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これで決着

お久しぶりです久々の更新ですが、これからも宜しくお願いします!

誤字脱字や、感想お待ちしてます。

 互いの渾身の一撃が衝突。キョウキにしてみれば、文字通りの命を賭した一撃。

 万物を両断するべくの最凶の能力を宿す斬撃を振るうキリヤに対してオーガとして全てを赫の魔力オーラと自身の拳に託したキョウキ。


 両者の必殺技とも呼べる大技の衝突時に発せられた余波はそれだけで地を割り、小規模のクレーターを生み、周囲の空間をも揺らぐ。

 拮抗したのは刹那の時間。その直後にキリヤの振るった大剣に罅が刻まれ、砕け散る。鬼の執念とも呼べる赫の魔力オーラを宿した右拳がキリヤの腹部を捉えた。その結果、蹴られた毬の如く地面を何度も撥ねてゴロゴロと地を転がる。距離にすれば、二十メートル程して樹木に激突する形で動きを止める。そのままキリヤの意識も闇の中に沈みかける。だが、気力で意識だけは手放さない。ここで眠る訳にはいかないと自分を鼓舞する。





 第三者が観戦していれば、これで完全にキョウキの勝利と思われるが、事実は違っていた。完璧に迎撃に成功した様に写っているが、キョウキの右腕は手の先からから綺麗に縦に割かれ、鬼の象徴とも呼べる角もろとも右頭部から右肩にかけて切り裂かれているのだから。

 前の様な異様な回復力を持たない今のキョウキには、それだけで致命傷は免れない。まして、既に満身創痍の身の上なのだから。


 辛うじてだが、即死を免れたのにはいくつかの理由ワケが存在した。一つ目は純粋に魔王級に進化を果たしたキョウキの常軌を逸脱した生命力だろう。二つ目にキリヤの放った絶対切断の刃を途中で砕いた事で即死だけは防ぐ事に繋がったのだ。




(……最強には届かなかったか……同胞ナカマの死を無駄にしたんだな、自分自身で)


自身の命の灯火ともしびが保って数分だと、本能にて自覚する。


(自分の弱さが招いてしまった事で同胞ナカマにどれだけの迷惑を掛けてしまっただろうか……)


 死者には謝罪。そして、生者には出来る限りの贖罪をしたいと願う。だが、既に朽ちる事が運命だと告げているかの様に身体は言うことを利かない。だが、以前の様にこのまま流されるだけの自分ではいたくないと思い奮起する。


(……自分の弱さに負けてられない。同胞ナカマに何も伝えていないし、残せていないだろう!)


 知恵と記憶を振り絞り、閃く。今の自分に出来る事を。

 最後の気力を振り絞る。魔力も枯渇している。だが、諦めない。そして、口を開く。



「おぃ……起きてるん、だろ、?」

 風が吹けば消え入りそうな掠れた声でキリヤを呼ぶ。

「グググ、なんだよ?」

 何度目かの呼びかけにて傷口を抑え痛みに悶絶しながらもキリヤが言葉を返す。


「……頼みが、ある。……可能な限り、でいい……同胞ナカマを頼む」

 怪訝そうな態度のキリヤに必死で想いを伝える。


「敵の頼みなんか、聞けないぜ? そもそもオレに何かしらのメリットでもあるのか?」

 傷の治療を済ませたキリヤは当然と言わんばかりに断る。キョウキの境遇に若干の同情を募らせているが、所詮その程度である。


「……メリットもある」

 そのメリットについて問い質すキリヤにとんでもない発言で返す。


 自分を吸収させる事を報酬だと言い放つ。


「……おいおい、何の話しだ?」

一瞬、両目が見開き、鼓動が早まる。自身の『捕食者(プレデター)』という、トンデモ能力(スキル)の存在は隠し通しているはずなのだが、既に戦闘中で暴かれていたという事らしい。



「……頼む」

ただ一言だけ、縋る様に最後の事を託すと言うと、キョウキの瞳から急速に光が失われていく。


(……最後の最後には鬼らしく生きれただろうか? )


己の道を魔王に教唆されて、殺戮と暴食に狂った大鬼(オーガ)勝者(キリヤ)に全てを託す様に短い生涯を終えた。


ただ、その最後を唖然としてキリヤは見ていた。

そもそも、勝手に相手を喰らうことの出来るキリヤにとって、これは報酬でも、何でもないのだ。

能力(スキル)の効果を見破られてた事に動揺こそは、最初にしたが、託した後に勝手に逝ってしまうキョウキ。



「いやいや、おかしいだろ? なんで勝手に託して逝ってんだよ!」

独り残されたキリヤのツッコミが、寂しく森の中に響いた。

そして、今更ながら思い出す。自分がボノロア大森林に足を運ばなければ、ここまでの被害は無かったのではないだろうか? ということを。


元凶とは言わないが、随分と間の悪いことだと考えながら、今までで類を見ない程の最凶の敵を喰らう。


一呼吸終える間も無く、急激な眩暈がキリヤを襲う。それは、眩暈だけではなく、身体中をとてつもないエネルギーが駆け巡る感覚。細胞の一つ一つにも莫大な魔力にも近しいエネルギーが宿る。だが、その桁違いなエネルギー量にキリヤの身体が耐え切れていない。莫大なエネルギーはキリヤの今の身体だけでは抑えきれず、周囲に漏れ出る。


