ボノロア大森林での戦い ~ハーピィ編
0時に間に合わなかったか……(>_<)
次回の更新も出来るだけ早めにしたいですけど、未だに未定です。
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(/ロ゜)/
キリヤと相対するハーピィは流暢に人語を話す。その為に、キリヤは会話ができると判断し、言葉を発した。
「何者かと聞かれたら、冒険者と応えるしかないな。ボス以外は見逃してやるから安心しな」
キリヤは目の前に居るハーピィが魔人であることはステータスを確認せずとも理解できた。その後で神眼でステータスを覗く。
ステータス
・ 名前/ハピネヴェース
種族/下級魔人 《鳥魔人》
能力
通常/ 『飛行』,『嗅覚』,『爪術』
希少/ 『風魔法』,『風流操作』
「冒険者の方がこの森林までお越しになるのは、お久しぶりですわ。しかも、お一人なんて、身の程を知りなさい! 」
鳥魔人――――いや、ハピネヴェースは風の刃を放ってきた。風流操作を使っていると考えられる。眼前まで迫る風の刃を目の前でキリヤも風流操作を発動し、無力化した。
「えっ!……何もしていないのに私の風が消えたなんて」
相手はキリヤが何をしたのかすら気づいていないようだ。
「女を甚振る趣味は無いから、楽に逝きな! 」
ハピネヴェースが放ってきた風の刃より数段大きく威力のある一撃をキリヤは放ったのだ。ハピネヴェースは強烈な風の塊を飛ばし、何とかキリヤの攻撃を防ぐことに成功したが……
「そんな簡単な一撃を防いだぐらいで油断してると、死ぬぞ?」
ハピネヴェースは声が後ろから急に聞こえ、条件反射で後ろに振返った。そこには身体変換で作成された剣を思いっきり振るっていたキリヤの姿があった。
ハピネヴェースが言葉にならない悲鳴を漏らしたが次の瞬間に矢の様に一人の人物が飛び込んできてからキリヤの剣を弾いた。その為にキリヤの剣がハピネヴェースに届くことはなかった。
「ハピネス、無事か!? 奴は何者なのだ?……相当な実力者みたいだが、」
キリヤとハピネヴェースの間に割り込んできた人物は、ハピネス――――ハピネヴェースの愛称を心配しながら、キリヤが何者なのか尋ねていた。
「お兄様、私にもわかりませんが、自分で冒険者と名乗っていましたわ」
ハピネヴェースの言葉に「そうか」と一言だけ返し、キリヤにハピネヴェースの兄貴は相対し、睨めつけてきた。
「話は終わりか? 最後になるんだから、もう少し待つぞ」
キリヤはハピネヴェースの兄貴のステータスを覗きながら言葉を発した。
ステータス
名前/ ハプドヴァース
種族/上級魔人 《変異鳥魔人》
能力
通常/ 『爪術』,『飛行』,『嗅覚』,『身体強化』
希少/ 『風流操作』,『風圧操作』,『風魔法』
固有/ 『疾風』
キリヤはハプドヴァースのステータスを覗いた時、変異鳥魔人の変異と云う言葉に興味を持った。変異種というのだろうか。ユニークモンスターとは違うのだろうか。疑問は尽きないが、考えても仕方がないので考える事を中断した。
「そんな気遣いは無用だ! 貴様を殺して、続きは話すとするさ!」
ハピネヴェースの兄貴――――ハプドヴァースは全身に魔力を循環させ、身体強化を施した。
「あんたに恨みはないが、容赦はしないぜ」
キリヤも全身に魔力を循環させ、身体強化を施す。相手は固有スキルまでしか持っていない為、自分も固有スキルまでしか使わないという縛りを設けた。能力だけ強力になっても、戦い方が疎かで勝てる程ベルゼブブには勝てないだろう。何だって、大悪魔であり悪魔王なのだから。何百年と云うふざけた年月も生きているんだからな。
ハプドヴァースの攻撃は一撃が鋭く、素早さ重視のタイプだ。その一撃自体には破壊力は低いが、その身に直撃すれば、強力な爪と握力で肉を抉ってくる。神眼を使用していない状態で闘っていたら、フェイントに騙されてから一撃を受けてしまったのだ。だが、すぐに『癒しの光』で回復済みである。
「治癒魔法を使えたのか……だが、避けてばかりでは勝てないぞ! 」
