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03夢:美術部の後輩たち

ちょっと長いです。

 俺は今、美術部の部室にいる。ここにはいろんな物が置いてある。画板だったり、イーゼルだったり、石膏像だったり、いろいろだ。周囲の壁には、今までこの部活にいた先輩達のと思われる作品が飾られていた。


「どうぞ、こっちです」


 案内されるがまま、俺は軽く会釈して入室する。何だか緊張するな。

部室内には二、三人の生徒がおり、黙々とデッサンに(いそ)しんでいた。いやはや、全く持って精が出ますなぁ。

と、それはさておき、件の女子生徒はどこだろうか?

俺はキョロキョロ室内を見渡してみた。だが、見たところ中等部一年生の女子生徒はいない。まだ来ていないのだろうか?

それとも……。


「えと、先輩は誰を探しに来たんですか?」


「え? あぁ、うん。えと、俺はその……」


 どうする、この子に説明して事情を訊くか? でも、この子が知らない場合だってあるし、下手すると当人が面倒ごとになるかもしれない。


「あ、そういえば、まだ君の名前聞いてなかったな」


「あぁ、わ、わたしは『毛利(もうり) (こま)』って言います」


「こま? え、失礼だけど、本名だよね?」


「あはは、よく言われます。何でも、わたしのお母さんが妊娠中に安産祈願行ったらしくて、そこで狛犬に触れた途端陣痛が来たとかで、それがきっかけらしいです」


 何そのエピソード。そんな事ってあるの? でもそうか……こま、か。


「ま、まぁ……可愛いしいいんじゃないかな、犬っぽいし」


 髪の毛の色とか、ちょっと毛先がウェーブがかってクセっ毛ぽいのとかが、特にそう思わせる。


「えへへ、わんわん。わたし、お犬さんっぽいですか?」


「お、おう」


 ぐぉおおおおおおおお! 何だこの攻撃力ッ!! 凄まじい勢いで俺の何かを削り取って行きやがった!!


「……コマちゃん」


「え?」


「あ、悪い! 思わず……」


「いえ、ちょっと驚いただけですから。先輩さえよければ、そう呼んでくれていいですよ?」


「え、でも……」


 さすがにそれは気まずいというか、気恥ずかしいというか。


「コマちゃん、そこで何やってるの?」


 後方から声がした。てか、え? 今「コマちゃん」って……。


「あ、部長。授業終わったんですか?」


 そう言って部長と呼ばれる女子生徒の下へ駆けていくコマちゃん。なんていうか、飼い主が帰って来て喜ぶ犬みたいだ……。俺には見えるぞ、今コマちゃんの架空の尻尾は全力で振られているだろう。


「ふふ、コマちゃん、お手」


 ニコニコ笑顔で美術部部長は右手を差し出す。いや、お手ってさすがにそれは――


「わんっ♪」


 しちゃったよ。

あぁ、なんか既に部長に手なずけられてた……。


「偉い偉い」


 挙句の果て、部長に褒められて頭撫でられて気持ちよさそうだし、完璧犬だな。飼い主に忠実なのは猫もそうだろうが、猫は滅多に人の前で甘えたりしなさそうだし……まぁ、飼った事ないから俺の主観だけど。