この状況は今までに二度だけ経験したことがある進化の状況に酷似していた。だが、今までなら一瞬とは言わないが、ごく僅かな時間で進化は終了していた。


(なんだよ、コレは……)


酷い頭痛がキリヤを襲う。それは、頭に莫大な情報がインプットされていく感覚。 そして、無機質な不思議な声が頭に響く。


伝説能力(レジェンドスキル)『覇気』を取得しました》

神之能力(ゴッドスキル)『鬼神化』を取得しました》

《『上級魔人』から『魔王』に進化しました》


『上級魔人』から『魔王』に進化して能力(スキル)を獲得した事と『能力進化(スキルアップ)』が発動したとこまでは、微かに意識があったのだが、能力を結合進化させた事で身体に対する負荷が更に増した結果、ギリギリで耐えてたキリヤの意識は闇に沈んだ。

今までの様に進化したことを告げるが、今までとは違い一瞬で光が消えて進化が終了とはならなかった。


そして、気がつくと戦闘を終了してから数刻の時が経過し、陽も傾き始めている夕刻であった。

時間が掛かったが、 莫大なエネルギーを宿すだけの器は魔王に進化した事で完成する。そして、先程まで漏れ出ていた魔力光を抑えることに成功する。


進化を無事に終了すると、僅かに余裕も生まれた事である事に気付く。


(囲まれている。しかも、多いし)


完全に包囲網が完成していた。どのタイミングからなのかは判断出来ないが、徐々に包囲は狭くなってきてる事が伺える。


(感覚的に軍隊っぽいよな。 少なくても、それなりの練度だろうな)


周囲を警戒しながら、自身のステータスを確認してみる。そこには、以前とは大きく変わっていた。


ステータス

 名前/キリヤ・エルロード

 種族/魔王《ユニーク天魔王》

 能力(スキル)

 希少能力(レアスキル)/『全属性耐性』

 固有能力(ユニークスキル)/『能力進化(スキルアップ)』,『天賦の才・智』,『天賦の才・武芸』,『天賦の才・魔法』,『身体変換(メタモルフォーゼ)』,『猛毒魔法(ポイズン・マジック)』,『天使武器(エンジェル・ウェポン)』,『竜炎』,『竜炎武装』,『金剛騎士』,『自己再生(リジェネレイト)』,

伝説能力(レジェンドスキル)/『神眼(ゴッド・アイ)』,『闇夜之暗殺者(ナイト・アサシン)』,『捕食者(プレデター)』,『大魔導書(グリモア)』,『覇気』,『伝説之生活術(レジェンド・アライブ)

神之能力(ゴッドスキル)/『鬼神化』



能力進化(スキルアップ)』が発動したお陰で、能力(スキル)の数も良い感じに整理されて断然、強化されていた。なんとなく名前で判断できるが、中には判断し難い能力(スキル)も存在する。


『金剛騎士』とか『伝説之生活術(レジェンド・アライブ)』とか。


(色々と試してみたいが、先ずは……)


思案中のキリヤの前に遂に包囲してた謎の集団が姿を現した。


「どういった御用件で?」

キリヤの視線の先には完全に武装した人間と魔物達が存在した。魔物と人間達は意思疎通も問題ないのか、混合の軍として機能している。魔物の方は オーガ、オーク、ハーピィ、ゴブリン、コボルトといったボノロア大森林の大部分を占める種族達であった。そして、中には見覚えのある者達もいた。


「我々は要塞都市の防衛を任されている者であります。あの怪物を倒したのは貴女様でございますね? それについて詳しい話しをお聞きしたくて、参りました。それに褒賞金の準備も御座います」



要塞都市とはアインバルドという街の俗称である事をキリヤは思い出して、ついて行くことにする。褒賞金に釣られた訳ではない。詳しく状況を確認する為に情報収集という目的も確かに存在したのだ。


「よぉ、お前らも無事だったんだな」

顔見知りレベルだが、他の者に比べればマシだと思い魔人達に声を掛けるキリヤ。そこで、事情を説明してもらいながら街に向かうのだった。





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