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魔王との対話

今回は途中からマモンとキリヤの会話での説明回に入ります。

それと、本日二話目ですので。


前回の話でマモンの事をアモンと表記していた場所を修正しました。

正しくはマモンです。紛らわしいミスをして申し訳ありません。


 魔王と名乗っている少女――――マモンとの対話がが始まる。


「その魔王様とやらが、何か用かい?」

 キリヤは仏頂面で質問する。その時に神眼(ゴッド・アイ)でステータスを確認しようとしたが、何故かステータスが視えなかったのだ。

 その事に驚いていると、マモンが一歩前に踏み出していた。当然、警戒度数は跳ね上がる。そして、次の瞬間にマモンは動き出した。


「うん、そうだよ。君がベルゼの片割れなら、強さを確認しないといけないねっ!」

 マモンは言い終わるのと同時に地面を蹴ってから急接近する。

「チッ! 結局、闘うのかよ」

 キリヤは刃状の右腕を振り、マモンを迎撃しようとしたが、マモンの身体が霧の様に分散しただけで攻撃が通らないのだ。

「どうしたの? それで終わりじゃないよね?」

 マモンは期待外れだと言わんばかりにガッカリしていた。


「っざけんなよ! 一度でダメなら何度でもしてやるよ!! 」

 キリヤは左腕も刃状に変換し、両腕で連続でマモンを斬りつけているが、全く反応がない。雲を斬っている様な感覚だ。まるで、実態の無いものみたいだ。

 いくら斬り付けても、全く反応が無いので《絶対切断》を放つが、斬れる感じがしない。


「心意気は買うけど、君は弱いね」

 その言葉に少しカチンと来たキリヤだったが、冷静に相手を見つめるだけで何も言い返さなかった。


(流石は魔王だな。全然、攻撃が当たらないしステータスが視えないとはな)

 ステータスが視えない相手がここまで厄介だと、初めて思った。


「弱い奴の戦い方ってやつを見せてやるぜ! 」

 キリヤは分身体を7体創り出した。分身体は『闘気』と『聖気』に《縮地》を使える様にしておいた。さっきの戦いで使用した魔力はドガルガルを捕食した事で全回復以上になったのだ。


 そして、分身含めて八体が四方八方から《縮地》を発動し間合いを詰める。右手には『聖気』で左手には『闘気』を纏っている状態でだ。


「これは愉しめそうだね。天下無双流、抜刀術 《七天抜刀》」

 マモンの腰に一本の刀が出現した。そして、居合の構えをしたと思えば、目にも止まらぬ早業で分身と本物を全て斬り付けた。


「ガハッ!……速い、神速の抜刀術だと!? 」

 分身は全て、消えてしまった。本物であるキリヤにも多大なダメージが生じた。

「やっぱりね、ボクが思った通りだったよ」

 マモンが嬉しそうに語りだした。

「何がだ?」

「さっきの増える技は全てに実体があり、それ故に全てが本物でもあるんだね。ドガルガルとの戦闘を傍観している時に視てて驚いたよ。便利な能力スキルだよね 」

 今の話だけでも分かった事がある。こいつ等はキリヤとドガルガルの闘いを傍観していたのだ。しかし、キリヤは《空間把握》を何度か発動していたが、マモン達はおろか、近くには誰も居なかったはずなのに。


「随分と余裕の様だな。しかし、今の行動でお前に攻撃を与えれる方法が閃いたぜ」

 マモンに斬り付けられた傷を身体変換メタモルフォーゼで回復させてから宣言した。

「闘気や聖気を纏った攻撃は無力化出来ないんだろう 」

 キリヤはビシっと人差し指を向けて宣言した。

「確かにそうだけど、凄い量の聖気や闘気を纏わないと意味ないと思うよ」

 マモンは相変わらずガッカリした表情が拭えていない。

 とりあえず、聖気と闘気を纏った一撃を喰らわせてみたが、アモンの言う通り、無効化はされなかったけど、ダメージがあるとは到底思えないレベルであった。


「キリヤって器用貧乏だよね。もっと、強力な能力スキルじゃないと意味ないよ」

 マモンの言う通りかもしれない。

「おい! 俺に強力な能力スキルが無いとでも思っているのか!見せてやるぜ!『天使之武器エンジェル・ウェポン』発動! 」

 キリヤは『天使之武器エンジェル・ウェポン』を発動と叫んだが、変化が顕われる事はない。


(あれれ? どうなってんの? てか、ちょー恥ずかしいんだけど)

