転生先の身体
読んでくれている人は居るのだろうか?
不安でたまりません><
※改稿済み
キリヤは思い出した。一度思い出した事により徐々に記憶が鮮明に蘇る。確かに、自分は撃たれたのだ。その後の記憶はない。
何で生きてるんだろう?
どうしてこんな森に居るのだろうか?
キリヤは沢山の疑問が浮かび上がって、フリーズした。
◇◆◇◆◇ 少し時間が経過した頃
ガザッ!
近くの草陰から物音が聞こえてきた。キリヤは咄嗟に隠れる。そして、物音の正体はすぐに目の前に現れた。
キリヤのの何十倍もありそうな醜悪な顔をした巨人だった。
(―――!? デカい……でも、俺のイメージだと、ゴブリンなんだよな。緑色の肌に醜悪な顔と言えば、ファンタジー系のラノベの定番の雑魚の事だ)
これからは巨人の事を巨大ゴブリンと呼ぼうか。いや、そんな余裕はない。しかし、日本にこんな生物が居る筈ないだろう。てか、地球には居ないだろう。
もし、居たら大変な騒ぎになっているし。
認めたくないが、ここは異世界なのではないだろうか? 今、流行の異世界転生ってやつではないだろうか? 流行っているかは知らんが。
この手のラノベを読んだ事があるが、普通はチートを神に貰ったりするのが、通常なんだがな。キリヤは気付けば、ここに居たので、チートなんて神に貰ってはいない。
(俺は何も無いぞ。それとも、俺が気づいていないだけなのか?)
キリヤが思考をしていると、、巨大ゴブリンは何も無いかの様に歩いて行く。それにしても、巨大ゴブリンも大きいけど、周りの樹も大きいな。キリヤのの何百倍あるんだろうか?
ふと、自分の身体を見てみる……アレ? おかしいぞ! きっと……何かの冗談のはずだ。
もう一度、見てみようか。とりあえず、深呼吸してからだ。
スゥー、ハァー。スゥー、ハァー。
よし! もう一度見てみるか。深呼吸したが、結果は変わらない。そんな馬鹿な! これだと、俺の転生先の身体が奴みたいじゃないか。
キリヤは人間じゃなかったみたいだ。
(俺は人間を辞めるぞ! 霧夜ーーー)
……どうしよう? 本当に人間辞めてた。せめて、人型だったら良かったのに。
――――何に転生したか? だって……好奇心、猫を殺すって言葉知っているか?
ちょっと、気になるぐらいで知りたがっていたら、痛い目を見るぞ。
まぁ俺がな。
分かったよ。白状するよ。
俺はなんと蟷螂に転生しました。
―――ハッ!
俺は今まで、何を。
現実逃避をしたまでは覚えているのだけど。
待てよ、これは悪い夢カモしれない。もう一度、自分の身体を見てみようか。
脂肪が一切無いと思わせる程に細い体。
細くても力のありそうな腕だ。
凄く細くて綺麗な足。美脚だな。
顔は鏡が無いから分からないか。
―――えっ?
それなりに良さそうな身体だって。
君はそれを本気で言ってるのかい?
脂肪が一切無いと思わせる体➔ 蟷螂に脂肪あるのか?
細くても力のありそうな腕➔ 鎌が腕の途中から生えているんだぞ。
凄く細くて綺麗な足だって➔ 四本もあるんだぞ。
分かってもらえただろうか? 流石に元人間の記憶があると、若干と言うか、凄くショックだ。
そういえば、何カマキリなんだろうか? 身体の色が銀色なんだけど。
(異世界みたいだし、知らない種類だろうか。まぁ地球の種類でもそんなに知らないがな)
キリヤは自身に羽が有る事に気付く。故に、飛ぶことにした。
―――何故かって?
決まってるだろ! いつ死ぬかわからない蟷螂なんだから、飛べるときに飛んでおきたいだろ。人間、一度は空を飛んでみたいもんだ。まぁ蟷螂なんだけど。
キリヤは羽を羽ばたかせ、飛び上がる。数十センチぐらいで落ちてきた。
(馬鹿な!? 飛べもしないのか!!)