ハプドヴァースは回復される前に倒すと決め、短期決戦を仕掛けるべく地面を蹴り、腕に付いてる翼を利用し、一瞬ともいえる速度で肉薄した。
「ほぉう、早いな」
純粋な素早さだけでこの速度なのだ。素直に賞賛の言葉を掛けた。当然、神眼が無くても目で追えないレベルではないが固有スキルである『疾風』を使われれば、どうなるかは検討もつかない。
「この速度に人間は目で追う事も不可能だろう!」
ハプドヴァースは自分の素早さに絶対の自信を持っているらしく、バカ正直に正面から挑んできたが……しかし、キリヤは自分の周囲を一瞬で『竜炎』で覆った。ハプドヴァースの攻撃が届くよりも前にだ。これにより、ハプドヴァースも攻撃を中断せずにはいられなかった。
「チッ! 中々やるな。さすがにこんな魔境まで一人で足を運ぶだけの事はあるな」
舌打ちをしながらもハプドヴァースは警戒を緩めなかった。そして、今のままではこの炎を防壁を接近戦で破るのは厳しいと考え、少し距離を空けた。
「どうした? 攻めないのか、それなら俺から行くぜ! 炎よ、敵を焼き尽くせ
《ヴォルケーノ》」
キリヤは久しぶりに火魔法を発動する。ドガルガル戦では炎に強そうな相手だったので、使わなかったしマモンの時はそんな余裕無かったから火魔法を使ったのはアリス達と出会った日以来になる。それでも火魔法は上手く発動した。キリヤの周りを覆っていた竜炎は前方部分だけ開き、その前方から火の上級魔法の《ヴォルケーノ》が放たれているのだ。迂闊には近づけない……そう、普通だったらの話ではあるが……
「火魔法まで使えるのか。だが、火では風には勝てねぇぇぇよ! 《風圧壁》 」
キリヤから一直線に放たれた炎は地面に吸い付くかの様に垂れ下がる。その結果、ハプドヴァースには届かない。
「これが風圧操作か……大したもんだな 」
「―――――ッ! 何故、貴様が風圧操作を知っている!? 」
キリヤの言葉を聞いた途端に自分の能力がばれたことに驚きが隠せなかった。『風魔法』は有名であるが、『風圧操作』や『風流操作』はその手の能力持ちにしか分からないようなものである。それを相手が知っている事に不安な影が頭の片隅によぎった。
「普通なら教えないが、特別に教えてやるぜ―――――俺も風使いだからな」
キリヤの言葉にハプドヴァースは信じられないと云った表情である。
「あれだけの身体能力で治癒魔法や火魔法も使えるのに……風魔法まで使えると言うのか!! ふざけるな!! 」
能力持ちは基本的に偏った能力だけを持っている場合が多いのだ。武術系の能力持ちは魔法系の能力をあまり持たない。両方を所持していてもここまでの練度で使用することは難しい。それを出来る者は神に愛された者だけである。
「信じるも信じないもお前次第だ 」
キリヤはそう言うと風流操作で風の刃を創りだして放つ。
「―――――チッ!《風圧壁》……確かに、風も使えるみたいだな」
(この世界の奴らは技名を言わないと発動出来ないのだろうか? )
キリヤは今までの事を思い出しながら、少し考えていた。確かに詠唱や魔法名を唱えながら闘うのはカッコいいし浪漫を感じるが、毎回すれば飽きるし面倒になってくるはずだ。それなのに、技名を言うメリットはなんだ? 技名一つ聞くだけでもどんな内容かは、イメージするのは難しくないだろう。
キリヤは知らない事だが、技名とか魔力を消費する技は魔力やイメージも勿論、大切だが、言葉や術式で表す事で世界に起こす現象が強固なものになるのだ。
「お前も守ってばっかだと、勝てないぞ」
キリヤの挑発に感化されたハプドヴァースは大技を繰り出す為により一層魔力を込めてきた。
「なら、本気でいくまでだッ! 風よ、我の敵を蹴散らせ 《暴風波》 」
「炎よ、敵を焼きつくせ 《ヴォルケーノ》」
互いの魔法が衝突した。炎と風が互いに相手を滅ぼそうと凌ぎを削っていた。だが、すぐに押され始めたのは炎だった――――つまり、キリヤの方だ。
「―――――ッ!? 光よ、我が身を守れ 《ホーリーシールド》 」
咄嗟に光の防御魔法を発動したが、徐々に光の結界がガリガリと削れてくる。そして、遂に光の結界を破りキリヤに襲い掛かってきた。