「えっと、大丈夫?」

 マモンが顔をポリポリと掻きながら、心配そうに尋ねる。

「今はその優しさが痛いよぉぉぉ」

 キリヤはふと、マモンの後方に控えているバアルと目が合った。すると、視線を逸らしやがった。キリヤは精神的に大ダメージを受けた。その所為で、若干涙目である。


「キリヤ、本当にその能力スキル持っているの?」

 マモンは不思議そうに尋ねてきた。


「嗚呼、勿論だとも。天使を倒してゲットしたんだけどな」


「キリヤって天使と会った事があるんだ。アイツ等は基本的に下界に降りてこないから中々会えないのにね。運が良いじゃん 」


「そうなんだ、あっ! 天使の姿になれば使えるかも!」

 そう言うとキリヤの背中から純白の翼が生えてきた。

「本当に天使食べてたんだ。そういえば、ベルゼも昔に食べてたような気がする」

 天使食べてたんだとか云う言葉を口にしている幼女とか。かなりシュールである。


「我がミカエルの名の元に顕現せよ、天使槍エンジェル・スピア!」

 キリヤの手元に神々しい槍が出現した。

「おぉぉ! ホントに出たね。それで、ミカエルって誰なの?」

 そうか、マモンはミカエルを知らないんだったな。

「ミカエルってのは俺が倒した天使の名だ。どうやって、出せばいいか分かんないからミカエルの詠唱を全部真似てみた 」

 キリヤは天使槍エンジェル・スピアを構える。お喋りは終わりという意味を込めて。


「じゃあ、続きしよっか♫」

 マモンは語尾に音符が付きそうな感じで言い終えた。


「行くぞ! 《クイックスピア》 」

 キリヤは槍を高速で突き出す。その槍の先端がアモンの身体に刺さった。今までよりも、斬ったりしたときに感触がある。


「思ったより、痛いわね。 じゃ、おしまいね」

 マモンはそう言ってからさっき創ったか呼び出したか知らない刀でキリヤの腕ごと天使槍エンジェル・スピアを切断する。


 天使槍エンジェル・スピアを破壊されたので身体変換メタモルフォーゼで新しく大鎌を作成し構える。


「なにしてんの?」

 武器を構えたキリヤを見てからマモンがキョトンとする。


「何って、戦闘の続きしないのか?」


「じゃ、おしまいね ってさっき言ったじゃんか」


「そーゆー意味かよ! 紛らわしいな」

 

「えっと、じゃあ、続きする?」

 申し訳なさそうにマモンが尋ねる。

「いや、良いよ! 闘わないで済むなら、此方としては助かるしな。勝てない勝負はしたくないからな 」

 今の戦いだけでも、キリヤは自分とマモンの実力差が分かってしまった。戦闘が終了したからか、バアルが近寄ってくる。マモンのステータスは確認出来なかったが、バアルのステータスはバッチリと視えた。


 ステータス

 名前/バアル

 種族/悪魔 《上級悪魔》

 能力スキル

 通常ノーマル/『身体強化』,『魔法強化』,『魔力自然治癒率UP』

 希少レア/『雷魔法』,『火魔法』,『魔術障壁』

 固有ユニーク/『転移』,『雷鳴』

 伝説レジェンド/『雷神の遣い』


 バアルのステータスを確認したキリヤは驚いていた。強いだろうとは思っていたが、ここまで強いとは思っていなかったのだ。

 まさか、『伝説レジェンド能力スキル』を持っているとは、微塵も考えていなかったのだ。そして、魔人じゃないんだな。

 キリヤの知らない事だが、悪魔は魔人には進化しないのだ。


「まぁ、合格かな。良かったね」

 マモンはいきなり、合格とか言ってきているが、全然分からない。

「何の話だ。確かに、俺はアンタには勝てないだろうが、仲間になるなんて言ってねぇーぞ!」


「キリヤってば、何を焦ってんの?。最初は、仲間に勧誘しようと思ってたけど、ベルゼの片割れだから、協定違反になるから仲間に出来ないんだよね。残念な事にね」


「どーゆう事か、キチンと説明しろよ」

 マモンは溜め息をついた。

「はぁ~ 分かってるって、まぁ落ち着きなよ。順番に説明するから。ベルゼってのは、ボクと同じで悪魔王が一人のベルゼブブって悪魔の事ね」


「何で、俺がそのベルゼブブの片割れってどーゆう意味なんだ?」


「それはボク達、悪魔王は【七つの大罪】シリーズの能力スキルを所持しているんだよ。【七つの大罪】シリーズは強力だからって大昔に神に封印されたんだ。その封印がここ何年かで解けかけているんだ」


