久しぶりの超シリアス回
ジャドウはハニーと自分をドーム型の結界で覆い、彼女を孤立無援状態にした。
「ハニーよ。これで誰の手を借りることもなく、正々堂々闘うことができますな」
彼は俊足で彼女に詰め寄ると、素早くサーベルで突きを見舞う。それを体を捻って避け、彼のボディにパンチを打とうとする。けれど彼は胴体を霧化させることによってパンチの威力を無効化し、彼女が怯んだ隙に蹴りを打ち込んだ。ジャドウの細長い足から繰り出されたキックは体重の軽い彼女を吹き飛ばすのには十分な力があった。
「俺は以前から、お前のことがいけすかなかった」
低い声で静かながらも怒りを露わにするジャドウに、困惑を覚えるハニー。
「どうして!?」
少女の問いに、敵は少し影のある含み笑いをして答えた。
「俺はお前のような、可愛さだけが売りの現代っ子が気に食わぬ!」
「可愛さだけが取り柄じゃないもんっ!こう見えても根性は――」
「お前の根性など、たかが知れている!」
サーベルの斬撃を二回受けたハニーは、ダメージを負い体勢を崩す。
「現代の若造は、どいつもこいつもろくでなしの根性のない軟弱者ばかりだ。その一番分かりやすい例がお前だ、ハニー=アーナツメルツ!!」
瞳に青い怒りの炎を宿し、自分と拳を交えている美少女を人差し指で指すジャドウ。
「ジャドウさん、そんな風に人を上辺だけで決めつけるのはよくないよ」
ハニーはいつもより少しだけ声のトーンを落とし、彼を説得しようと試みる。
けれど、スターレスリングジムの中でもその厳格さでは一位、二位を争う彼を説得するのは、あまりにも無謀であった。
「バカめ。お前如き脳内お花畑の意見などに、誰が耳を貸すと思う?」
彼は得意の分身術で彼女の目をかく乱させた後に、美しい軌道を描いた蹴りで敵の頭頂部を打ち抜いた。
ガクッと両膝をついたところにアルゼンチンバックブリーカーで背骨をへし折ろうとするが、体を反転することによって技を封じた彼女に脱出を許してしまった。
ここでジャドウは直立不動で彼女に言った。
「俺にはスターレスリングジム随一の経験と反則技がある。お前には何がある?」
「私には、可愛さと根性と特殊能力がついてるもん!あなたなんかに負けない!」
「負けないと申すか、ハニーよ。フフフフ、ならばその特殊能力とやらをこの俺に披露してみせるがよい」
彼は大きく両手を広げ無防備になり、彼女を挑発した。




