表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/123

第5章 闇に潜む

最も深い闇の夜に――

真実は現れる。

囁きの中で、

首飾りの光の中で、

そして影の奥で。


鎖が縛るのは、肉体だけではない。

魂さえも――閉じ込めるのだ。

夜が、町を厚く静かな闇で包み込んでいた。


一本の紙灯籠が、縄に吊るされて風に揺れている。

そのほのかな光が、路地裏の古びた壁をかすかに照らしていた。


やがて、二つのフード姿の影がその路地から現れる。


「本当にここにいるのか……?」


頬に傷のある男が、低い声でつぶやいた。


「ああ……」

より大柄な男が、歪んだ笑みを浮かべて答える。

「理想的な素材さ。情報は確かだ」


近くの家では、ひとりの女性が最後のロウソクを吹き消していた。


そのとき――窓のきしむ音。


もう、遅すぎた。


二人の侵入者が、室内へと押し入った。


ひとりが彼女の口をふさぎ、

もうひとりが金属製の首輪をその首に装着した。


ひとすじの閃光。

そして、かすかな吐息。


彼女の意志は、静かに――消えていった。


「……これは実に優秀だな」


「さあ、お嬢さん。

行く時間だ」


「……はい……仰せのままに……」


空虚な瞳のまま、彼女は答えた。

闇の中――

三人の影が、怒りを押し殺して様子をうかがっていた。


リュウガ。セレステ。カグヤ。


「“黒い手”か?」

リュウガが問いかける。


カグヤは静かにうなずいた。


「幹部じゃないけど、あの首輪……あれは奴らの技術。間違いない」


「彼女をどこか重要な場所へ連れていく気だわ」

セレステがささやく。

「見失うわけにはいかない」


「後を追う。でも慎重にな」

リュウガが指示を出す。


三人は足音を消し、密かにあとを追った。

たどり着いたのは、木々に隠された古い小屋。


草むらに身をひそめる三人。


カグヤが変身を発動。

髪が深い蒼に染まり、身体が霧と一体化するように消えていった。


セレステが息をのむ。


「……消えた……」


カグヤは影のように滑り込み、数分後に戻ってきた。


「見取り図は頭に入った。

衛兵は4人。うち2人が巡回、1人が入口。もう1人は警戒心が高い。

例の女性は中央の建物にいる」


「分担する」リュウガが言う。

「カグヤは排除。セレステ、俺と行動を」


カグヤは瞬く間に警備兵を無力化。

その動きは、鋭く、正確で、音もなかった。


「大きなテントに捕らわれてる。全員、首輪をつけられてる」


リュウガが奥歯を噛みしめる。


「……今すぐ解放する」


三人は中へ突入した。


そこには――

数十人の人々。


虚ろな目。

首に光る、支配の首輪。


リュウガが魔法陣を描いた。


一人、また一人――

光の帯に包まれ、転送されていく。

――その時、爆発音が森に響いた。


森の中から現れたのは、カグヤの精鋭部隊――忍六人。


ミサキ。ハルト。アイコ。レンジ。サヤ。そしてカグヤ自身。


それぞれが独自の戦闘スタイルで、

闇と鋼の狭間を舞うように戦った。


リュウガとセレステも加わった。


二人は息の合った動きで敵を圧倒する。


そのとき――

闇の中から、全身を黒い鎧に包んだ男が現れる。


その剣には炎が灯っていた。


「……コルヴス。

“黒い手”の中尉だ」


「我に刃を向ける者……全て滅びよ」


激戦が始まった。


呪詛。

業火。

悲鳴。

鋼と意志の衝突。


だが――

三人の英雄たちは、決して倒れなかった。


ついに、コルヴスが膝をつく。


口から血を流し、剣を取り落とす。


「殺すがいい……だが私は裏切らん……

“黒い手”こそが、真実だ……」


カグヤが彼の襟首を掴み、持ち上げる。


「……私の両親はどこだ?」


男は血を吐き、嘲るように笑う。


「まだ生きてるとすれば……

“代価”として利用されただけだ」


セレステが一歩前に出て、そっとカグヤの腕を下ろした。


「もういい……

こんなやつに価値はないわ」


リュウガが、カグヤの肩に手を置く。


「――力だけでは、

すべてを救えない」


「じゃあ……何なら救えるの?」


リュウガは、まっすぐに答えた。


「心だ」

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

戦いの炎が静かに消え――

夜明けが、霧を切り裂いて現れた。


それはただの朝ではなかった。


反撃の始まりだった。


誰にも知られぬ静かな十字軍――


だが、それは

世界の運命を変える旅路となるだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