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天才とバカは紙一重

彼の家の隣に位置する博士の家は、ひとり暮らしにしてはかなり広い二階建てだった。中に入ると漫画やアニメなどで登場するゴチャゴチャにモノが溢れた発明家の家とは違い、塵ひとつ落ちていないほど清潔で、必要なモノ以外置いておらず、さっぱりとしており住み心地がよさそうだった。

彼は自分の抱いていた家のイメージとは違う家の中に感心しながら、訊ねた。


「で、僕は何を手伝えばいいんですか」


「まあ、腰かけたまえ」


彼と博士はふかふかのソファに腰かけながら、話をする事にした。と、その刹那フレンチの座っていた部分がバネの仕掛けで飛び上がり、彼は宙へ飛ばされた挙句、盛大に尻餅をついて着地した。


「何するんですかっ!」


「ハハハハハ!引っかかったねフレンチくん、さすがだよ」


博士が大口を開けて笑う姿に、彼はなぜか妙な対抗心を抱いた。


『僕も彼に仕返ししてやるっ』


彼は十四歳にして既に大学を卒業している稀代の天才だった。

頭脳明晰なだけでなく、少女のように細長い指先であらゆるものを作り上げるほど手先も器用で、以前発明コンクールで優勝した事もある。

彼はその類まれなる頭脳を、彼をあっと言わせるためだけに活用しようとしていた。果たして彼はどんな方法で博士に仕返しをするのだろうか。



フレンチは二階の窓から小麦粉バズーカを構えた。その瞳は凶悪のそれに染まっている。小麦粉バズーカ。それはその名の通り、小麦粉を発射し、対象に不快な思いをさせる彼の自信作である。難点としては、小麦粉を粗末にすることだろうか。しかし今の彼はそれを気にしないほど悪に染まっていた。


「さっきのお返しですっ!」


小麦粉を球状にしたものがバズーカの先端から発射され、真っ直ぐ博士の家の窓に入っていく……かと思われたその瞬間、博士はそれを予想していたかのようにバッティングロボのスイッチを押して、その小麦粉の弾を撃ち返したのだ。


「なかなかやりますねっ」


「きみは弾のチョイスをミスしたようだね。私ならパイで行く!」


その声と共に発射されたドッキリ用のパイを顔面に食らった彼は、怒りで顔を歪ませた。その後もお菓子な闘いは半日続いた挙句、フレンチの母の苦情でやめる事となった。彼女の苦情を受けた博士とフレンチは、それから食べ物を粗末にしない事を肝に銘じた。

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