頼みの綱
ヨハネスとフレンチの仲直りを依頼されたスフレは、常連客の願いを叶えるために行動を開始した。まずはふたりのことをよく知っている上に両方との関係が良好な人物を探し出さねばならない。彼は腕組をして考える。すると彼の脳裏にひとりの人物の姿が思い浮かんできた。
「そうだ!彼に訊いてみれば何か分かるかも知れない」
彼が頼りにした人物は、最近あまり出番がないアップルであった。
早速店長から半日の休暇を許可してもらい、彼はアップルの家へと走り出した。
アップルの家は住宅街の中でもりんごの形ということで特に目立っており、何かと注目を集めていたが、家の中に入るのは彼にとって初めての経験であった。インターホンを押して、応答が出るのを待つ。すると、ドアが開き、目が潰れてしまうほど美しい美少年が現れた。
『これ以上この子を見ていると、俺の目が潰れてしまうかも……』
彼が必死で自分の手で光を抑えているのに気づいた彼は、急いで後光を消した。
明るさが弱まったので、彼はホッとして少年に目をやった。後光が消えたとは言え、その美しさはまるで彫刻と表現した方がぴったりである。アップルはその天使のような顔でニコッと微笑み、ボーイソプラノの声で口を開いた。
「お兄さん、よく来たね。どうしてお兄さんがぼくのところに来たか知っているよ。でも、そのことはぼくのお部屋で話した方がいいかもしれないね」
なぜ自分の考えが分かったのか疑問に思ったスフレであるが、ここは彼の言う通り家の中で話した方がいいと思い、勧められるまま彼の部屋へと向かった。