「ん?」


 そこで、一通りコマちゃんとスキンシップを交わしたところで、部長の視線が俺とぶつかる。


「あなたは?」


「あ、すみません。実は俺……」


 生徒会室から持ってきた例の紙を部長に見せると、急に彼女の雲行きが悪くなる。


「ええと、あなた名前は?」


「穂明です、穂明遊馬」


 美術部部長の先輩に名を訊かれ、俺は慌てて自分の名前を口にする。


「穂明くん……変わった苗字ね。私の名前は『泡宮(あわみや) 冷依(れい)』、美術部の部長をしているわ、よろしくね?」


 泡宮先輩に笑顔でお辞儀され、俺も少し遅れ気味でお辞儀し返す。


「あの、それで件の女子生徒は?」


「叶絵ちゃんですよね?」


 俺の問いに答えたのは、泡宮先輩ではなく、高等部一年である毛利狛こと、コマちゃんだった。そういえば、生徒会に送られてきたあの紙にも、高等部一年って……。


「もしかして――」


「はい、わたしが送ったんです」


 俺が確認するより早く、コマちゃんが答えた。


「コマちゃん……」


 心配そうにコマちゃんを見下ろす泡宮先輩に、彼女は俯き気味で口を開いた。


「だって、わたし……。わたしはただ、みんなと仲良く部活動したいだけなんです。それなのに……」


 目じりに涙を浮かべ、今にも泣き出しそうな顔をするコマちゃん。


「コマちゃん、私も同じ気持ちよ。だけど……あの子達はまだ叶絵ちゃんの事をよく知らない、それは私達も同じ。だからこそ、もう少し時間が必要なのよ」


「でも、部長! そんな悠長な事言ってられる状況じゃなくなってます!!」


 泡宮部長の言葉に、負けじと返すコマちゃん。


「……何だ何だ、騒々しい。神聖なる聖域への道を閉ざすとは、解せんな。そこをどいてくれ」


 何やら変わった口調で後方から話しかけてくる何者か。俺はふと振り返った。

同時――


「うわぁああ!?」


「クフフ……この我の神々しさに驚愕を覚えたか。あぁ、我が肉体でありながら何とも怖ろしい。ここまで貴様らを震え上がらせ、畏怖させるのだからな。さすがは高貴なる血族の末裔」


 俺の目の前で何やら自画自賛し始めた謎の女子生徒。だが、俺は確かに畏れを感じていた。

というのも、その出で立ちだ。

少女は見た感じ随分幼い顔立ちで、背丈もコマちゃんより低い。140以上あるくらいか。で、この私立西園条学園の中等部の制服を身に纏っ手、その上から漆黒のマントを羽織っている。ここからが問題だ。その容姿……陽の光を浴びていないのではないかと思う程青白い肌、不敵に笑む彼女の口から時折垣間見える尖った八重歯、純白に近い銀色の髪の毛、そして、まるで血に染まっているかのような真紅の双眸。これらを見た瞬間、俺は即座にこう思った。吸血鬼である……と。


「君は、一体……?」


 何が何だかよく分からず、とりあえず名前だけ訊いておこうと尋ねる。すると、小柄な少女は腰に手を添え、威張るように体を反らせて開口した。


「我が名はカフィ――」


「か・な・ちゃ~ん!!」


 と、そこで謎の少女の声を遮って、コマちゃんが少女に抱きついた。それから相手の頬に頬ずりし、嬉しそうに顔を綻ばせた。


「えへへ、ちゃんと来てくれてありがとう~」


 本当に嬉しそうだ。彼女に尻尾が生えていたら、さぞかし元気に振っているだろう。


「うぬぬ~くそ、離れんか! この我に容易く触れるとは……さすがは下等な人類に飼われし家畜!」


 ……それって、犬の事か? てか、やっぱりコマちゃんは皆から犬の認識なのね?


「えぇ、心配してたんだよ?」


「ふんっ、心配などこの我には不要な言葉よ。何故なら、我は吸血鬼……なのだからな!」


 え、……本当に、吸血鬼?


「あ、泡宮部長、あの子って」


「ええ、彼女はカナちゃん。本名は『早乙女(さおとめ) 叶絵(かなえ)』……彼女、ちょっと特別でね? ……クォーターなの」


「え!?」


 クォーター……って確か、日本人以外の血が四分の一流れてる人の事だよな? てことは、彼女も外国の血を? すげぇな、初めて見た。


「ちなみに、どこですか?」


「ロシアよ。確か、母方の祖母がロシア人だって、聞いたわ」


 俺の質問に、泡宮先輩が答える。その視線はずっと早乙女を見ている。


「でも、どうして……」


 イジメられる理由がいまいち分からない。国籍の問題? でも、そんなのだけで対象に入るか? う~ん……。

 と、質問を途中で終わらせてしまった俺に、先輩が質問の内容を汲み取ったのか、口を開く。


「……穂明くん、カナちゃんを最初見て、どう思った?」


「え?」


「正直に答えて」


 その目は、凄く真剣だった。もちろん、俺は嘘を()くつもりなんて毛頭ない。


「……正直、本当に人間かと思いました。瞳も赤くて、髪の毛も真っ白で……まるで吸血鬼そのものです。まぁ、あんな可愛い吸血鬼なら大歓迎ですけど」


「ふふ、本当に正直ね」


 し、しまった。ついいらぬ情報まで洩らしてしまった!


「でも、私も初めは穂明くんと似たような事を考えたわ。けど、少し話して分かったの。彼女、凄くマジメで優しい子よ? この間、怪我をした子猫を手当てしてあげてたの」


「え? 早乙女だけで? それって、きちんと医者に見せた方が――」


「彼女の祖父母はね、獣医さんをしてるらしいの。よく怪我した動物の手当てをしてるのを傍で見てたから、下手な子よりは詳しいと思う。まぁ、話によれば後でちゃんと獣医さんに診せたらしいけど」


