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将軍に対する扱い

アップルの家は住宅街でも評判のケーキ店である。

彼も両親の才能を受け継いでおり、ケーキを食べるのも作るのも大好きだった。

それを沖縄旅行から帰る飛行機で聞いたハニーは、彼に相談してみることにしたのだ。可愛い赤りんごの形をした家――どうすればこんな家が建てられるのかは気にしてはいけない――のインターホンを押すと、中からアップルではなく、厳つい顔で黒い軍服を着た中年男性が現れた。


「どちら様ですかな」


「あ、あの……こちらの家はアップル=ガブリエル君の家ではなかったでしょうか?」


彼女は男性の奇抜な容姿に若干引き気味で訊ねる。すると彼の背後から澄んだ美しい声がした。


「驚かせてごめんね。この人は僕の家に居候している俳優さんだよ」


『さりげなく、私を傷つけるな』


将軍は寡黙な表情の裏で嘆いた。ハニーとアップルは二階にある彼の子ども部屋へと向かう。そのあとを将軍はトボトボとした足取りで肩を落とし、頭を垂れながらついていった。

部屋に入るなり、早速ハニーは用件を話した。話を聞いた彼は微笑み、


「僕でよければ喜んで力になるよ。じゃあ、早速ケーキの材料を買いに行こうか」


「うん♪」


彼らふたりは胡坐をかいて無言で会話を聞いていた将軍の横を素通りし、部屋を出る。自分の存在を全く持って感知されていなかった事実に、彼はガックリと両手を地面につき、悲しみの涙を流した。


「やはり、私は空気キャラになる運命なのかもしれぬな……」


果たして将軍は、このまま作者に存在を忘れられてしまう運命なのだろうか。

それはCMの後で多分明かされる。

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