(スケールデカいな。神まで本当にいるんだな、この世界には)


「それで、何で? 俺がベルゼブブの片割れなの?」


「封印っても完全じゃないんだ。【七つの大罪】の能力スキルを二つに分けたんだよ。その片割れを神が保管していた。それが、ここ数年でその【七つの大罪】の片割れを所持している者が現れたんだ。その者を【七つの大罪】の悪魔が殺せば、完全に【七つの大罪】シリーズのが復活するし、その逆もありえるよ 」


「成程な。言いたい事は分かった。【七つの大罪】シリーズの一つを俺が所持しているって事だな。そして、ベルゼブブが所持している【七つの大罪】の片割れって事か。マモンは俺の事をベルゼブブに報告するのか?」

 キリヤは恐る恐る尋ねた。


「いや、そんな事はしないよ」


「何故だ? 悪魔王同士、仲間じゃないのか?」


「確かにボクは、ベルゼと同じ悪魔王だけど、仲間じゃないしね」


「人間だって、同じ種族同士で争ってるでしょ 」


「そうか、最後に一ついいか?」


「どうぞ。ボクに応えれる事なら何でも良いよ 」


「じゃぁ、お言葉に甘えて。 マモン、お前は俺の敵か? それとも味方か?」

 マモンは少し、沈黙した。この間に俺の心拍数は凄く上がっているだろう。


「……ボクは敵じゃないよ。味方してあげたいんだけど、協定があるから無理だね。結果、敵でもないけど、味方でもないよ。あっ!でも、助言ぐらいあげれるよ」

 キリヤはホッと胸に手を当てた。


「そうか、助かった。最後ってさっき言ったばかりだけど、協定とは何のことなんだ?」


「悪魔王同士で決めた約束さ」


「別にばれなければ、問題ないんじゃないのか?」


「悪魔は契約を破らないのさ。だから、それは無理だよ。ただの口約束でもね」


「そうか、マモンが手を貸してくれたら色々と助かるのに残念だ。一応、協定の内容を聞いても良いか?」


「うん、良いよ。【七つの大罪】の片割れを見つければ、【悪魔王会議】で必ず報告。他の【七つの大罪】の片割れを保護するのは禁止だ。他の悪魔王が【七つの大罪】の片割れを殺すのを妨害してはならない……の合計3つだよ 」


「次の【悪魔王会議】で俺の事を報告するんだろ? 次の【悪魔王会議】はいつある?」


「ああ、約束だからね。次の【悪魔王会議】は約三か月後だよ。それまでに強くなりなよ。名前とかは報告しないから安心しなよ。どこら辺で見かけたかと容姿だけだからね 」


「そうか、名前はいいのか?」


「名前は協定に含まれてないからね。報告して欲しいなら、するけど?」


「いや、止めてほしい。ベルゼブブはどれくらい強いんだ?」

 マモンと同じ悪魔王って事はアモンと同等の強さならば、現在のキリヤでは逆立ちしても勝てないレベルである。


「ボクよりは弱いけど、キリヤよりは圧倒的に強いよ。ベルゼはまだ【七つの大罪】が完全に復活してないからね 」


「その言葉から察するにマモンは【七つの大罪】が復活してる事か」


「去年にね。異世界から召喚された勇者の仲間が持っていたんだ。偶然、勇者一行と出遭う機会があってね。【七つの大罪】の相手側が近くに居れば、分かるようになっているから、気をつけてね。元々一つのものだから惹かれ合うんだと思うよ 」