 そうなのか。聞けば聞くほど、早乙女の印象が俺の第一印象とは異なっていた。やはり、人は見かけによらないとはこの事だな。

と、俺が早乙女を見ていたその時だった。


「おい、早乙女……お前、また来たのか? いい加減止めろよな、お前いると邪魔なんだよ」


「そうだよ! 早乙女がいると吸血鬼にされちまう!! 聞いたぜ? お前の家、教会らしいじゃねぇか!! よりにもよって、弱点が住処とか、ダッセ!」


 く、こいつら……。

先に部室にいた中等部の男子生徒二人が、急に早乙女に辛辣な言葉を吐き捨てる。そうか、こいつらが早乙女をイジメてる生徒……。

俺は、胸が苦しくなった。同時、ある記憶が脳裏をよぎって頭痛がした。


「くッ……!」


 慌てて側頭部を押さえる。しばらくして痛みは止んだが、目の前で繰り広げられる一方的な暴言は尚も続いていた。


「コイツさ、初等部の頃どんなあだ名付けられてたか知ってっか?」


 一人の男子生徒が、ニヤニヤ悪質な笑みを浮かべてもう一人の男子生徒に語りかける。


「そういやお前、中等部の頃以外、ずっと一緒なんだってな! ヤベェんじゃねぇの? 早いトコ祓ってもらわねぇとさ、ギャハハ!」


「そうかもな! でさ、こいつのあだ名がよ、『トマトケチャップ』!」


「は、んだよそれ!! マジウケ!!」


 早乙女のあだ名を聞いた男子生徒が、腹を抱えて大爆笑する。


「ホントだって! こいつ、給食の時に配られる牛乳が毎回トマトジュースでよ! おまけに、食べ物なんでもケチャップかけんだぜ?」


「あぁ、それ知ってるぜ? 確か、ケチャラーだよな!!」


「そうそう! それで――」


『トマトケチャップぅ~!! ブッハハハハハハハハハハハ!!』


 息を合わせ同時に同じ言葉を発し、同時に笑い出す両者。くそ、好き放題言いやがって……。


「クフフ……何を言うかと思えば、その事か。また随分と大昔の話を……。あの白き飲み物は、天より頂く聖なる物……謂わば聖水……その様な危険な代物を我が飲むはずがない! だからこそ、贄の血として、真紅の果汁(トマトジュース)を飲むのだ」


