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ハニーのベビーシッター

「ねぇ博士、石敢當君はどこにいったの?」


この日ハニーは搭乗できるように改良したはずの石敢當君がなくなっている事に気が付き、博士に訊ねた。彼は頭をコツコツ叩いて唸った後口を開く。


「ああ、あのロボットね。アレなら、ジュバルツさんにあげたよ」


「えええっ!?酷いよぉ、どうして私を乗せてくれなかったの~!乗りたかったのにぃ~!」


彼女は床にひっくり返り駄々っ子のように手足をバタつかせる。


「ごめんねハニーちゃん。でも、彼にあげた事によってロボはテレビ出演が決まったんだ」


それを聞いたハニーはパッと顔を輝かせ、


「ほんと?」


「ああ、ほんとだよ。今日のテレビ番組一覧を確認すれば載っているはずだよ」


彼女が新聞のテレビ一覧を確認すると、確かにジュバルツ将軍が出演している番組名がある。


「博士、あげてありがとう~♪」


彼女は感謝の気持ちを込めて博士をぎゅっと抱きしめる。


「苦しいから、離して……」


「あっ、ごめんね」


彼女が慌てて離すと彼は大きく深呼吸をした後、


「そういえば、新しい発明ができたんだよ。お披露目してあげるから、みんなを呼んできて」


ハニーは博士の発明品が早く見たかったので、フレンチやアップル、ヨハネスを急いで呼んできて彼の前へ座らせた。


「相変わらずみんな可愛いね。食べちゃいたいぐらいだよ」


「早く発明品を見せてください」


フレンチは博士が余計な事を言い出す前に言葉を発し、彼の変態の言動を抑える。

彼は口をとがらせて、


「冷たいなぁ、フレンチ君は。でもそこが可愛いんだよね。さて、諸君!私が今回新開発ぢたのは、人の年齢を若返らせることができる光線を放つ装置『ベイビーム発生装置』だ!」


彼がシーツを取って見せたのは、先端がアンテナ状になっているおかしな装置だった。


「ネーミングセンスゼロですね」


フレンチの冷たい言葉に彼はしょげかけるが、気を取り直して装置の説明を始めた。しかし、彼らに長い説明は無用と考え、早速その効果を見せてみる事にした。彼がフレンチに標準を合わせスイッチを押すと赤い光線が放たれ、一瞬で彼を赤ん坊に変化させてしまった。


「どうだね。これが『ベイビーム』の威力――」


次の瞬間装置からポンと爆発音がしたかと思うと、アップルに博士、ヨハネスに光線が命中し、たちまち彼らは赤ん坊になってしまった。幸いにハニーに光線は当たらなかったが、彼女がホッとした間のも束の間、装置はバラバラに崩れて壊れてしまった。


「どうしよぉ、みんなが赤ちゃんになっちゃった~」


彼女はよちよちと裸で歩く赤ん坊たちを眺め、最初は困惑することしかなかったが、やがて勇気が出たのかこんな事を口にした。


「こうなったら、私がみんなのお世話をしてみせるもんっ!」


ハニーは決心するなり、全速力でスーパーで紙おむつを買ってきて、四苦八苦しながらも赤ん坊四人に履かせることに成功した(履かせる際に彼らの下半身を見て男の子であることを念のために確認しておいた)。


「まずはあの装置の設計図を探したほうがいいみたい」


彼女は博士の発明室へ入り、ベービーム発生装置の設計図を読む。

しかし、内容が難解でさっぱりわけがわからなかった。けれど、この光線の効き目はぴったり四十八時間で消え、元の体に戻ることがわかった。彼女はハイハイでそこら辺を歩きまわる赤ん坊たちをイスに座って眺めながら、考える。


『ひとりでみんなの面倒をするのは大変だから、暇なスターレスリングジムのメンバーに声をかけてみよう♪』


彼女は楽観的に考え、次々と宇宙電話をかけたが、皆ベビーシッターなどやった経験はなく、断られてしまった。彼女の義理の兄もさすがに今回ばかりはお手上げで、彼女は頭を抱え込んでしまった。しかしながら、まだ打つ手が完全になくなった訳ではない。彼女は一生懸命にご飯も食べずに考えた結果、こんなことを思いついた。


『だったら、彼らのお母さんたちに事情を説明して二日間だけ協力してもらえないかしら?』


すると意外にも母親たちはか赤ん坊になった彼らを見ても驚く事はなく、喜んで彼女に協力してくれると申し出たのだ。

こうしてハニーは二日間、博士の母親代わりとなった。果たして彼女はうまく博士の面倒を見ることができるのであろうか。

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