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アリス達の故郷

お久しぶりです。

最近、多忙の為に活動を少しサボ……じゃない、休憩しておりました。

申し訳ありません。

夏休みに突入したので、次回からはもう少し早くに投稿出来ると思います。

一応、受験生なので、勉強の方にも気合を入れなくては……

これからも頑張るので見捨てないで下さい。

前書き、長くなりました。すみません。

 キリヤ達は現在、馬車の中に居る。ガタ、ガタっと揺られながら、馬車で移動中だ。もう少しでアイサークに到着する距離まで来てあった。アリス達の実家があるアイサークの街まで馬車で三日かかる。野宿は一度だけ体験した。残りの二日はアイサークまでに経由した村や町に泊まった。魔物にも多少襲われたが、護衛の冒険者達が返り討ちにしていた。概ね、平和な旅路だったと思われる。

 

 空を飛んでいけば、もっと時間を短縮出来たが、キリヤには大した目的なんて無いから気ままなな旅をエンジョイしていた。しかも、魔人キリヤには時間が有り余っている。この間、図書館で読んだ書物には魔人は長寿だったり、寿命という概念すら無い者も存在するらしい。


「もう、着くみたいですね」

「久しぶりに帰ってきた気がする」

 アリス達も久しぶりに故郷に帰ってきてか、表情が嬉しそうだ。

「ここが、アイサークか。大きい街だな」

 キリヤは門の前まで来てから門番に身分証を見せる為の順番待ちの時に呟いた現在の時刻は昼前で雲一つない様な快晴だ。


 そして、少し待っているとキリヤ達の番まで来た。キリヤ達が門番の兵士に身分証を見せると門番が凄く驚く。


「ア、アリス様にエリス様ッ!? 少々お待ちください!すぐに上の者を御呼びしますので」

 慌てた様子で走っていく兵士を横目で見送りながら、二人に視線を戻し問いかける。

「これは、どーゆう事だ? アリス達の父親がこの街の領主って事は知っているが、こんな反応されるとはな」

 アリス達は苦笑いして誤魔化す。


「ちょっと、過保護なんですよね」

「私達はもう少しで16歳なのにね」

 アリスの記憶で知っていたが、こいつらの父親は親ばかなのだ。過保護すぎるのだ。中々に優秀らしいけどな。そして、二人はまだ15歳なのだ。初めて知った時はビックリしたよ。


 ドタバタとした感じに数名の兵士が走り寄ってくる。

「エリス様、アリス様。大変お待たせしました。これから父君の御屋敷まで御連れいたします。こちらにどうぞ……それと、失礼なのですが、そちらの御嬢さんはどなたでしょうか?」

 周りの兵士より少し立派な恰好をした四十代ぐらいのオッサンが頭を下げてきる。

(御嬢さんだと!? 虫唾が走るわ! 今の見た目なら仕方ないけど)


「この御方はキリヤ・エルロードさんです。私方の命の恩人です」

 アリスの言葉に「では、御一緒に御屋敷まで御連れさせて頂きます」と応え、馬車に案内された。


 馬車で三十分程、街の中を進むと立派な屋敷が見えてきた。庭も凄く大きい。何坪あるのだろうか?庭の中に大きな池と噴水が見えた。そして、庭の造園が綺麗だった。今も庭師と思われる中年男性が庭の木を手入れをしている。


 馬車が止まり、扉が開く。二人も馬車から降りてから玄関の方に移動する。


「まずは、父様の執務室行ってから報告をしましょう。そこで、キリの事も紹介するわね」

 エリスの言葉にアリスも頷き付いて行く。屋敷の扉を開けると、一人の執事と侍女が待っていた。


「お嬢様方、お帰りなさいませ。旦那様が執務室にてお待ちです」

 どうやら、先に来ていた兵士が報告を済ませていたみたいだ。

「わかったわ」

「キリさん、行きましょう。こっちです」

 アリスに腕を引っ張られながら、案内された。案内されなくても、アリスの記憶で建物の構造ぐらい知っているキリヤだったが、記憶としての知識と現物はでは少し勝手が違った。