「……」


「……」


 早乙女の説明に、二人は一瞬笑いをやめて唖然とする。

刹那――


『ぎゃはははははは!』


 人差し指で早乙女を指差し、高笑いしだした。


「牛乳が聖水とか、バッカじゃねぇの!? ただの牛の乳じゃねぇか!」


「そうだぜ!! やっぱこいつ頭イカれてんな! 何が吸血鬼の末裔だよ! バッカみてぇ!」


「何をっ!? 貴様ら……その言葉、捨て置けんな。我を馬鹿にするのは構わんだが、我が一族を愚弄する事、断じて許さんぞ!」


 さすがにトサカに来たのだろうか、ムッと口をへの字に曲げた早乙女が一歩進み出る。

 だが、男子生徒は怯まず偉そうにふんぞり返って声をあげる。


「だったら何だ? 血でも吸うのかよ!!」


「ふんっ、貴様ら下等な人類の血を早々吸ってたまるか! 我が所望するは、高貴なる血族の血のみ……貴様らの様な下賎な混血の血など、不要だっ!!」


 今までにない声量で、早乙女は叫んだ。


「よく言うぜ、お前の方が下賤じゃねぇか!! この混血(クォーター)野郎が!」


「――っ!?」


 その一言が余程効いたのだろう、早乙女はショックを受けたように目を見開くと、踵を返してダッシュして部室内から出て行った。


「か、カナちゃん!」


 コマちゃんは、慌ててその後を追い駆けて行った。


「……お前ら」


「あ? んだよ」


「俺達が何したってんだ?」


「お前ら、自分が何をしたのかも分からないのか? 良心が痛まないのか?」


 俺は耐え切れずに出てしまった。


「はは、良心だってよ! んなもん関係ねぇだろ、お前には」


「そうだ! 部外者はとっとと帰れ!!」


 俺の言葉に対し、男子生徒二人はあまりにも言葉遣いがなっていなかった。


「そこまで言うのなら、お前らに分からせてやる! 人の痛み……ってやつをなッ!!」


 そう言って俺は男子生徒の一人の襟ぐりをグイッと掴みあげた。


「ぐぇ!? て、てめぇ! な、何しやがる……ッ!!」


「分かるか? お前に人の痛みがッ!!」


「んなもん知るかよッ!! 他人の痛みなんて知ったこっちゃねぇ!!」


 やっぱりな、イジメるやつらは大抵そうだ。他人の痛みを知らない、自分がされた事がないから痛みって物が分かってないんだ。だったら、その痛みを教えてやる。


「じゃあ、分からせてやるよ、こいつが痛みだッ!!」


「ぐぁッ!?」


 俺は掴みあげた手をパッと放すと同時に、軽く男子生徒の頬を殴った。宙に浮いていた彼の体は、床に強かに打ちつけられた。


「いってぇ……!」


 少し赤く腫れた頬をさすりながら、男子生徒が呻く。


「お前ッ!!」


 と、俺の背後に回ったもう一人の男子生徒が掴みかかってくる。それを俺は軽く躱し、首に腕を回して締め上げた。


「うっぐ……は、放しやがれ!!」


「ダメだ! お前らは根本から腐ってやがるッ!! 始めっから、俺が教育してやる!!」


「くっそ……!!」


 腕を自分の体へと引き寄せると、間に挟まれた男子生徒の首が絞まっていく。


「おい、お前!」


 さっきから床に座り込んだままの男子生徒に向かって、俺は叫んだ。


「な、……んだよ」


 先ほどの効果か、少し萎縮気味の男子生徒。そんな彼に、俺は畳み掛けるように言った。


「今こいつはどんな顔をしてる!!」


「く、苦しんでる!」


 俺の奇妙な質問に、焦った様子で男子生徒が答える。


「ああ、そうだな。だが、それはこいつの表情を見れば一目瞭然だ。じゃあ、こいつは今何を思ってる?」


「は? そんなの、分かる訳――」


「最初から考える事を放棄すんな!! ちゃんと相手の事を考えろ!! お前達は相手の事を考えず、むやみやたらに汚い言葉を口にしている。それで今まで何人の人が傷ついたか、分かってるのか?」


「んなの、お前には関係ねぇだろ……」


 俯き気味に男子生徒が弱弱しい言葉を発する。


「確かに関係ないかもしれない。だが、こればかりは放ってはおけない。俺だって、経験者(・・・)だからな……さぁ、答えろ!」


「うッ……お前を殴りたいって思ってる……何でこんな目に遭わないといけないんだって、俺だけじゃなくてそいつだって同じ目に遭うべきだって……」


 恐らく、こいつの言う「そいつ」って言うのは自分なのだろう。

今俺が掴み上げているやつの心情を代弁したのだから、多分そうだ。


「……いいだろう」


「うっ……ゲホッ、ゴホッ!」


 掴み上げられていた生徒は、地面に這い蹲りながら激しく咳き込んだ。


「おい、大丈夫か?」


「あ、ああ……」


 慌てて駆け寄るもう一人の男子生徒に、呼吸を乱しながらそいつは返事をした。


「……何なんだよ、お前」


 首元に手を添えながら、先ほど俺が掴みあげていた男子生徒が問う。


「俺はただの一生徒だ。ただし、お前らみたいなやつに似たような行為を受けていた……。これはその報復なのかもな」


 部室から見える外の景色に視線を向けながら、俺はそう答えた。


「んだよそれ、そんじゃあただの逆恨みじゃねぇか! 所詮お前は俺達みたいな下級生にしか反抗出来ない弱者(ザコ)じゃねぇか!!」


「……あまりナメるなよ? お前らだって、弱い相手しかイジメる事が出来ねぇ卑怯者(ビビリ)じゃねぇか。確かに俺は弱い……だが、度胸と口論ならそこそこ負けない自信がある。現に、あいつらとのしがらみも自分で断ち切ったしな」


 俺が瞑目して言うその言葉に、二人は言葉を失っていた。


「いいか? もう一度言う。お前らはただの卑怯者だ。同級生とはいえ、女の子をイジメて、何が楽しい? 同じ人間なのに、何でイジメるんだ?」


「そ、それは……あいつが、ヘンだから」


「変? 何が? 髪の毛か? 瞳か?」


 片眉をあげ、俺はどういう意味なのかを問うた。


「全部だよッ!! あんなのと一緒に生活なんて出来ねぇ! だから……」


 その俺の質問の仕方に多少なりとも苛立ったのか、そいつは叫んだ。

 が、俺は大して慌てる事もなく、平然とした態度で口を開いた。


「だから、イジメたのか? 訳が分からない。あの子がお前らに何をした? 確かに、悪い事をしたんならあの子にも非があるだろう。だが、そうじゃないんなら、お前らのやった事はとんだお門違いもいいトコだ。あの子は自分で望んであの姿になったんじゃない、神様の悪戯でああなったんだ。それでもあの子は自分を嫌わず、むしろその見た目を精一杯活かしたキャラクターを作ってる。何を気味悪がる事がある? 逆に面白い人だと思えば、それでいいじゃねぇか! 楽しそうな子だな、仲良くなれるかも……そういう気持ちにも、なれたんじゃねぇのか?」