蟷螂に転生してから唯一のメリットの自由(?)に空を飛ぶことも出来ないのか。最悪な身体に転生したとキリヤは嘆く。それでも、すぐにボジティブに思考する。
(羽の動かし方を知らないから当然なのか? とりあえず、練習してみよう)
役、五分後。ブゥーーンと羽ばたく音が聞こえる。
(ハハハ! 飛べる様になったぞ。中々に気分が良いな)
キリヤが調子に乗って飛行していると、不思議な声が頭の中に聞こえる。
《能力『飛行』を取得しました》
まるで、脳に直接的に言葉が聞こえてくる感覚だ。そして、キリヤは能力を習得した。能力って何だか、ゲームみたいだなとキリヤは思う。ゲームと言えば、ステータスとかってあるのだろうか。あるのなら、見てみたいと考える。
(俺の身体の『ステータス』ってどれくらいなんだろうかな)
急に頭の中に知らない情報が出てきた。
ステータス
名前/霧咲霧夜(仮)
種族/???《ユニークモンスター》
能力
通常/『隠密』,『気配察知』,『不意打ち』『飛行』
稀少/『喰らう者』,『切り裂く者』
固有/『弱肉強食』『能力進化』
なんだ、これは!? 能力にも色々な種類があるんだな……違うだろ! これは何なんだ!! てか、名前の横にある(仮)ってなんだよ!!
キリヤは急に視界に情報が浮かび上がり、冷静さを欠いてしまう。
とりあえず、落ち着こうか。この情報を見てから何個か分かったことがある。
一つ、自分はユニークモンスターって分類に入ること。二つ、能力にはレア度がある。多分だが、通常➔ 稀少➔ 固有となっている。もしかしたら、固有よりも上があるカモしれない。三つ、能力に意識を向ければ、詳しい説明文が浮かび上がってくる。
キリヤの所持している能力の半分は能力名からだいたいは分かるが、わからないものもあるから説明文を読んでおこう。
『弱肉強食』 ・・・喰った相手の力の一部を自分のものに出来る。
『喰らう者』 ・・・喰えば食うほど魔力,体力,体の傷が回復する。
『切り裂く者』・・・斬撃系の攻撃に補正がかかる。
『能力進化』 ・・・条件が合えば、能力を進化させれる。
何で? 喰ったり、切り裂く様な能力が多いんだろうか……蟷螂だからかな。それでも、この能力はチートではないだろうか? この世界の基準が分からないが、魔王とか成れるんじゃね? まぁ成らないけど。
とりあえず、敵を倒す──喰らってから、自分を強化していこうか。
まぁ強い敵も居る筈だろうから、早く強くならないと。
とりあえず、手頃な標的を探しに行くか。キリヤは習得したばかりの飛行を使い、飛んで近くを見渡した。すると、巨大ゴブリンが視界に映る。巨大じゃなくて、自分がが小さいだけなんだった。それでも、自分の身体と比べたら差がヤバい。
(この体格差で勝てるのだろうか? 能力は優秀だし、大丈夫だろう)
不安はあったが、勝てなければ逃げれば良いんだ。自分を奮い立たせる。正直に言えば、怖い。倒せると思っていても、中々に手が出せない。
だが、キリヤは覚悟を決める。そして、ゴブリンに後ろから奇襲を仕掛ける。
(俺の鎌を喰らうがいい!)
右手に生えている鎌をゴブリンの背中に思いっきり、振るう。
”ブッシュ”――――ゴブリンの背中を斜めに切り裂いたのだ。えっ!? ここまで、斬れるの……
逆に怖いんだが、血がドクドクと流れる。地面を青紫色の体液が流れる。多分、血だと思われる。
『切り裂く者』の補正のおかげか? それとも、この身体の性能なのだろうか?
キリヤは無事にゴブリンを倒せて、安堵するが、すぐに重大な事に気付く。
あれ? どうやって喰えばいいんだろう? てか、こんなグロイの喰えないって! 日本人舐めんな!
日本に住んでいた普通の大学生がこんなグロイモンスターを喰えるわけがないだろう。