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授業中の暇つぶしで世界を救う女子高生の話〜まさか"うんちの落書き"が世界を変えるなんて〜

作者: 土田土
掲載日:2026/08/05

授業中、私はもう限界だった。

先生の声は遠くで鳴ってる換気扇みたいに一定で、

黒板の文字は全部ミミズに見える。


──暇。眠い。つまらん。


私はノートを開き、ついシャーペンを走らせた。

描いたのは、丸くて、くるっとしてて、ちょっと可愛い うんち。


「おまえそれ描くなよ……」

隣の友達が肩を震わせて笑う。


私も笑いながら影とかツヤとか入れて、

なぜか本気で仕上げてしまった。


その瞬間だった。


ぽわっ。


落書きのうんちが 光った。


「……は?」


ノートからふわっと浮かび、

教室の床に落ちた瞬間──


巨大な魔法陣になった。


生徒たちが悲鳴を上げる。


──気づいたら、私は教室の隅に倒れていた。


「……え、何が起きたの?」


そう思った瞬間、

私の手が 光った。


「ちょっと、なにこれ?!」


床にできた魔法陣を消そうと近くの汚れた雑巾に触れると、

一瞬で真っ白になった。


まさか、と思いバケツの中の濁った水に手をかざすと、

透明になった。


「これって……もしかして魔法⁇」


何とあの落書きによってこの世界に魔法が生まれたのだ。


---


私は図書館へ走った。

この魔法陣が何なのか知りたかった。


古い資料をめくっていくと、

とんでもない事実が書かれていた。


昔、この世界には

魔力は強いけど絵心ゼロの魔法使い

がいたらしい。


複雑な魔法陣が描けなくて、

「簡単な形にするしかない」と悩んだ結果──


その魔法使いが選んだ形が、


うんち。


「いやいやいやいやいや……

 なんでそれ選んだの……」


でも資料には続きがあった。


“形はふざけているが、

 魔力の流れは完璧で、

 むしろ複雑な魔法陣より強い。”


私は頭を抱えた。


「そんな理由で!?

 私、そんなの描いて覚醒したの!?」


---


その頃、街では“汚染”が広がっていた。

水が濁り、植物が枯れ、人々が体調を崩す。


私は試しに汚れた川へ向かい、

手をかざした。


光が走り、

川は一瞬で澄んだ。


周りの人が叫ぶ。


「え、戻った!?」

「水が綺麗になってる!」

「誰がやったの!?」


私はそっと手を下ろした。


「……私だよね、これ」


その日から、私は街のあちこちを浄化した。

枯れた木、汚れた水、黒ずんだ空気。

全部、うんち魔法の力で綺麗になった。


街は救われた。


---


翌日、学校に行くとクラス全員がこっちを見た。


「おはよう、浄化の勇者」

「やめろ」

「うんち描いたら魔法出るってマジ?」

「やめろって言ってんだろ」


机の上には、

クラスメイトが描いた 大量のうんち落書き が並んでいた。


「おまえら……なんでそんなに上手いの……?」


みんな真剣に影とかツヤとか入れていて、

私より画力が高い。


「これで魔法出るんでしょ?」

「出ねぇよ!」


そう言った瞬間──


ぽわっ。


一人の落書きが光った。


「えっ」

「えっ」

「えっ」


その子の手が光り、

机の上の汚れが一瞬で消えた。


「……出たわ」


教室が騒然となる。


「俺も描く!」

「私も!」

「影もっと濃くしたほうがいい?」

「ツヤは大事だと思う!」


教室が 美術室みたいなうんち工房 になった。


---


街中の子どもたちがノートにうんちを描き、

あちこちで浄化魔法が発現した。


公園の池は澄み、

道路の汚れは消え、

古い建物がピカピカになった。


「……なんかもう私いらなくない?」


そう思ったけど、

街の人は私を見ると手を振ってくる。


「勇者ちゃん、今日もありがとうね」

「いや、私何もしてないんですけど」


でも、みんな嬉しそうだから否定できない。


---


ある日、図書館の奥で新しい資料を見つけた。


そこには、絵心ゼロの魔法使いの手記が残っていた。


『複雑な魔法陣は描けない。

 でも、世界を救いたい。

 だから私は、

 “誰でも描ける形”を選んだ。』


ページをめくる。


『うんちは、誰でも描ける。

 子どもでも描ける。

 だから世界中の人が魔法を使えるようになる。

 それが一番いいと思った。』


私は息を飲んだ。


「……この魔法使い、天才じゃん」


ふざけてるようで、

本気で世界を救おうとしていた。


挿絵(By みてみん)

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