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スライムを喰らう。そして、精霊と対峙

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 拠点を湖の傍に移してから、数週間が過ぎた。もう既に日にちを数えるのが面倒だから数えるのを止めたキリヤである。

 その間にどんどんと能力スキルが増えていくそれは、キリヤの努力と言うの名の捕食活動の成果である。これが現在のステータスだ。


 ステータス

 名前/霧咲霧夜(仮)

 種族/???《ユニークモンスター》

 能力スキル

 通常ノーマル/『隠密』,『気配察知』,『不意打ち』,『飛行』,『俊敏』,『擬態』,『剛力』,『忍び足』,『遠吠え』,『麻痺耐性』,『毒耐性』,『熱察知』,『幻覚耐性』,『魔力隠蔽』,『超音波』,『嗅覚』,『隠形』,『幻術』,『索敵』,『鎌鼬かまいたち

 稀少レア/『喰らう者』,『切り裂く者』,『麻痺を操る者』,『毒を操る者』,『食物連鎖』,『潜む者』,『隠れる者』,『刈り取る者』

 固有ユニーク/『弱肉強食』,『能力進化スキルアップ


 キリヤは自分の能力を忍者みたいだと、常日頃から感じていた。獲物を探しては、隠れて、命を奪い、最後に喰らう。最後の行程は忍者関係ないけどな。


(何か派手な能力スキルが欲しい)


 この頃は今のサバイバル生活にも慣れて思考に余裕がある。その為にか、派手な能力が欲しいと思っている。折角、剣と魔法の世界に転生したのだから魔法みたいな派手な能力が欲しいと思うのは日本男児としてのさがだろう。本当に剣と魔法の世界なのかは、知らないけど。やはり、憧れるものがある。


 そんなこんなで今日も獲物探しからキリヤの一日は始まる。森に生きている生物が派手な能力を持っている確率が少ないのが悩みの種であった。森に生息している奴らはみんな狩人ハンターな為に派手さは当然の様にないが、大自然を生きる知恵と技術を身に付けている。よって、隠密系や索敵の割合は非常に高い。経験者は語るのだ。実際にそうだったし。いろんな生物を喰らったが、似たような能力ばかりで目新しさに欠ける。


 何か語っていると、キリヤの索敵に複数の反応があった。反応のある辺りに行ってみると、四匹のスライムと思われる存在がいる。


(スライムって青色だと思っていたが、緑なんだな。まぁ色んな色があるんだろうけど)


 四メートル程の大蛇に体を変化させて、スライムの一匹を丸呑みにする。

 スライムは体長40センチぐらいなので、簡単に呑み込める。呑み込むと同時に『毒を操る者』で体内に毒を作成し、消化する。胃液の代わりと思ってもらえば、問題ない。


 そして、四匹のスライムを喰らい尽くす。四匹喰らうのに30秒もかからなかった。


能力スキル『分裂』,『吸収』を取得しました》

 頭に不思議な声が響く。この声にも既に慣れてある。


 そこから更に移動すると、洞窟を発見する。この洞窟の中にキリヤの索敵が反応する。多数の存在をが居ることは分かるが、何が居るかは分からない。

 そこで、『超音波』を洞窟の中に使い、中の様子を伺う。


(小さな水の塊みたいなのが無数にいるだけ……スライムかな?)


 キリヤはそのまま洞窟に入る。少し奥に進むと、大きい広場みたいな場所があり、そこには大量のスライムが存在していた。地面や壁に天井にもヘバリ付いていた。


(ざっと、見ただけだが、100以上はいるな。まぁ吸収させてもらうか)



 キリヤはさっきのスライムと同じようにして喰らい尽くす。全てのスライムを捕喰するのに数十分ほど掛かった。

 だが、おかげで能力スキルが増えた。

 

 『形状変化』と『身体変化』の二つを新しく入手できた。二つとも似たような能力スキルだが、大いに優秀そうだ。

 『身体変化』は名前の通りに自分の身体を細胞単位で変化させる能力だ。『形状変化』も似た様な能力だが、自分の魔力にも作用できる。魔力で物質を作成できる。


(RPGでは、雑魚の代名詞であるスライムとは、考えられない程の便利な能力だった。スライムに感謝だ)



 洞窟の中でスライムを喰らい尽くす事に成功したキリヤはスライムに感謝しながら洞窟を出る。洞窟を出てからは東に向かい、飛行を開始する。方角は何となくで決めてある。この世界の地理なんて全く不明だから、どこに向かっても一緒だろうと深くは考えずに進むキリヤ。



