三時のおやつ
フレンチがいなくなったの事にようやく気が付いた亜月は、悔しさのあまり地団太を踏み始めた。
けれど、ハニーが三時のおやつであるホットケーキを持ってきたため、彼女のきげんはすぐによくなった。
「おいしー!ハニーちゃんって、お菓子作りが得意なんだね」
「それほどでも……少しはあるカナ?」
彼女は褒められたので、恥ずかしそうにしながら頭を掻いた。
「フレンチ君は可哀想に、こんなに美味しい出来立てのホットケーキを買い物に行ってしまったばっかりに食べそこなってしまうだなんて」
「それもそうだね。アハハハハ!」
「多分彼はまだ帰ってこないと思うから、私達が全部食べちゃおうか」
「うん、それがいいね!」
博士と亜月は意気投合し、フレンチの分のホットケーキまであっという間に食べてしまった。
その時、玄関のドアが開いて、憔悴しきった顔のフレンチが帰ってきた。
「あの……僕の分の三時のおやつは……?」
「私と亜月ちゃんで食べてしまったが、それがどうかしたのかね?」
「ハハッ……そうですか。食い物の怨みは恐ろしいって事を忘れないでくださいよ……」
彼はなんとも恐ろしげな声でそう呟くと、疲労からかバタンと床に倒れ伏してしまった。博士達(特に博士と亜月)は、彼の言葉に青ざめながらも、彼を介抱してあげることにした。
果たして、フレンチをここまで疲れさせたのは、一体何者なのか。