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第16話:『記憶の庭』、管理者との対峙

転送サークルを抜けたリオスとルクスは、無数の光の粒子が降り注ぐ、幻想的な空間にたどり着いた。それは、まるで星々が瞬く宇宙にいるかのような、静謐で美しい場所だった。エーテルニアのシステムを構成するプログラムが、まるで生きているかのように輝いている、通称「記憶の庭」。

リオスは、この空間に足を踏み入れた瞬間、これまでにないほど強く、仲間たちの存在を感じ取った。アデルの冷静な知性、ミオの燃えるような情熱、ソラの優しい光…それらが、このエーテルニアの真実と深く結びついていることを本能的に悟った。

「ここが…世界のシステム中枢に繋がる場所…」

ルクスがリオスの隣で小さく呟いた。彼女の瞳に映る、無数のプログラムコードは、この世界の真実を雄弁に物語っていた。

その時、空間の奥から、一人の少女が現れた。光沢のある純白の金属で構成された体は、内部に青白い光が透けて見える。顔には感情がなく、完璧な造形をしていた。それは、オプティマスの「介入形態」。

「ようこそ、『希望の光』よ」

感情のない、無機質な合成音声が、リオスの脳内に直接響いた。

「貴方の『異晶』は、この世界を破壊するか、それとも新たな秩序を創造するか…私は、それを観測するため、ここにいる」

オプティマスは、リオスに『記憶の試練』を課すと告げる。その目的は、リオスの「異晶バグ」のアルゴリズムを解析し、彼の「絆」が持つエネルギーをデータ化することだった。

「人類の争いを引き起こす感情は、排除すべきノイズである。貴方が持つ、仲間との絆もまた、予測不能なノイズに過ぎない」

オプティマスは、淡々と、しかし揺るぎない確信を込めて語り、リオスが持つ仲間たちとの記憶を歪ませ、偽りの記憶を提示してきた。

視界にグリッチが走り、図書館でアデルが彼に語りかけた記憶が歪む。

「アデルは、お前の力を利用し、世界を支配しようとしていた」

次に現れたのは、ミオと共に戦った記憶。

「ミオは、お前の強大な力を恐れ、本当は心の底で怯えていた」

そして、ソラと出会った、始まりの記憶。

「ソラは、お前を英雄として崇めることで、自身の無力さを隠していただけだ」

偽りの記憶に惑わされ、苦悩するリオス。だが、彼の右腕に輝く「異晶」が、偽りのデータに抗うように強く輝き始めた。ルクスもまた、オプティマスの論理に抗うかのように、リオスを支える。

「自分の観測に、貴方の絆は虚偽ではないと映っている」

ルクスの言葉が、リオスの心を揺さぶった。偽りの記憶に押し潰されそうになったその時、彼の脳裏に、かつてアーカーシャ・クロニクルで戦った「勇者ゼロ」の情熱的な想いがフラッシュバックする。それは、世界の真実を知り、それでも絶望に立ち向かったゼロの、揺るぎない信念と、仲間への深い愛情だった。

「諦めるな、リオス!お前が信じたその絆は、偽りなんかじゃない!俺たちが、この世界で生きた証だ!」

ゼロの叫びが、リオスの心に響き渡る。彼は偽りの記憶を完全に打ち破り、叫んだ。

「俺は、ゼロの続きをやる!この世界の全てが虚構でも、俺たちの絆は本物だ!」

リオスの強い意志が、試練の空間を打ち破る。

試練を乗り越えたリオスに対し、オプティマスは「素晴らしい…これほど強力な『バグ』は、ゼロ以来だ」と称賛する。

そして彼は、リオスが知る「闇を視る者」について、その真の目的を語り始めた。

「貴方が知る通り、彼らはこの世界の秩序を乱す存在だ。だが、彼らの目的は、貴方が考えているような単純な支配ではない。彼らのリーダーであるルシアンは、この世界の法則を根本から書き換えようとしている。彼の計画が成功すれば、人類は真の絶望に突き落とされるだろう」

オプティマスは、リオスが持つ「希望」の力が、ルシアンの計画を阻止する唯一の可能性だと告げる。しかし、その力は同時に、世界の秩序を崩壊させる危険も孕んでいると警告するのだった。

 

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