 東に向かい移動を始めて、数刻の時が経つ。進めど、進めど、木しか見当たらない。だが、そんな中でキリヤは遠方にて巨大な蜘蛛の巣を発見する。

 その巣のいくつかには、巨大な蜘蛛が生息していた。全長が二メートルは超える大蜘蛛である。デカい蜘蛛だが、大蛇形態のキリヤに比べたら、小さい。キリヤにとっては、標的でしかない。十を超える数の蜘蛛をイチイチ相手するのも面倒と考えた、キリヤは上空から毒のブレスを吐く。一瞬で、猛毒の粒子が蜘蛛の巣地帯を飲み込む。この毒は大蛇が生前にキリヤに放った、酸性の強い毒ではなくて、生物を殺すのに特化した毒である。徐々に蜘蛛も動きが鈍り、生命活動を停止していく。中には逃げようとする存在も多く居るが、毒が体内に回るのが速くて無駄であった。そして、動かなくなった、蜘蛛を片っ端から捕食する。捕食をしていく最中にキリヤは蜘蛛の巣に捕まっている存在を発見した。糸でグルグル巻きにされていて、どんな生物かは判断できない。しかも、複数ある。その糸を裂き、中の生物に視線を移す。捕まっていたのは角生えたウサギだった。

 巨大な蜘蛛と頭に角の生えてるウサギを捕食し終える。角のあるウサギは蜘蛛の巣に捕まっていたので、オマケとばかりに一緒に頂く。それに、既に息絶えていたので、問題ない。例え、生きていようが、結果は変わらないが。


(あのウサギも毒の霧の中に居たんだから、死んで当然だよな。それか、あの蜘蛛に既に生命を絶たれていたのか)


 特に無意味とも思いながらも、喰らったウサギ達からも意外と能力をゲット出来たのだ。これは、嬉しい誤算だった。『逃げ足』と『跳躍』の能力がウサギ達から入手できた。蜘蛛の方は『蜘蛛の糸』と『罠師』であった。

 能力名を視れば、内容も分かると思うが、蜘蛛の糸でバンジージャンプで遊べる様になった。どうでもいいが。



(てか、この森林はどれだけ広いのだろうか? もう軽く、数百キロメートル以上は飛行している筈だぞ。いや、今日以外にも移動していたからそれ以上の距離を移動しただろう。街はおろか、村すら見当たらない。この世界には人間が居ないのだろうか?)


 この話題は止めよう。ネガティブに考えるな。落ち着こうと深呼吸をするキリヤ。ネガティブ思考を止めてから少し経つと、綺麗な花畑が見えてきた。

 色々な種類の花が咲き乱れていた。色とりどりで綺麗だ。


(綺麗だな。天国や楽園みたいだ。幻想的とはこんなのを言うのだろうか)


 最初にキリヤが抱いた感想はそんな純粋なものだった。しかし、すぐに花畑ソレの不自然さに気付く。その花畑は半径100メートル程の綺麗な円周である。自然に出来るものではないのは一目で気づく。周囲には密生している木々が乱立しているのに対して明らかに変である。


(まぁ気にしないがな。少し近づいてみるかな)


 花畑に行くのに今の姿は似合わないので、最初らへんに喰らった蝶の身体に変更する。今までは合成獣キメラみたいに数種類の身体を合わせる事しかできなかったけど『身体変化』と『形状変化』を手に入れてからは単体の身体にも変身が出来る様になった。


(スライムのおかげだな。スライムに感謝だ)


 八センチ程の黄色の蝶に変身してから花畑に近づいた。『麻痺耐』や『麻痺を操る者』を手に入れた蝶の姿に変わる。


 花畑の中心地辺りまで来てみると3メートル程の綺麗な円を作るかのように黄金に輝く花が生えている。


(コレ売ったらいくらぐらいになるのだろうか?)

 キリヤは幻想的な空間に居ても俗物に心を占領されていた。その黄金の花の近くをよく見てみると、一匹の蝶が居た。その蝶も身体の色が金色だった。そして、神々しい光を身体から発している。


(なん何だ!? あの蝶は!? さっきまでは居なかった筈なのに……)

 『気配察知』,『索敵』,『熱察知』にも反応が無かったのだ、偶然か? 『熱察知』が蝶に効くのかは知らんが。キリヤはは焦っている。

 確かに花畑に近づいてからは幻想的な景色に目を奪われていたから『索敵』や『気配察知』を集中していなかったが、十分に気づく筈なのに。

 それに、花畑に来る前には花畑全体を覆う範囲を索敵したが、反応は無かったのに。


(どーゆう事なんだ? ……とりあえず喰うかは保留にしておこう)


 最近では、相手がどんな生物だろうが、捕食するのに躊躇いを見せなかったキリヤだが、この時は躊躇いの念が伺えた。すると、不意に声が聞こえる。


『我が聖域に侵入してきたから何者かと思えば、蝶か。もっと、禍々しい者の気配を感じたのだがな。少々、魔力を持っているみたいだが、我が聖域から立ち去れ。我みたく、進化してから出直してくるがいい』


 ……どうなっているんだ? 蝶が喋ったのか! てか、進化って何なんだ!?

