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食堂での会話

彼らふたりは、食堂へ入った。彼らは向かい合って座り、髑髏は天ぷらそばと牛乳、博士は天ぷらうどんとオレンジジュースを注文した。

注文し終わった後、髑髏は手を組み、目の前の博士を穏やかな表情で見つめ、ゆっくりと口を開いた。


「あなたがフレンチ君に勝ちたい理由は、ハニー君に甘えたいからですね」


「恥ずかしながら、お察しの通りです」


「そうですか……ひとつ、お訊ねしますが、ハニー君に甘えたいのでしたら、フレンチ君と闘う必要はなく、彼に頼んでみてはいかがでしょうか」


彼の意見を聞いた博士は唸って腕を組む、


「でも、それではフレンチ君も同じように彼に頼むのではないでしょうか」


「フフッ……ではどうでしょう、これから彼に癒されたい時は、ふたりでじゃんけんをして順番を決めるのです。そうすれば、無駄な争いをしなくて済みますよ」


「おお、それは素晴らしい名案だ。ご協力感謝しますよ」


「いえ、私は何もやってはいません。ただ、ヒントを与えただけです。あなたはご自分でその答えを見つけだした。ですから、私にお礼を言う必要などありませんよ」


彼は穏やかに微笑み、運ばれてきた天ぷらそばを美味しそうに食べ始めた。


「博士、あなたはフレンチ君の事が好きですね?」


食後の牛乳を飲みながら、髑髏は訊ねた。


「ええ、それがそのようなのです」


「あなたは美少年が大好きで、惚れやすい性格ですから、彼を好きになるのは無理もないお話です。しかしながら、彼を口説き落とすには、相当大変な事でしょう。なぜなら、彼はBLが大嫌いなのです」


「えっ――」


彼の言葉に、博士はハッとして顔を上げる。


「どうして私がそんな事を知っているのかと言いますと、それはひとえに、私が彼の所属しているスターレスリングジムのOBだからです。彼は、ある事がトラウマになり、それが原因で心の中に僅かなながらも闇を抱え込んでいます。それは今のところごく小さなものですが、いつそれが肥大化して暴走するかわかりません。ですから、手遅れになる前に彼の心の闇を解き放ち、彼の心を解放してあげた方が、よりあなたの愛を受け入れやすくなるでしょう。そして彼の闇の原因が何であるか、それは私の口からお話するより、あなたがご自分で彼にお訊ねになった方が効果的です」


「ありがとうございます。闇野さん」


「こんなアドバイスがお役に立てたのでしたら光栄です」


その時、彼の首の髑髏のネックレスが赤く光った。それを確認した彼は、


「どうやら、私の出番が来たようですね。あなたは家に帰ってテレビでも見ていてください。お食事の代金は私がお支払いいたしますので、ご安心ください」


彼は表が金、裏が赤のマントを虚空から出現させて羽織ると、フッと一瞬でどこへともなく消えてしまった。彼は一体どこへ行ってしまったのだろうか。



アメリカはニューヨーク。突如として現れた怪人軍団に、人々は恐怖のどん底に突き落とされていた。助けに来たスターレスリングジムのメンバーも大けがを負い、人々は希望を失ったかに見えた。だがその時、どこからともなく、謎の高笑いが聞こえてきたのだ。


「ダーッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」


そのあまりにも大きな高笑いに、人々は耳を塞ぐ。

怪人軍団も、その声がどこから聞こえてくるのか興味津々であたりを見渡すが、声の主らしき人物はどこにも見当たらない。空耳だろうか?誰もがそう思いかけた刹那、颯爽とマントを翻し、彼が現れたのだ。死神を彷彿とさせる巨大な黄金の鎌を持ち、髑髏のネックレス、黒革のロングコートに黒ブーツ姿の彼こそ、闇野髑髏、その人であった。彼は重傷を負ったスターレスリングジムのメンバーに、ここから離れるように言うと、大勢の警察隊を背後にかくまい、百体以上もの怪人軍団と対峙した。怪人軍団はどこからかマシンガンを取り出して彼に向って撃つ。合計軽く十万発以上の弾丸を食らい、彼は煙の中に包まれた。


「あっけなかったな」


怪人のひとりが呟いたその刹那、悠々とした足取りで彼が煙の中から現れた。

その姿に恐怖した怪人たちは火炎放射や破壊光線などの特殊能力で彼を攻撃するが、彼の歩みは止まる事を知らない。


「バ…化け物!」


ひとりが彼を罵ったとたん、彼は突如静から動へと一変した。


「フンッ!」


ここからは描写的にスプラッターになるため割愛するが、敵の肉片すら残さない徹底した容赦の無さを発揮し、逃げる敵には追撃し、これでもかとばかりに暴れまわった彼は黄金の大鎌を収め、廃墟と化した住宅街とあまりの地獄絵図を見て泡を吹いている大量の一般市民を見て言った。


「少々やりすぎてしまったようだ……損害賠償を何兆円請求されるかわからん」

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