「……」


 俺の説明に対し、片方の男子生徒は黙ってしまった。

 すると、もう一人が小さく口を開いた。


「んなの、ムリだよ」


「何が無理なんだ? じゃあ、例えばこうしよう。お前らはある日転校する事になった。もちろん、お前ら二人は一緒の学校じゃない。それぞれ別の学校だ。そして、そこには早乙女みたいな子ばっかりで、逆にお前らみたいな生徒は誰もいない。そうすると、どうなる?」


 その例え話に、二人は互いに顔を見合わせ顔を俯かせた。


「……俺達が、浮くだろうな」


「ああ、そしたらどんな目で見られる?」


「変わったやつが来たって……ヘンな目で見られる」


 ようやく分かってきたか?


「……それが今のあの子の気持ちだ。自分だけが違う。皆と違う姿をしている。だから、物凄く不安な気持ちでいっぱいなんだよ」


「でも! あいつはそんな顔全然してねぇじゃねぇか!!」


「あの子は、恐らく自分の気持ちを素直に表に出せないんだよ。話す勇気が出せない。だから必然的にその気持ちを自分の中に押し込めちまう。分かったか? あの子は物凄く強い心、精神力を持ってる。だからこそ、今まで大きな事件には発展しなかった。もし、あの子の心が弱っていたら、今頃大変な事になってたかもしれないし、取り返しのつかない事になっていたかもしれない。そうした場合、お前らは責任を取れるのか!?」


 少し脅すような口調で、俺は二人を睨む。二人は完全に萎縮してしまっていた。いつの間にか床の上に正座までしている。


「言葉の力は強い……言霊とか言われるしな。いいか? お前らの口にした言葉、お前ら自身では何も思わないかもしれない、だが、相手はどう思う? きっと、心が凄く痛んだはずだ。誓え、もう二度と軽はずみに汚い言葉を使わないと……弱い者イジメをしないと……」


「わ、分かった」


「お、俺も……誓うよ」


「それとな、お前ら先輩に対して口の利き方がなってねぇんだよ。一度、部長にきっちり教われッ!!」


「え、わ、私?」


 俺のいきなりの振りに、泡宮部長は目を丸くしていた。俺の凄まじいまでのお説教に、ずっと黙っていたようだが、急に振られて驚いたのだろう。まぁ、そこは後で謝るとして……。


「部長、ここは任せてもいいですか? コマちゃんが追いかけてるみたいですけど、ちょっと心配なんで」


「え、ええ」


 俺の饒舌な喋りに、少し置いてきぼりをくらっている様子の部長は、軽く二、三回頷いた。

それを確認し、俺はその場から駆けだした。




しかし、ドコに行ったんだ? 恐らく、あの様子からして相当なショックを受けていたはずだ。……まさか!?

ふと嫌な予感がした俺は、急いで生徒会室へ向かった。

階段を駆け上がり、荒々しく扉を開け放つ。


「きゃっ!? ちょっとあなた! 生徒会室に入る際はちゃんとノックをしなさい! ていうか、あなたあの子の件は――」


「くッ!」


 悪いが生徒会長に構ってはいられない。急いで生徒会室からテラスに出て、そこから全ての棟の屋上を見渡す。

そして――見つけたッ!! あの特徴的な銀髪が陽の光に反射して居場所を知らせてくれた。場所は中等部棟の屋上だ!!

場所を確認し終えた俺は、すぐさま生徒会室から退室した。


「ち、ちょっと! 私をシカトするんじゃないわよ!!」


 何やら後方で生徒会長の声が響いているが、何度も言わせてもらう、時間がないんだ!!

特別教室棟の渡り廊下から中等部棟へ。そこから階段を駆け上がり、俺はゼェハァ言いながら屋上の扉を開けた。


「さ、早乙女ッ!!」


 胸を押さえ、汗をダラダラ流しながら俺は彼女の名前を枯れんばかりに叫んだ。すると、屋上から飛び降りようとしている早乙女とそれを食い止めようとしているコマちゃんがこちらを向いた。


「せ、先輩っ! か、カナちゃんが!?」


「ああ……ハァ、ハァ分かってる。さ、早乙女……っはぁ、バカな真似はやめろ。そこから降りろ!」


「クフフ……言われずとも降りてやるさ!」


「違うッ! 飛び降りろって言う意味じゃない!! 俺が言ってるのは、その(ヘリ)からこっちに降りろって言ってるんだ!! 何でこんな事をする!」


 冗談なのか、本気なのか、そんな事をいう早乙女に対し、俺は叫ぶ。


「分からんのか? まぁ、分かるはずもあるまい……貴様ら低俗な生き物に、我ら高貴な種族の気持ちが分かってたまるか」


 まるで、既に何もかもを諦めているかのような表情。やっぱり、似ている……昔の俺に。

俺は、産まれた時から変な夢を見ていた。毎度毎度同じ世界。そこで俺は冒険をしていた。無論、それを話せる相手なんかいない。だが、俺はだんだんあの世界に行く内にその世界の虜になっていたらしい。

