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大食いヨハネス

海にやって来た博士たちは、水着に着替えて海水浴を満喫した。

ヨハネスはトランクスタイプの水着を着ることで、ビーチに現れた天使と言っても過言ではないほどの美しさで、海水浴に来ている男性層を悩殺してしまい、女性たちは、注目の的が奪われたので般若のような恐ろしい形相で彼に対し禍々しいオーラを発していた。


「僕、いつも女性から目の敵にされるんですよ」


彼は悲しそうな声で言った。


「それでもいいんじゃないカナ?だって、それだけヨハネス君に魅力があるって事だよ♪」


黄色のフリルのビキニ姿のハニーが彼を励ます。


「ううっ……僕、女の子に優しい言葉を語りかけられたの、今が初めてですっ」


彼は嬉しさのあまり涙ぐんでいる。それを見た博士は、美形の苦悩の片りんを垣間見た気がした。


「さて、たくさん泳いだし、お腹も空いているだろうから、そろそろバーベキューにしよう!」


「「イェーイ!」」


ふたりは空腹であったことも手伝って、てきぱきと準備をし、すぐにバーベキューを始める事ができた。そしてハニーと博士は、ここで以前フレンチが言っていた言葉の意味を知ることになる。



大食いと呼ばれる人はたくさんいるが、その中でも痩せの大食いと呼ばれる人たちがいる。それは体が細く、一見するとあまり食べないように見えるが、実は意外なほどよく食べる人の事を言う。そして、ここにもまた、痩せの大食いがいた。


「このお肉、本当に美味しいですね」


「「……」」


「あれっ?ふたりともどうかしたんですか?」


ハニーと博士のふたりは、ヨハネスのあまりの食べっぷりに驚愕していた。

彼は線が細く、一見すると小食のように見える。しかしながら彼はいったん食べ始めると食べる食べる、その食欲は止まる事を知らない。

彼はバーベキューが始まってわずか十分の間に、ソーセージ十二本、コーン十本、ウィンナー三十本、サワークラウト(塩漬けキャベツ)の大盛りを二パック、おにぎりを十五個、冷やした二リットルの牛乳一パック、そして自分で持ってきたと言うケーキ類を美味しそうにニコニコ顔でパクパクと頬張ってしまったのだ。

もちろん、博士とハニーは彼の食べるあまりの速さについて行けず、ほとんど食べていない。驚くべきは、彼の腹はこれだけの食べ物を食べたのにも関わらず、全くと言っていいほど膨らんではいないことだ。

アニメや漫画の世界では、食べ終わった後ははちきれんばかりに膨れ上がるギャグ描写があるが、彼の場合は違っていた。そのあまりの食べっぷりに呆気に取られているふたりを前に、彼はこんな事を口にした。


「僕は頭をよく使うので、大量の食べ物を食べないと持たないんです。ちなみに僕はいくら食べても太らない体質ですので、ダイエットの心配はありません」


話ながらも彼はパーラーで買ってきたアイスクリームを舐めている。


「沖縄の人はアイスクリームをあまり食べないそうです。その代わり、氷を使った冷たいぜんざいが売れているそうですよ。そうだ、これからみんなで沖縄名物であるぜんざいを食べに行きましょうか」


「う…うん、そうだね」


博士とハニーは彼の食費代は一日にいくらかかっているのだろうかと気になりながら、彼の後をついて行った。

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