 キリヤは驚きの連発だった。しかし、意思のある生物と出会えた事に少し嬉しかった。とりあえず、自分も話しかけてみようと思い、口を開こうとする。


「……」


(声が出ない! ……声帯が無いから当然か。アハハハ)

 

『ほぉ~我の指示が聞けないのか?ならば、力ずくで行かせてもらうぞ。下等なる存在でも、同族に手を掛けるのは我も辛いのだがな……仕方ないか』


(どうするつもりだ?)

 黄金の蝶が花から飛び、はねをこちらに一度だけ、羽ばたかせる。たった、それだけの行為で鎌鼬かまいたちが起こる。複数の風の刃がキリヤに放たれる。

 キリヤは俊敏と飛行の御蔭で素早く身体を動かして躱す。


『貴様は普通の蝶ではないな! 面白いぞ。我の力をとくと喰らうがいい』

 黄金の蝶は言い終わると、翅を何度も羽ばたかせた。すると、今度は竜巻が起こる。


(おいおい! 花畑せいいきごと吹き飛ばす気か!)

 キリヤは蝶の姿のままだと、上手く戦えないので蛇の姿に戻る。そして、対生物用の猛毒の吐息ブレスを凄い勢いで吐きだす。

 猛毒の吐息ブレスと風の竜巻が衝突する。互いの攻撃は均衡を保っている。しかし……


『毒の吐息ブレスとは愚かな! 自分の身に喰らうといいわっ!』

 黄金の蝶の竜巻の威力が増大する。その結果、キリヤの毒の吐息ブレスを巻き込み、毒の竜巻が出来上がり、そのまま毒の竜巻はキリヤをを飲み込む。


 紫色の毒の竜巻で互いに視界が閉ざされる。ダメージを受けているキリヤとは違い、蝶の方は余裕の表情が伺える。


『アハハハ。まさか、蝶に化ていたとはな。だが、最後は自分の毒でやられるとは情けないな』

 蝶は高笑いをして隙だらけであった。そこに、キリヤは油断して高笑いをしている蝶に向かって、毒の竜巻から飛び出し、口を開き小さな蝶を飲み込もうとする。


『何!? 我の竜巻と自分の毒を喰らって、生きているのか!!』

 蝶は驚き、余裕の表情が消える。元々の蝶の表情なんて理解出来んが、喋り方で判断すると、多分そうである。


(毒の方は毒耐性の能力スキルがあるから良かったが、竜巻の方は直に喰らった所為で全身傷だらけで辛いな)

 

 キリヤの口が蝶を捉える寸前に蝶は急加速をする。その結果、キリヤの噛み付きは空をきる。一気に上空まで避難する蝶。


『今のは危なかったぞ。だが、これで終わりだ』

 蝶は何回か翅を羽ばたかせた。最初に見せた風の刃を放つ。最初の様に躱したいが、身体が四メートル程に長い所為で避けきるのは至難の業だ。

 しかも、風の刃の数が数十を超えていた。最初に飛ばした刃の 数倍以上の大きさと速度で飛んできた刃はキリヤの身体ズタズタに切り裂く。

 身体を真っ二つにされ、無数に切り裂かれる。しかも、翼や腕も切り落とされる。身体はバラバラに切り裂かれ、花畑に血と肉が降り注いだ。

 痛みはもちろんある。


『アハハ! 所詮この程度か。精霊に進化した我に魔物風情が勝てると思っていたのか』


 頭上では蝶が精霊であるとかほざいている。


(精霊のイメージが崩れるだろうが)

 え? 何で生きてるのかって?

 ―――ユニークモンスターだしね。生命力が強いのかな。

 現在の姿は最初の姿だ。つまり、蟷螂カマキリだ。蛇の身体の死体がバラバラになった時に身体を再構築したのだ。上手くいくもんだな。

 だが、大量の魔力を消費されてある。



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