気づいたら、夢の中の世界で起こった出来事をノートに(したた)め始めたのである。そうするようになって、私立西園条学園の初等部に入った頃、俺は隣の席の少女に声をかけられた。そして、興味津々というように、彼女は俺の書く夢の中の物語について知りたがった。俺は最初戸惑ったが、何度も話す内に楽しくなってしまい、学校に来ては彼女にその話をした。

だが、それが他のクラスメイトにやたら目立ったのだろう。俺は変なやつに思われ、イジメられるようになった……。


「くっ……分かるさ、お前の気持ち。確かに、された事やきっかけは違うだろう。だが、された方が感じた気持ちは、きっと同じ物のはずだ。苦しかったんだよな、辛かったんだよな? 本当は自分も普通の、普通の人間として産まれたかったのに……。だけど、両親を責める事は出来ない、どうしてもそれだけは良心が痛んだから。だから結局誰にも話せず、知ってもらう事も出来ず、ここまで来ちまったんだよな」


「……貴様、何を言って」


「俺も、イジメられてたんだよ」


「く、クフフ……何を言い出すかと思えば、我は下賤な輩等にその様な事はされていない! ただ、黒く汚い闇に満ちた言霊をぶつけられただけの事……確かに我がハートに闇が渦巻き蝕みはしたが、この程度の苦痛はどうという事はない」


「強がるなよ、早乙女……どうという事はないんなら、どうして目が腫れてるんだ?」


 俺は早乙女の顔を指差して、そう言った。


「なっ――こ、これはその……そう! 化術(メーク)が上手く行かなかっただけだ! 腫れているように見えるのは、そういう事だ!!」


 顔を真っ赤にして早乙女は顔を隠す。ふっ、可愛い反応するじゃねぇか……。やっぱり、彼女だって一人の人間だ。吸血鬼に見えはするが、例えそうであっても年頃の小さな女の子なんだ。


「嘘つくな……泣いてたんだろ? 心が痛んで、傷ついて……胸が苦しくなって涙を流したんだ。それで目を擦ったから腫れてるんだよ。そうだな、せめて目をこすらないようにしないとな。目をこすると、毛細血管が傷つけられて組織液が染み出してたまってしまうんだってさ。それで目が腫れるんだと」


「え、そ、そうなの?」


 突然聞こえる可愛らしい声。


「え、今のって……」


「あ、いや違――」


 恐らく不意に素が出てしまったのだろう。やはり、今までのは全てキャラ作り。演じきっていたんだな……こいつ、美術部よりも演劇部の方が向いてるんじゃ……。


「素の方が可愛いな」


「なっ――こ、この我を落とすなど百万年早いぞ人間!! 我は高貴なる吸血鬼の純血……デイン家の末裔、カフィラーナ・エルーア・デイン様なのだぞ?」


「あぁ、そうだな……早乙女」


「くぅ! だ、だからカフィラーナ・エルーア・デインだと――」


「それより、早くそこから降りないか? そこは風当たりも強いし、下手するとスカート捲れるぞ?」


「え、きゃああ!!」


 俺の忠告に、早乙女は慌ててスカートを押さえながら俺に背中を見せまいとする。そして、涙目で俺を睨んだ。

と、その時だった。


ズルッ!


「え――」


「さ、早乙女ッ!!」


 縁の上であまりにも大きく動いたせいだろう。少しバランスを崩した早乙女は、片足を滑らせ屋上から落ちた。

が、俺がすんでのところで彼女の腕を両手で掴んで食い止めた。


「うっく……し、しっかりしろ早乙女!」


「や、やあああ! た、助けてぇ!!」


「ま、待ってろ! 今引き上げてやるからな!! っく……こ、コマちゃん、部長達を呼んできてくれ!!」


「わ、わわ分かりましたぁ~!!」


 俺の命令に、あたふたしながらコマちゃんは駆け出した。


「な、なんで……せ、先輩は何も関係ないのに」


「おいおい、素が出ちまってるぜ? カフィラーナ様?」


「……く、クフフ……そうだったな――で、でもやっぱり怖いよぉ~」


 やっぱり無理か。キャラになりきってれば少しは恐怖も緩和できると思ったんだが……。


「いいか、絶対に放すなよ!?」


「し、死んでも放しません!!」


 いや、死んだら放しちゃてるだろ……って、冗談言ってる場合じゃないか……た、頼むコマちゃん、急いでくれッ!!