「今の話で一つ分かった事がある。マモンには世話になったから伝えておこうと思う」


「なんだい」


「【七つの大罪】の片割れを所持しているのは異世界人だと思われる」


「それは、本当かい!? って事は、キリヤも異世界人なの?」


「俺の場合は元だけどな。異世界転生ってやつだろう」


「だから、一人称が俺なの?」


「まぁ、そうだな。悪いか?」


「いや、別に。良いんじゃないの。人それぞれだし 」


「これから、ベルゼブブの襲撃に備えて強くならないといけないのか」


「キリヤは【暴食グラトニー】の片割れなら、能力スキルとか吸収できるんだよね?」


「そうだな」


「じゃぁ、強い奴を捕食していけば良いじゃん」


「口では簡単に言えるけど、強い奴なんてあんまり居ないだろう?」


「そうでもないよ。人間ならSランク以上の冒険者を狙うと良いよ」


「悪いけど、俺は自分から人間は襲わないんだ。元人間だからな。それに、Sランクの冒険者なら昔に倒した事があるが、大した事なかったぞ 」


「へぇ~ やっぱり、元人間だと抵抗があるのかい? その倒したSランク冒険者は【奇跡の世代】じゃないみたいだね 」


「そりゃ、抵抗ぐらいあるだろう。【奇跡の世代】とは、何だ?」


「【奇跡の世代】ってのはここ数年で急激に実力を所持した人達の俗称だよ。その【奇跡の世代】が現れる前にSにランク以上になった者と【奇跡の世代】では圧倒的な差があるんだよ。勿論、元々Sランク以上だった者が【奇跡の世代】になる事もあるよ。そうなった者は特に強いよ。『疾風迅雷のタカユキ』の様にね 」


「成程、参考になった。魔物や魔人でも狩る事にするよ」


「そうかい、魔人は人間よりも強者が多いしね。そうしなよ」


「嗚呼、そうするよ。強い魔物の出現する地域に向かう事にするよ。魔人もあまり殺したくないしな 」


「キリヤは優しいんだね」


「別に優しくないさ。只、俺の気分が悪くなるからな。それだけさ 」


「このアイサークより、遥か北の地に行けば強力な魔物がウジャウジャいるよ」


「そうか、アリガトな」


「気にしなくて良いよ。キリヤ、くれぐれも魔王に手を出しちゃダメだよ」


「分かってるよ。魔王級の悪魔王にヤられない為に強くなるのに魔王と戦う訳ないだろ」


「でも、キリヤって案外抜けてるっぽいからボクは心配だよ 」


「どこが抜けてんだよ」


天使武器エンジェル・ウェポンだって、すぐに使えなかったしさ」


「あれは、違うぞ。ああやって、相手の油断を誘う為にワザとやったんだよ」


「でも、凄く恥ずかしそうにしてなかった?」


「そんなことあるもんか!!」


「悪魔は相手の感情を読み取るのが得意な種族だからね 」


「少し恥ずかしがっただけだろ」


「まぁいいや、ベルゼなんて返り討ちにしちゃいなよ」


「当たり前だ! こんな場所で死ぬつもりなんて毛頭ない!」


「じゃぁ、ボクも行くよ。最後に街で暴れているドラゴン達を倒しちゃったら?」


「嗚呼、世話になったな。俺はドガルガルの遺言通り、部下の二人には手を出さないよ」


「まぁ、良いけどね。その甘さで命を落とすこともあるから気をつけてね」


「忠告として受け取っておこう。サンキューな 」


 マモンとバアルは《転移》でどこかに移動したみたいだ。


「さてと、街の方も何とかしないとな」

 キリヤは独り言を溢して、街に向かった。


 街の高台に上り、周囲を確認してみた。二頭のドラゴンが暴れていた。街の被害も大きいが、二頭のドラゴンもかなり消耗しているみたいだ。


 ドガルガルの部下にドガルガルの死を伝えるとするか。

 そういえば、ステータスの確認を忘れていたな。


 ステータス

 名前/キリヤ・エルロード

 種族/上級魔人《ユニーク天魔人》

 能力スキル

 通常ノーマル/『剛力』,『遠吠え』,『鎌鼬かまいたち』,『蜘蛛の糸』,『罠師』,『飛翔』,『鑑定』,『盾術』,『アラーム』,『裁縫』,『暗算』,『杖術』,『槍術』,『話術』,『飛行』,『威圧』,

 稀少レア/『風流操作』,『聖気』,『神聖術』,『鎌の担い手』,『水魔法』,『光魔法』,『火魔法』,『土魔法』,『人化』,『狂竜化』,『闘気』

 固有ユニーク/『能力進化スキルアップ』,『癒しの光』

,『天賦の才・智』,『身体変換メタモルフォーゼ』,『猛毒魔法ポイズン・マジック』,『天使武器エンジェル・ウェポン』,『竜炎』,『竜炎武装』

 伝説レジェンド/『神眼ゴッド・アイ』,『闇夜之暗殺者ナイト・アサシン』,『捕食者プレデター


 あれ? 『身体強化』とか『直感』とかの能力スキルもドガルガルは所持していた筈なのに。嗚呼、そういえば、『闇夜之暗殺者ナイト・アサシン』に結合されますって不思議な声を聴いた気がするな。



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