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病魔王カースド・ウィルス

お久しぶりです。

リアルが忙しくて、中々更新が出来ませんでした。

申し訳ありません。

長い間、執筆を中断していた所為か文体が今までと若干ですが、変化した様な気がします。気になる人が居ましたら、報告お願いします。


 オーガの住まう山の頂で二体の魔人が相対する。その内の一体は鬼の固有ユニーク個体で名をキョウキといった。その鬼は同胞オニを喰らう事で自身を強くする事が出来た。その為に頂上付近に居た多数の鬼は無残にもキョウキに喰われて死滅した。そんな化け物の目の前に立っているのは、先ほどからの連戦にて魔力も身体も全快は言えない様子のキリヤだ。


「ギヒ、やはり生きてたか。あいつ等に勝ったお前ならば、オレの力を試すのにいい相手だろ?」


 キョウキは不敵な笑みを浮かべる。


「テメェが何者でも関係ねぇが、人の獲物を横取りしてんじゃねェェよ!」

 一瞬でキリヤはキョウキに肉薄し、刃状に変化させた腕で身体を貫く……筈だった。だが、キリヤの腕は標的の胴体に触れる事すら出来ずに腕を掴まれる。


「何だ? この程度か」

 キョウキが物足りなさそうに呟いた直後にキリヤを掴んでいる腕が炎に呑まれ、周囲から風の刃がキョウキに襲い掛かる。


「ざまぁ」と言葉を返したキリヤ。しかし、この程度で倒せるとは考えていない為に攻撃の手を緩めない。確実に倒すべく、自身の最強の技である絶対切断を躊躇せずに叩き込む。刃状の腕を縦に振るうキリヤの絶対切断をキョウキは自身の身体の彼方此方から生えてくる無数の腕が防ぐ。

 その腕は一本ずつが凄まじい強度を持っていた。そんな腕が何重にも重なった腕はキリヤの絶対切断を防ぐ。大半の腕を切り落とす程度に留まったのだ。


「化け物かよ……」

 キリヤは距離を取ると、本音が口から洩れた。


「オレの大切な腕を切り捨てるなんて酷いぜ」

 新しい腕が生やしながらキョウキは話す。



(もう魔力にも余裕が無いぞ……)

 余裕の表情のキョウキと違い、キリヤには焦りの表情が占めていた。


「炎よ、敵を焼きつくせ 《ヴォルケーノ》」

 残された魔力量を計算して、魔法を放つキリヤ。しかし、キョウキはその炎を涼しい顔で受け止める。魔法が消えて視界が開けると、そこには逃走しているキリヤの姿が見えた。


「はん、そんなんだと思ってたぜ。鬼ごっこだか」

 キリヤは縮地で崖の方向に一瞬で移動する。そして、そのまま力一杯に踏み込む。その背中には魔竜ドラゴン大天使ミカエルの翼を備えていた。


「―――――ッチ、アイツは空も飛べんのかよ。まぁ撃ち落とせば問題ないか」


 大口を開けたキョウキは魔竜ドラゴン吐息ブレスにも似た魔力攻撃を放った。その一撃はレーザーの様に強力である。その一撃をキリヤは直撃する。その結果、キリヤの身体は光の粒子になり、霧散・・した。


「一撃でゲームオーバーか。手応えのネェ奴だなァ」

本当ホントだな。激しく同意だ」


 キョウキの独り言に応える者が居た。その者は刃状の腕を横に一閃。その一撃で簡単にキョウキの首を切り落とす。


「案外、呆気なかったな」

 そのフラグとも取れる言葉に反応するかの如く、キョウキの身体が脈打つ。そして、首の無い状態で立ち上がり、襲い掛かってくる。動きは単調だが、魔力の枯渇気味のキリヤには厳しい相手だった。


 首を失った筈のキョウキの攻撃でキリヤは窮地に立たされる。



 キョウキを観戦する者達が居た。その者達は、キョウキに同族喰いの力を与えた本人であった。


「おいおい、死んじまったじゃんカヨ。病魔王カースド・ウィルスさんよォ? 」


「フフフ、これからが本番ですわ。これで、あの身体にはワタクシと貴殿の力を注ぎ込んで作った、唯一の成功個体でしょう」


 この場には二人の魔王が存在した。一人目は病魔王の異名を持つカースド・ウィルス。気まぐれで複数の国を滅ぼした超危険な魔王。身長が170センチと少し高めだが、全体的にスラリとした体型。髪色はパープル。髪の長さはロング。瞳の色は深紅の様な赤色であり、容姿も整っており人間に近いが、彼女の肌は水晶の様な半透明な色をしてあった。


 もう片方の魔王は超合成魔獣キメラティックと呼ばれる者だ。キメラティックは、とある魔導国家が作り上げた生体兵器であった。その国はキメラティックによって、当の昔に滅ぼされている。

 顔面には獅子の顔、その上には二本の力強い角。胴体は人型に近いが、人間とは全く違い表面には爬虫類に類似した紫色の鱗で覆われ、尻尾は三匹の大蛇である。背には魔竜ドラゴンの翼。腕は神狼フェンリルと呼ばれる魔物の腕である。この三メートルを優に超える恐ろしい怪物も魔王の一人であった。