「どうして、あたしを助けるの? 先輩には何の得にもならないのに」


「言っただろ? ……んっく、お前は俺と似てる」


「だから、助けるの?」


 少し悲しそうな顔をする早乙女。そんな顔をするな……。

俺は歯を食いしばって、叫んだ。


「んなわけ、ねぇだろ!! 目の前で人が死にそうになってんのに、黙って見てる馬鹿がいるかよッ!! そんなの、ただのクズ野郎じゃねぇか!! それにな、お前は俺達と同じ人間だ! 例え髪の色や瞳の色や、何もかもが違っていたとしても、人間なんだよッ!! それは俺が保証するッ!! お前は俺達と同じように泣いて、笑って、楽しく生活する事が出来る人間なんだ!! だから、弱気になるんじゃねぇ!!」


「せん……ぱ、い」


 一筋の涙が早乙女の頬を伝った。それが俺の額に滲む汗が落ちた物でない事を祈る。


「絶対に死なせやしないッ! 俺は、俺は絶対、失くしたりしないッ!! もう、絶対にッ!!」


「それって、どういう……」


 しまった、つい……くそ……もう、思い出したく、なかったんだが。


バンッ!!


「ほ、穂明くんっ!!」


「せ、先輩!」


「ハァハァ、助けに来たぞ!!」


「待ってろッ!!」


 ハァ、ハア……どうやら、間に合ったみたいだな。

どうやら、泡宮部長だけじゃなく、さっきの二人も来てくれたみたいだな。ふッ、少しは説教が効いたのか?


「いいか、一気に引っ張り上げるからな? せぇ~の――うりゃあああああああ!!」


 男子生徒二人が俺の脚を掴み、俺が縁に腰付近を固定して腹に力を込め、一気に腕を持ち上げる。そこにコマちゃんと泡宮部長が手を伸ばして、早乙女の両腕を掴み、ようやく引き上げる事に成功した。


「ふぅ……た、助かった」


「あ、ありがとう、先輩っ!!」


「うおっと……!?」


 足を投げ出し両手を後ろに突いて一息ついてるところに、突然早乙女が抱きついてくる。


「あたし、嬉しかった。先輩に、同じ人間だって言ってもらえて……知ってほしかった。あたしは吸血鬼なんかじゃない。化物なんかじゃないんだって……でも、皆があたしをそういう風に見るから、だから……逆に、そうあった方がいいのかと思って、こんな事に……」


 俺の首に腕を回し、早乙女は涙混じりにそう言った。


「あぁ、寂しかったんだよな、知ってほしかったんだよな。俺はちゃんと分かってる。でも、もう大丈夫だ早乙女……俺が解決してやった。まだ全部じゃない……お前をイジメる生徒がまた現れるかもしれない。そん時は俺や、仲間を……友達を頼れ! それが人間関係ってもんだ」


 時折震える早乙女の体。それを落ち着かせてやろうと、俺は優しく背中を撫でさすってやる。


「うん、ありがとう……」


「もう俺とお前は友達だ。これからは何でも相談してくれ、必ず協力して力になってやる!」


「ぐすっ……あり、が、とう」


「おう」


 再び聞こえる早乙女のお礼に、俺は元気よく返事をした。

すると、コマちゃんが近づいてきて口を開いた。


「か、カナちゃん……」


「……コマちゃん」


 声のする方に早乙女が顔を向け、声をあげた。


「ごめんね? わたし、助けてあげられなくて」


「ううん、いいよ。コマちゃんは精一杯あたしを元気づけてくれた。あたしがボールを投げたら取ってきてくれるし、命令――頼んだら道具貸してくれるし。それに、慰めてもくれた。……とっても嬉しかったよ」


 何だろう、前半完全に犬扱いじゃないか? しかも、一瞬命令って聞こえたような。


「そんな、わたし……えへへ」


 で、コマちゃんは何でそれで喜んでるの?


「さ、早乙女……」


「あ、あのさ」


「……」


 少し気まずそうにしながら、男子生徒二人が指を弄りながら早乙女の名前を呼んだ。

どうやら、もう安心みたいだな。


「俺達……お前に酷い事したよな。だから、その……謝りたくってさ」


「ああ、ホント……ごめん。もうしないから、許してくれないか?」


「……」


 早乙女はしばらく俺の制服をぎゅっと握っていたが、やがてその力を緩めて俺の制服から手を放した。


「早乙女、勇気を持て。お前は一人じゃないんだ」


「……ふっ、クフフ……そうだな、我はデイン家の末裔……カフィラーナ・エルーア・デイン様だ。こんな事でいつまでも屈している訳にもいくまい。よかろう、許してやる……」


