまって、少し寂しく感じるんです。どうしてかわかりませんが……」
「それはきっと博士がいないからでしょう」
「!」
彼女のくすりと笑みを浮かべた一言に、彼は耳まで真っ赤になって俯いた。
それを見た彼女は何を思ったのであろうか、彼にこんなことを言った。
「フレンチ君、私達も博士達に対抗して散歩に行きましょう!」
「へ?」
「へ?じゃないですよフレンチ君!私達も負けていられませんよ!」
彼女の意外なハイテンションに驚きながらも、外に出るのも悪くないと考え直し、彼女の散歩に便乗することにした。




