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一石二鳥
「フレンチ君フレンチ君フレンチ君……」
博士は先ほどから、フレンチがハニーと一緒にカラオケに行ったことを嘆いている。そんな彼の感情を冷静に見た上でリヨンは優しい口調で言った。
「博士、別にふたりという訳ではありません。彼らの他にヨハネス君にアップル君、そして保護者の代わりとしてスフレさんが付いています。ですから安心してください」
「でも、この一件でハニーちゃんとフレンチ君の仲が良くなってラブラブになったら――」
「そんな事は作品の都合上あり得ないですよ」
「そうだろうか」
「そうですよ」
彼女の言葉にフラグが立つことはないと感じた彼はほっと胸をなで下ろす。
博士が不安から立ち直ったのを見て、彼女は微笑みを浮かべ、
「どうでしょう。一旦発明を開発する手を休めて気分転換として散歩に行きませんか?」
「それはいいね。もしかするとまた新しい考えが湧いてくるかもしれない」
雇い主の考えを前向きに切り替えることに成功した彼女は、散歩と言う名目でショッピングを楽しむ計画を建てていたことを。