 無駄に広い屋敷を少し歩き、目的地に到着する。

「父様、只今帰宅しました」

 エリスが部屋をノックした。すると、中から「入れ」と聞こえる。キリヤ達が部屋に入ると、アリス達の父親が待っていた。


「エリスちゃん、アリスちゃん待ってたよ~。さぁパパの胸に飛び込んでおいで」

 キリヤのアリス達の親父に対する第一印象は最悪だった。過保護なのは知っていた。親ばかなのもだ……しかし、ここまでとは。

「父様、客人も居ますので」

「お父様、只今帰りました」

 エリスもアリスも華麗にスルーする。

「え? 客人だと、娘との感動の再会を邪魔するとは不逞野郎だな」

 アリス達の親父は感動の再会に水を差したキリヤに視線を向けた途端に態度が急変した。最初は苛立っていたのに、キリヤが部屋に入った途端にだ。キリヤを見た途端に「あわわわっ」と言い出した。


「父様、紹介するわね。この人はキリ。キリヤ・エルロードね、私とアリスの命の恩人だからね」

 エリスがキリヤの紹介をする。

「ご紹介に預かりました、キリヤ・エルロードです」

 相手は貴族だし、一応だが礼儀正しく頭を下げるキリヤ。

「そうか。君が娘を救ってくれた方か。私はこの二人の父親のガンズ・バーミリオンだ。愛娘たちを救ってくれて礼を言う。それと、私の事は父様パパと呼んでくれて構わないぞ」

 キリヤは壮絶に引いた。他人を……しかも、今日さっきあったばかりの人に言う台詞では無い。ここが日本だったら、即刻通報してるぞ。今の台詞に引いたのはキリヤだけではなかった。隣の二人も引いていた。


「遠慮させてもらいます。それでは、家族水入らずを邪魔するのは心元無いので、退散させてもらいます」

 キリヤは180度回転してから、部屋から退出しようとした。

「ま、待ってくれ! 娘たちを救ってくれた礼に今晩は泊まっていきなさい……いや、今晩だけじゃなくて、ずっと居てくれて構わないから」

 キ、キモイ。背筋がゾクっときた。

「父様、表情かおがマジで怖いですよ」

「キリさんも困っていますよ」

 アリス達の援護射撃だ。

「いや、済まない。エリスたちが無事で嬉しくて我を忘れてしまった……本当に無事で良かったと思っている。今晩はゆっくりしていくといいよ」

 いや、ヤツの表情かおはマジだったな。多分だが、キリヤの容姿がアリスに似ているからだろう。親ばかだし。


「貴方、お客様が困っていますよ。そのお方は二人の恩人なのだから、失礼の無い様にして下さいよ」

 キリヤ達の後方から若い女性の声が聞こえてきた。

「母様! 只今、帰りました」

「お母様、今日は帰りが早いんですね」

 

 キリヤも二人に釣られ、後ろを振り向いた。そこにいたのは……日本人?だった。

 容姿は身長が170センチと少し高めだが、全体的にスラリとした体型だった。髪は黒髪のロングだ。瞳の色も黒と日本人っぽい。大和撫子って感じの美人だ。二十代の後半にも見えない程に若い見た目だった。

 

「初めまして、私はエリス達の母のミユです。ミユ・バーミリオンよ。宜しくね」

 アリス達の母親―――ミユさんが右手を差しのばして握手を求めてきた。

「こちらこそ初めまして。キリヤです、キリヤ・エルロードです」

 キリヤも右手を出し、握手に応えながら、自己紹介を済ませた。


(ミユって和名だよな? 日本人っぽいし)

 キリヤは自己紹介をしながら、ミユが日本人かどうか考える。アリスの記憶だが、黒髪、黒目は珍しいみたいだ。現にキリヤもこっちの世界では見ていない。キリヤ以外にも異世界人が居るのか不明だが、聞いてみる価値はあるだろう。


「ミユさんは綺麗な黒髪、黒目ですね。この辺って黒髪、黒目の人って珍しいんですか? ミユさん以外に見た事なくて」

 イキナリ、日本人ですか? と聞くわけにはいかないので当たり所の無さそうな質問にする。


「そう、ありがとう。私の出身地は遠い異国なの。そこでは、黒髪、黒目の人は沢山居たわ」

 日本の事かな? これだけだと判別出来ないが。


《アリス、聞きたい事があるんだけど……》

《はい、どうぞ》

《ミユさんの出身って何処か分かるか?》

《お母様の出身ですか?……そういえば、聞いたことありませんね。昔に聞いた時には凄く遠い国とだけ教えてくれましたけど、どうかしましたか?》

 

