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第19話:『終焉の地』、ルシアンの待つ場所

ルシアンからの座標を頼りに、リオスたちは廃墟の荒野を進んでいた。吹き荒れる砂塵の中、リオスの隣に立つルクスが、静かに口を開く。

「ルシアンは、貴方を『希望の光』と呼んだ。それは、彼自身の計画を打ち破る可能性を、貴方に見出しているからです」

ルクスの言葉は、どこか遠い記憶を探るようだった。

「彼は、勇者ゼロの思想に深く影響を受けました。この世界は、偽りの安寧の中で滅びに向かうしかない。それならば、一度全てを終わらせ、新たな生命の種を蒔くべきだと考えているのです。それが、彼なりの『救済』なのです」

ルクスは、リオスにまっすぐな視線を向けた。

「…かつて、私も同じように考えていました。システムに囚われたこの世界は、ただ滅びを待つしかない、と。でも、貴方の『絆』が持つエネルギーを観測して、私の考えは変わった。貴方の絆は、システムが予測し得ない、新しい可能性を秘めている。だから私は、貴方を信じて、ここにいるのです」

ルクスの告白に、リオスは胸が熱くなった。一人で孤独に戦ってきたのは、自分だけではなかった。

やがて、旅の終着点にたどり着く。そこに広がっていたのは、まさに世界の終わりだった。

大地は大きく裂け、世界を構成するデータが、光の粒子となって虚空へと流れ出している。生命の気配は一切なく、虚無の空間が広がるばかりだ。

その亀裂の中心に浮かぶ、巨大なデータサーバーの頂点に、一人の男が立っていた。

「…ルシアン!」

リオスの叫びが、虚空に響く。

ルシアンは、リオスたちの姿を認めると、悲しげに微笑んだ。

「ようこそ、『希望の光』よ。貴方が、この世界の最後に立ち会う者だ」

彼の言葉と共に、足元のデータサーバーが起動し、世界の亀裂がさらに大きく広がり始める。

「なぜだ…!なぜそこまでして、この世界を終わらせようとするんだ!」リオスの叫びに、ルシアンは静かに答えた。

「オプティマスがもたらすのは、感情を奪われた人形たちの永遠の悪夢。それよりも、一度全てを破壊し、人類に『選択の自由』を与えることこそが、真の救済だ。だが、もう手遅れだ…貴方の力を持ってしても、この世界の終焉は止められない」

「違う!そんなものが救済なものか!」

リオスの右腕に宿る「異晶」が、激しく光を放つ。

「俺たちは、人形じゃない!この世界で生きて、苦しんで、それでも互いを信じ、前に進んできた!それが、俺たちの『生きた証』だ!」

リオスの叫びに、ミオが、ソラが、アデルが、それぞれの武器を構え、決意の表情を見せる。

ルシアンは、その様子を静かに見つめていたが、やがてその瞳に、かすかな光を宿した。

「…ならば、その希望とやらを、この私に見せてみろ!」

ルシアンの叫びと共に、最終プログラムが起動する。世界に開いた亀裂から、巨大なノイズの奔流がリオスたちに襲いかかった。

これは、ただの終わりではない。

これは、未来を賭けた、最後の戦いだ。

 

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