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失敗は成功の母
成功したかに思われた千歳の薬の調合であったが、次第に目が覚めたフレンチの体が小さくなっていく。元々百五十四センチで十四歳にしてはやや小柄の彼の背丈がみるみるうちに縮んでいくのである。
「フレンチ君が小さくなっちゃうよぉ」
彼の異変にハニーが泣き声をあげる。突如として起こった事態にも、千歳は焦らず騒がずひとつひとつ調合した薬を確かめていく。そしてあることに気が付いた。
「どうやら、間違って副作用で身長を小さくしてしまったらしいな。今元に戻る薬を作るから待ってろ」
「早くしてください!このままだと僕がどんどん小さくなってしまいます!」
「焦るな、フレンチ。薬の調合には集中力が必要なんだ」
「ってお茶を美味しそうに飲んでいる場合じゃないでしょ!?」
こうして何とか元気が回復し身長も元通りになったフレンチであるが、もう彼女の調合した薬を飲むのはこりごりと思った。