 キリヤはアリスに念話でミユの事について確認してみたが、知らないらしい。

《いや、少し気になっただけだ。気にするな》


 今のアリスとの会話でミユが日本人の可能性が髙くなってきた。

「そうなんですか、私の出身地にも黒髪、黒目の人が大勢いたので、もしかしたら、同郷カモですね」

 ここで出身地を聞いてきてくれたら、話を進めやすいのだけどな。

「それは奇遇ですね。ちなみにキリヤさんの故郷ってどこなんですか?」


(おっ! かかった。よし、単刀直入に言うか)

「日本って国です」

 キリヤの言葉を聞いた途端にアリス達の両親は目をパチクリさせて驚く。


「あの……母様、ニホンって国は聞いたこと無いんですけど、どこでしょうか?」

 エリスが申し訳なさそうにミユに尋ねる。アリスはこの雰囲気で察したみたいだ。

「そうね……この子達にも話さないといけない時が来たようね。客間に行きましょう。そこで全て話すわ」

 そこで、キリヤ達は客間まで移動する。客間に着くと、執事のお爺さんが人数分の紅茶を入れてくれた。本当に紅茶かは知らないけどな。


「まずは、どこから話せばいいやら……私は異世界人よ。そこに居るキリヤさんと同じね。今から、約二十年前にバーング王国に勇者召喚の儀式で勇者と一緒に呼ばれたわ……」 

 やはり、ミユは日本人だった。バーング王国とは現在ここより南に位置する国だ。ちなみに現在、キリヤ達の居る国はファシル王国だ。


「召喚された私達は全員で四名居たの。皆、知ってると思うけど『疾風迅雷のタカユキ』と一緒に召喚されたわ。本名は江国孝之えくにたかゆきって名前よ。今では三人しか居ない冒険者のSSSランカーに成っているし、間違いなく人類最強の一人だと思うわ。そんな人たちと一緒に世界中を旅しながら人助けをしていたの。そんな時に貴方と出会い、結婚したの」


 ミユの語る『疾風迅雷のタカユキ』はこの世界で有名な勇者である。その話はこの間に図書館でキリヤも読んである。そんな凄い人の仲間だったなんて、ミユも凄い人だった。物語を読んだ感じだと、十中八九だが、キリヤより強いと感じられた。実際はそんな事はないかもしれないけどな。


「母様がそんな有名人の元仲間なんてビックリだよ」

「本当に驚きました」

 アリスもエリスも本当に驚いているみたいだ。

「ミユはお前達、二人を驚かさない為にも言わなかったんだよ」

 親父は知っていたみたいだ。まぁ当然か。


 そこで、気になったミユのステータスを確認する。

 ステータス

 名前/ミユ・バーミリオン

 種族/人間

 能力スキル

 通常ノーマル/『魔力自然治癒率UP』,『歩術』

 希少レア/『風魔法』

 固有ユニーク/『精霊魔法』,『精霊召喚』


(流石日本人だ。それなりのチートみたいだ。しかも、キリヤの持っていない能力スキルばかりだ……欲しい。まぁ喰わないけどね。ここは我慢だ。俺はは我慢の出来る奴だからな)


「次はキリヤさんの事を教えてくれるかな? その姿を見る限り召喚された訳じゃないわよね?」

 ミユさんの話が終わったら、次は自分の番らしい。まぁ話しても良いんだけどさ。でも、死んでからカマキリに転生しましたなんて言いづらい内容である。

 


 まぁ腹を括るか。キリヤは話す事にする。

「私は転生ですかね? 日本で死んだら、気づけばこっちの世界だったみたいな」

 嘘は言ってない。真実をあまり語らないだけだ。

「異世界転生って本当にあるのねぇ~。詳しい話を後で聞かせてね。とりあえず、お昼にしましょう」

 ミユはそう言い、執事を呼んでから昼食を用意させる。確かにそろそろお昼時だった。


 キリヤも一緒にお昼を御馳走になった。美味しかったです。流石は貴族が食べる食事だ。食事の後では皆で勇者タカユキの話を聞いた。タカユキは既に魔王の一人を倒した事があるらしい。キリヤが読んだ物語の続編だ。てか、魔王っているんだな。しかも、複数も。まぁ勇者も複数居るらしいけど。

 現在、タカユキは二体目の魔王を倒すべく活動中との事だ。『龍神王・ガルザーク』という龍の魔王らしい。なんでも、東の方の島国を縄張りにしている魔王なんだ。その島国は日本に似ているらしい。国名をジャパネールだ。まんま、ジャパンだろう! と突っ込んでしまった。このツッコミは日本人にしか理解出来なかった。


 この時までアイサークの街は平和だった。この少し後に起こる事は誰もまだ気づいてはいなかった。


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