「ほ、ホントか!?」


「さ、サンキュー!」


 腕組してふんぞり返った早乙女が口にした言葉に、男子生徒二人は嬉しそうに声をあげる。


「ただし! 一つ条件がある……」


「な、何だよ」


「ゴクッ……」


 一体何をするつもりなんだ? 俺も少し気になって早乙女を見ていると、人差し指で頬をかきながらボソリこう言った。


「こ、この我と契約しろ。そうすれば、許してやる」


「け、契約?」


「ど、どういう意味だ?」


 二人とも早乙女の中二病的なセリフに疑問符を浮かべる。だが、俺には何となく理解出来た気がした。何よりも、早乙女が少し照れくさそうにしているのが、ヒントだった。


「早乙女はお前らと仲直りの証として、友達になりたいんだよ。そうだよな、早乙女?」


「ば、バカっ! そういうのではない!! こ、これは列記とした、け、契約だ! 互いの小指を交わらせ、(まじな)いを口にする。これを破れば幾千もの針が体中を串刺しにするという、怖ろしい契約だぞ!?」


「あぁはいはい、要は指きりって事な」


 いちいち面倒な言い回しではあるものの、よ~く読み解けば意味合いが分からない訳ではなかった。


「ほら、お前ら……どうすんだ? わざわざ早乙女の方からアプローチしてんだぞ? これをきっかけにしないでどうする」


「あ、あぁ」


「そう、だな」


 俺の後押しに、二人は少し戸惑いつつも頷いた。


「クフフ……本当に良いのだな? 契約すれば二度と解く事は出来んぞ?」


「ああ、いいぜ」


「へへ、望むところだ!」


 早乙女の最終警告に、二人は問題ないと口元に笑みを浮かべる。

こうして二人は早乙女と友達の契約を交わした。


「ふぅ、これで一件落着ですね」


「ふふっ、お疲れ様でした、穂明くん。部の人間でもないのに、このような大変な一件に関わらせてしまって」


「いいえ、生徒会長に自分から進言したので、仕方ないですよ。それじゃあ、そろそろ俺戻りますね。早乙女達はもう大丈夫だと思うので」


 そう言い残し、俺はさっさと屋上から退散した。が、階段を降りて中等部棟を後にしかけたところで、後ろからついてくる足音に気づいた。


「ん?」


「はぁはぁ、待て……まだ、貴様の名を聞いていない」


「ああ、そうだったな。俺は穂明遊馬だ……」


「遊馬……覚えたぞ、貴様の名。決めた、貴様は我によく尽くしてくれた。だから――」


 おい、この流れってまさか、俺を好きになったから付き合ってくれ的なあれじゃ……ないだろうな?


「――我の奴隷になれ!」


「なッ、何でだよ!?」


 予期せぬ早乙女の発言に、俺は思わず声を張り上げる。


「クフフ……あの時の貴様はなかなか格好良かった。物凄く、いい血の匂いがした。だから、我と契約し、我に血を与える生贄奴隷になれと言っているのだ」


 いや、何それ意味分かんない。何故に俺がそんな訳の分からん立ち位置になる!?


「わ、悪いが、断らせてくれ」


「な、何故だ!?」


「奴隷はちょっと……その代わり、親友になってやるからさ」


「……親友か、まぁそれも良いかもしれん」


 ふぅ、どうにか親友に留まってくれそうだ。


「それじゃあな、早乙――」


「待て!」


「え? ま、まだ何か?」


 顔だけを後ろに向け、早乙女を見る。


「……き、貴様には特別に真名で呼ぶ事を許す」


「え?」


「ええい、分からんのか!? 叶絵って呼んでいいって言ってるのっ!!」


 ムキになったせいだろうか、途中から素に戻ってしまっている早乙女――いや、叶絵。そんな彼女の初々しい反応に、俺は思わずクスリと笑ってしまった。


「ああ、分かったよ、叶絵。じゃあな」


「あ……ま、また来るのだぞ?」


「へいへい!」


 軽く手を振って俺は渡り廊下を渡って行った。振り向こうかとも思ったが、小さく鼻を啜る音がしたのでそれはやめておいた。

とにもかくにも、この一件は片がついた。

俺は携帯で時間を確認し、少し早足で生徒会室に帰還するのだった……。

というわけで、美術部の一件が終わりました。とりあえず部内のイジメ問題は解決しましたが、まだクラス内のそれが終わったわけではありません。まぁ、同じクラスの男子生徒が一人いるので、そいつに守ってもらう方法もありますかね。

とにもかくにも、生徒会がてこずっていたゴタゴタが一応解決し、問題は次になります。

次回、また新キャラが出ます。

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