授業中の暇つぶしで世界を救う女子高生の話〜まさか"うんちの落書き"が世界を変えるなんて〜
授業中、私はもう限界だった。
先生の声は遠くで鳴ってる換気扇みたいに一定で、
黒板の文字は全部ミミズに見える。
──暇。眠い。つまらん。
私はノートを開き、ついシャーペンを走らせた。
描いたのは、丸くて、くるっとしてて、ちょっと可愛い うんち。
「おまえそれ描くなよ……」
隣の友達が肩を震わせて笑う。
私も笑いながら影とかツヤとか入れて、
なぜか本気で仕上げてしまった。
その瞬間だった。
ぽわっ。
落書きのうんちが 光った。
「……は?」
ノートからふわっと浮かび、
教室の床に落ちた瞬間──
巨大な魔法陣になった。
生徒たちが悲鳴を上げる。
──気づいたら、私は教室の隅に倒れていた。
「……え、何が起きたの?」
そう思った瞬間、
私の手が 光った。
「ちょっと、なにこれ?!」
床にできた魔法陣を消そうと近くの汚れた雑巾に触れると、
一瞬で真っ白になった。
まさか、と思いバケツの中の濁った水に手をかざすと、
透明になった。
「これって……もしかして魔法⁇」
何とあの落書きによってこの世界に魔法が生まれたのだ。
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私は図書館へ走った。
この魔法陣が何なのか知りたかった。
古い資料をめくっていくと、
とんでもない事実が書かれていた。
昔、この世界には
魔力は強いけど絵心ゼロの魔法使い
がいたらしい。
複雑な魔法陣が描けなくて、
「簡単な形にするしかない」と悩んだ結果──
その魔法使いが選んだ形が、
うんち。
「いやいやいやいやいや……
なんでそれ選んだの……」
でも資料には続きがあった。
“形はふざけているが、
魔力の流れは完璧で、
むしろ複雑な魔法陣より強い。”
私は頭を抱えた。
「そんな理由で!?
私、そんなの描いて覚醒したの!?」
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その頃、街では“汚染”が広がっていた。
水が濁り、植物が枯れ、人々が体調を崩す。
私は試しに汚れた川へ向かい、
手をかざした。
光が走り、
川は一瞬で澄んだ。
周りの人が叫ぶ。
「え、戻った!?」
「水が綺麗になってる!」
「誰がやったの!?」
私はそっと手を下ろした。
「……私だよね、これ」
その日から、私は街のあちこちを浄化した。
枯れた木、汚れた水、黒ずんだ空気。
全部、うんち魔法の力で綺麗になった。
街は救われた。
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翌日、学校に行くとクラス全員がこっちを見た。
「おはよう、浄化の勇者」
「やめろ」
「うんち描いたら魔法出るってマジ?」
「やめろって言ってんだろ」
机の上には、
クラスメイトが描いた 大量のうんち落書き が並んでいた。
「おまえら……なんでそんなに上手いの……?」
みんな真剣に影とかツヤとか入れていて、
私より画力が高い。
「これで魔法出るんでしょ?」
「出ねぇよ!」
そう言った瞬間──
ぽわっ。
一人の落書きが光った。
「えっ」
「えっ」
「えっ」
その子の手が光り、
机の上の汚れが一瞬で消えた。
「……出たわ」
教室が騒然となる。
「俺も描く!」
「私も!」
「影もっと濃くしたほうがいい?」
「ツヤは大事だと思う!」
教室が 美術室みたいなうんち工房 になった。
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街中の子どもたちがノートにうんちを描き、
あちこちで浄化魔法が発現した。
公園の池は澄み、
道路の汚れは消え、
古い建物がピカピカになった。
「……なんかもう私いらなくない?」
そう思ったけど、
街の人は私を見ると手を振ってくる。
「勇者ちゃん、今日もありがとうね」
「いや、私何もしてないんですけど」
でも、みんな嬉しそうだから否定できない。
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ある日、図書館の奥で新しい資料を見つけた。
そこには、絵心ゼロの魔法使いの手記が残っていた。
『複雑な魔法陣は描けない。
でも、世界を救いたい。
だから私は、
“誰でも描ける形”を選んだ。』
ページをめくる。
『うんちは、誰でも描ける。
子どもでも描ける。
だから世界中の人が魔法を使えるようになる。
それが一番いいと思った。』
私は息を飲んだ。
「……この魔法使い、天才じゃん」
ふざけてるようで、
本気で世界を救おうとしていた。