「成功個体っても、たかが知れてるゼ? 複数の魔人を吸収しただけの事はあるが、それだけダゾ」


「これからも多くの魔人を吸収し続ければ、どうなるでしょうか?」

 悪戯めいた笑みでカースド・ウィルスは尋ねる。


「あー、なるほどナ。いずれは魔王にも匹敵するカモ」

 少し思考し、答えに辿り着いたキメラティック。


「まぁ、それはないでしょうけどね」

「何故だ? 時間を掛ければ、届くんじゃネェのか?」


 キョウキの観察をしながらも二人の魔王は意見を述べ合う。

「その可能性もあるかもしれませんが――――」

 カースド・ウィルスは一旦、区切って言葉を続ける。


「その前に器が壊れるでしょう。魔王に成長するだけの器があれば、別でしょうが。少なくとも精神は狂気に支配されるでしょう。まぁワタクシがそう仕向けるんですけどね」


「アイツがくたばれば、オレが約束通り頂くかんなァ?」


「ええ。別に構いませんわ。約束ですので」


 この二人の魔王は協力関係であるが、仲間ではない。病魔王ウィルスは自分の能力の実験の為に超合成魔獣キメラティックを利用・・している。それは、相手にも言える事である。


「それでは、実験の第二段階に入りましょう。頭をつぶされたので、代わりの頭を作ってやってくれませんか?」


「仕方ネェな。腕は新しく生えるのに、頭は無理なのかヨ」

 キメラティックは自身の左腕を強引に千切り、ウィルスに投げ渡す。ウィルスの手に届くまでに腕は形を変えて、獅子の頭に変化していた。


「面倒だから、あとは任せるゼ」

 千切れた腕が元通りに完治したキメラティックは、新しい頭を届ける作業をウィルスに丸投げする。


「まぁいいでしょう。その方が手間も掛かりませんし」

 新しい頭を手に持ち、ウィルスはその場で転移・・した。



 二人の魔王が居た病魔王カースド・ウィルスの城からキリヤ達の場所までは何千キロと離れていたが、転移にてウィルスは一瞬で移動を終える。




 頭部を失った状態のキョウキの猛攻をギリギリのところで凌ぐ。そこに病魔王カースド・ウィルスが現れる。



「実験は順調のようね」

「ッ!?」

 前触れもなく現れたウィルスにキリヤは驚きを隠せなかった。


「さてと、始めまして。貴女は何者なの?」

 ウィルスは先ほどから気になっていた事を訊ねながら、手に持っていた頭をキョウキの胴体にセットする。キョウキは抵抗せずにされるがまま。そして、頭が完全に繋る。


「それは、こちらの台詞なんだが、こいつの仲間だな? 何か用か?」

 本能で相手の強さを感じ取ったキリヤは油断せずに構える。


「そうね、名乗らせてもらおうかしら。ワタクシは病魔王カースド・ウィルスよ。一応、魔王の一人をしてるわ。貴女は?」

 ウィルスはキリヤを吟味する様に視線を送る。


「名乗るほどの者じゃないんだがな。キリヤ・エルロードだ。」

 魔王と聞き、即座に勝てない事を理解したキリヤは大人しく質問に応じる。


「そう、人間ではないみたいだけど、こんな所で何してんのかしら?」

 


「腕試しに来たんだが、コイツに襲われて困っていたんだ」

 嘘を言わずに正直に答える。


「既にボロボロね。先ほどの質問の答えなんだけど、はワタクシ達の作品・・であって、仲間ではないわよ」


 ウィルスの言葉を素直に鵜呑みせずに警戒を続行しながら、キリヤは思考する。


(作品って事はキョウキが仲間を喰らい始めた原因はウィルスにあるってことだ。そして、仲間か協力者が最低でも一人は存在する事を意味する)



「アンタ等の作品によって、こっちは被害をこうむってる訳なんだが、何かあるか?」


 絶望的な状況であえて、強気で対応する。これで相手の出方を窺うの作戦であった。


「そうね。お詫びと言っては、なんだけどさ。は見逃してさしあげますわ」


 明らかに上からの発言が癪に触ったが、キリヤは何も言い返さなかった。いや、言い返すの余裕がなかった。それ程に圧倒的に格上の存在と悟ったからだ。


「お言葉に甘えさせてもらおうか」

 含みのある言い方が多少気になったが、素直に撤退に移る。無論、完全に信じた訳ではなく、常に警戒は怠っていない。

 ボロボロの身体に鞭を打つ。少しでも早く避難する為に崖を飛び降りる。背中には翼が存在するので、普通・・だったら、無事に飛行できる筈だった。しかし、キリヤは飛行出来ずに崖から真っ逆さまに墜落する。


「あらま、もう病魔ウイルスが身体中に廻ったのかしら」

 崖の上からキリヤが墜落する様を眺めていたウィルスが呟いた。既に病魔ウイルスはキリヤの身体を蝕んでいたのだ。当の本人には気付かれない間に。


「まぁ三日も経てば、病魔ウイルスは自然消滅するでしょうけど、それまでに死んじゃうかな」

 

 最後にウィルスはキョウキに指示を出して、その場から消える。


 ―――――――――――――『本能に従え』


 その後のキョウキからは知性の欠片も感じられなくなっていた。それこそ、最初の頃に戻っていた。いや、それ以上にだ。


 現在のキョウキを突き動かしている原動力は『殺戮衝動』と『暴食』の二つである。出会う生物を片っ端から殺して喰らう。その姿は人型から徐々にかけ離れていく。まさに化け物。その化け物の空腹が満たされる事はない。


 この日、ボノロア大森林にて超ド級の怪物が誕生した。その怪物は留まる事を知らずに暴食の限りを尽くす。この怪物は日に日に強大に。そして、醜悪に成長した。

 その地獄が始まり、三日が経過する頃にはボノロア大森林の生態系は著しく変化していた。多くの生物が死に絶えた。生き残った魔物達は同盟を組み、人間にも助力を求めた。いずれは、近隣の町にも被害が及ぶ事は明確であった為に人間たちも軍隊を手配し、防衛に当たるが―――――――五日も経たずに、近隣の町が蹂躙された。魔物と人間に多大な被害が出るが、魔物と人間による巨大な同盟が結ばれるが、旗色は完全に悪い。





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