黒歴史
何故か、大量のddddddddddddddddという文字が話の途中に打ち込まれていたのを修正しました。
ここアイサークの街では現在、二頭のドラゴンが暴れ回ることで多数の損害をだしていた。しかし、その二頭のドラゴンもかなりの疲労が溜まり、動きが鈍くなっていた。
「もう少しで倒せるぞ!!」
「「「おぉぉぉ!!!」」」
隊長の激励に応える騎士達。
「人間如きが俺等に勝てると本気で思ってんのか!!」
ドガルガルの部下の一人のバンドは叫んでいた。
そして、最後の力を振り絞って吐息を放った。しかも、広範囲にだ。
誰もが絶望に目を瞑った時にその者は現れた。
ドガルガルが使っていた『竜炎武装』と呼ばれる能力を発動し、巨大な大盾を創り出して、ブレスを全て防いでいた。
「助かった」
「あの人は誰なんだ?」
「援軍か?」
「これで余裕だ」
「俺達の勝利だ」
騎士達の顔に安堵の表情が浮かび始めたのに、引き換えドラゴン達は顔が青ざめていた。
すでに体力の限界が来ていたのだ。
『聞け! バンド!とドボルネ! ここは撤退だ! 』
全身が黒ずくめの者は叫んだ。
これには騎士団とドラゴン達も困惑した。
「どうなってんだ?」
「俺達の味方じゃないのか?」
「何で?ドラゴンに指示を出しているんだ」
「人間じゃないのか?」
「俺達はどうなるんだよ」
騎士たちが狼狽えている中でバンドとドボルネも困惑していた。
「何で、ドガル様の声なんだ!!?」
「しかし、あの方ではない。気配が違うぞ」
そこで、モタモタしているバンド達に向かって儀式魔法が放たれた。
強力な光の光線が二発飛んできたのだ。気が動転していた二人は儀式魔法に気付くのが、遅くなり回避が不可能なレベルまで来ていた。
二人して死を覚悟した時に二人の前に先ほどの声の主が出てきた。
そのまま片手に一本ずつの鎌を持って、二つの光線を切り裂いた。光線は半分に別れ、街の外に飛んで行った。
『さっさと避難するぞ!」
黒ずくめの者の叫びを無視してバンドは質問する。
「待ってくれ! アンタは何者なんだ! ドガル様はどうなってんだ!」
『その質問にも応えるから、今はとにかく逃げるぞ』
こうして二体の竜魔人と黒ずくめの者――――キリヤはアイサークから抜け出した。
アイサークから大分離れた場所で三人は地面に降りた。
「ドガル様はどうなったんだ!? おい! 早く教えてくれ!」
「落ちつけ、バンド! そんなに急かしたら、話が聞こえないだろう」
ドボルネがバンドを諭した。
「すまない、ドボルネ」
「さぁ、教えてくれ。ドガル様はどこにいるんだ?」
『ドガルガルは死んだ! それ以上の事は言えない!』
その言葉を聞いた二人は黙り込んでしまった。
「……」
「……」
『これはドガルガルの最後の願いでお前達を助けてくれと言っていたから助けたのだ』
その言葉を聞いて二人は涙を流す。
「誰が、ドガル様を殺したんだ? なぁアンタ知ってんだろ!?」
「頼む、教えてほしい」
『俺が殺した』
「「なっ! 」」
『俺とドガルガルは一対一で正々堂々と戦い、俺が勝った』
「嘘だ……嘘だ」
「ドガル様は笑って逝きましたか? 正々堂々と戦って死ねたならあの人も本望でしょう」
『勿論だ、奴は最後まで笑っていた。お前たちは強くなれ! いつか、俺を殺せるようにな! 去らばだ!』
キリヤはそう言い去っていった。
(柄でもない事はするんじゃないな。すげー恥ずかしいわ。俺の黒歴史入りだな)
空中をある程度、飛んでいると、近くに森が見えた。そこに見た事の無い魔物が数種類も発見できた。
そこには、体長が2メートルほどの猪が三頭居た。猪は近くのキノコを食っていた。その近くの木の上には羽根が刃状の小鳥が五羽居た。その隣の気には尻尾が燃えているリスが一匹居たのだ。
キリヤの行動は只一つだ。勿論、狩る事だ。小鳥には斬撃を飛ばして、逃げられる前に五羽とも仕留めた。リスには一瞬で、近づき手で首を落とし、仕留める事に成功した。最後の猪は木の上から『竜炎武装』で創ったナイフを投擲し、三頭とも仕留める事に成功する。
能力が手に入ったみたいだ。
ステータスを確認してみた。
ステータス
名前/キリヤ・エルロード
種族/上級魔人《ユニーク天魔人》
能力スキル
通常/『剛力』,『遠吠え』,『鎌鼬』,『蜘蛛の糸』,『罠師』,『飛翔』,『鑑定』,『盾術』,『アラーム』,『裁縫』,『暗算』,『杖術』,『槍術』,『話術』,『飛行』,『威圧』,『突進』,『トーチ』
稀少/『風流操作』,『聖気』,『神聖術』,『鎌の担い手』,『水魔法』,『光魔法』,『火魔法』,『土魔法』,『人化』,『狂竜化』,『闘気』
固有/『能力進化』,『癒しの光』
,『天賦の才・智』,『身体変換』,『猛毒魔法』,『天使武器』,『竜炎』,『竜炎武装』
伝説/『神眼』,『闇夜之暗殺者』,『捕食者』
小鳥の持っていた能力は『闇夜之暗殺者』に吸収された。
『トーチ』は蝋燭ぐらい火を灯せるだけの能力だった。
『突進』は真っ直ぐ突っ込む行動に補正が係るだけのショボイ能力である。
(やっぱり、大物を探さないとダメみたいだね)
一旦、アイサークに戻るとするかな。
アリス達にお別れを言ってから修行するかな。
キリヤはそのままアイサークに向けて移動を開始した。
これは、ドラゴンの襲撃事件が起きてから数日後のアイサークの街では奇妙な噂が流れていたのだ。情報の発信源は騎士団たちが多数である。
自分たちのピンチを救ってくれた黒服の者についてだ。
この者付いては、何一つ不明なのだ。冒険者ギルドに問い合わせても何も分からない。謎の黒服の鎌使いの男。唯一つ、分かっている事は男であると云う事だけだ。事実は男ですら、無いのだけど。声で男と判断されたようだ。
その謎の鎌使いの男は後にこう呼ばれる様になった―――――死神と。
その者は人間もドラゴンも両方を救った謎の人物である。
死神の話は、今では吟遊詩人に語られ全国に広がるのであった。その事にキリヤが気づくのは、ずっと先の物語である。