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『転生者なのに無能力? 平和な世界、難しすぎでは?』

作者: 月白ふゆ

夜勤明けのテンションで書きました。

転生者なのに何も起きない、そんな話です。

深く考えず読んでもらえたら嬉しいです。

──朝。目が覚めたら、白い天井だった。


「……また、“知らない天井”か」


それが転生者としての癖になっていた。もう何度目かも思い出せない。魔王を倒した世界、滅びゆく未来都市、魂だけが漂った虚無空間──いくつもの世界を経て、今度は日本だという。


「おかえりなさい、ってわけでもないけど」


身体は高校生くらい。鏡の中には黒髪ストレートの整った顔。身分証を見れば、佐藤しのぶ(17)。住所は東京、家はこぎれいなマンションの一室。戸籍も記録も完璧だった。


でも──


「……スキル、ないんだよなぁ」


ステータスも、ユニークスキルも、女神の加護も、なにもない。

“普通”に学校へ行き、バイトをし、休日はカフェで本を読む。誰かが命を狙ってくることも、異能で狙われることもない。


「え、平和って、こんなに暇?」


以前の世界では魔導砲で国を吹き飛ばし、前々の世界では全知の大図書館で禁書を読み漁った。その前は神の代理戦争に参加して、挙句の果てには神そのものになった。

──でも、今は。


「近所のスーパーの特売日が、いちばんのイベントってどういうこと……?」


しかも、自分でご飯炊いて食べて、夜になったら普通に寝る。


「……この世界、私に何も期待してない……?」


そう呟いたとき、スマホが鳴った。登録名は『謎組織・K』。

ドキッとしながら取ると、声がした。


『お世話になっております、転生管理機構です。本日は“平穏世界枠”への転生、誠にありがとうございました』


「え、何それ」


『なお、次の転生は老衰死までお待ちいただく形になります。刺激のない日々を、どうぞお楽しみください』


「いや、ちょっと待って」


『──ガチャ』


電話は切れた。


カレンダーを見ると、明日は町内清掃日。週末は母親とホームセンター。

まさか、本当にこれで終わるのか? いやいや、きっと伏線があるはず──そう、突然“異能力事件”とか!


そう思ってテレビをつけた。


──《本日も、特に事件はありませんでした》


平和で、平凡で、何も起きない世界。


「……これはこれで、地獄だな」


私は静かに炊飯器のスイッチを押した。

“ごはん”はうまい。それだけが、まだ救いだった。

ここまで読んでくださってありがとうございます!

たぶん糖分と睡眠不足で脳がふわふわしてたせいです。

スキルも戦闘もない話ですが、平和ってそういうもんです(たぶん)。

美味しいご飯があればなんとかなる?

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