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いたずら対決

「フレンチトーストが食べたい」


この日博士がフレンチに向かってそんな事を言った。彼は少し鳥肌を立てながら、恐る恐る口を開く。


「それは……色々な意味で僕を食べたいと言う事ですか?」

「違うよ。私が言ったのは食べ物の方だよ」


それを聞いた彼はホッとして胸をなで下ろした。


『この頃博士の変態度が増しているからなァ……夜寝る時は博士に侵入されないようにカギを閉めておかないといけないかもしれないですね』


彼は警戒した後、彼のために自分の名前の由来にもなっている料理、フレンチ=トーストを作る事になった。エプロンをつけて下準備をして、早速作り始める。

まず、フライパンにバターを溶かし、茶碗に卵と砂糖と牛乳を混ぜた物を用意して、それをスライスした食パンにしっかりとまんべんなくつけて、フライパンに投入する。一分ほど経つと甘く優しい香りがキッチンから漂い始める。


「何枚ぐらい食べますか」

「作った分は全部食べようかと思っているよ」


彼の答えに、フレンチは密かに意地悪な笑みを浮かべた。


「な、なんだねこの量は……」

「さあ、出来ましたよ。美味しくいただいてください」


フレンチはまるでバベルの塔のようにうず高くフレンチトーストの山を博士の皿に作っていた。


「これを私に食べろと言っているのかね。こんなにたくさんの量を」

「そんな訳ないじゃないですか。もちろん僕も少し食べますよ」


彼はヒョイと手でトーストを掴むと、幸せそうな顔で食べ始めた。


「やっぱり、自分が作った料理は美味しいですね」


大量のトーストを平らげた博士は、この日体重が二キロ増加するはめになった。

そして博士はフレンチに対し、ささやかな反撃をする事を決意したのだった。一体博士はどのような仕返しをするつもりなのであろうか。


翌日の昼、博士は早速フレンチに反撃をする事にした。


「フレンチ君、いつも私のために身の回りの世話をしてくれてありがとう。今日は

そのお礼にマッサージをしてあげる事にしたのだよ」

「それはありがとうございます。実は最近疲れが溜まっていて困っていたんです。そう言っていただけるとは夢にも思っていませんでした。早速、マッサージしてくださいませんか」

「じゃあ、半裸になってソファの上にうつ伏せになりたまえ」


彼は少し恥ずかしかったものの半裸になり、ソファの上にうつ伏せ状態になった。博士は意外にもマッサージがうまく、彼は普段の疲れがみるみる取れていくように感じた。


「とてもいい気持ちですよ、博士」


フレンチは天にも昇るような心地でマッサージを受けていた。するとその時、ハニーが二階の子ども部屋から降りてきた。

彼女の目に真っ先に飛び込んできたのは、当然ながら半裸で博士にマッサージをされている、嬉しそうなフレンチの姿だった。


「フレンチ君、半裸でどうしたの!?」

「ハニーさん、博士にマッサージをして貰っているんですよ」

「……博士とフレンチ君って前々からそんな気がしたけど、本当にそんな関係だっただなんて、驚いちゃった♪」

「えっ……ハニーさん、何かの誤解ですよっ」

「ううん、私はふたりの邪魔にならないように部屋に戻っているから、水入らずの楽しい時間を過ごしてね」


彼女は金髪を揺らしながら、急ぎ足で自室へと戻る階段を駆け上がって行った。

フレンチは彼女に誤解された事に対しショックを受けたが、その裏で博士はしてやったりと意地悪な笑みを浮かべていたのだった。

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