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第55章 – 鋼と光の残響(エコーズ)

灰色の空に魔力の火花が散る中、森は即席の戦場へと変貌していた。灰色のコートをまとった規律ある部隊が、四方から包囲してきた。


リュウガは剣を肩に担ぎ、一歩前へ出た。太陽の刃のように鋭い眼差しで周囲を見渡す。


「構えろ。この部隊は侮れない」

その声には迷いがなかった。


その瞬間、アンが魔法のブローチを掲げ、目を閉じた。


光る花びらが舞い散り、彼女を包み込む。


「変身!《白雪姫の魅惑》!」


純白と赤のドレスに身を包み、青いマントが風に舞う。手には輝くリンゴ型の魔法の短剣。


その隣で、アイオがヨーヨーをくるくると回しながら笑った。


「じゃあ、私もいくよっ!」


黒とピンクのオーラが彼女を包み、髪が炎のように揺れる。パンクロック風の魔法少女スタイル、ロングブーツにショートジャケット、そしてハート模様のベルト。


「変身!《プリティ・スピン・クラッシュ》!」

叫びと同時に技を放つ——

「《鎖のリボンダンス》!」


無数の魔力ヨーヨーが舞い、敵を縛りながら星型の光の爆発を起こして、兵士たちを麻痺状態に。


「ナイス!」

丘の上からヴェルが叫ぶ。


彼女は天使のような新しい白の鎧を纏い、金色のユニコーン型ブローチが胸に輝く。手にしたのはリュウガ製、リシア強化の特製弓。矢は青い炎を纏って爆発する。


「《角爆の天撃》!」

矢を三本連射し、敵の部隊を丸ごと吹き飛ばす。


セレステは空中に浮かび、クリスタルの破片が浮遊する《プリズマアーマー》で鎧を構成していた。


「発動:《全防御プリズム・マトリクス》!」


敵の放った黒い光線がバリアに当たり、跳ね返って敵陣に爆発。


「今の盾…!」

クーロが目を見開く。

「セレステ、最高すぎる!」


その頃、プレティウムは単独で突き進んでいた。黒いマントを翻し、片手の剣で敵を切り裂く。一撃、一撃が正確無比で致命的。


アンが舌打ちして駆け寄る。


「プレティウム!単独行動はダメだってば!」


彼は一瞥だけくれて、淡々と斬り続ける。


「俺は…一人の方が性に合う」


「違う!もう一人じゃない!」

アンは叫び、槍を避けて反撃する。


そのとき、一人の兵士がアイオに狙いを定めて発砲。光の弾がまっすぐ彼女へ。


「アイオ!」

ヴェルが叫ぶ。


だがセレステがすでに構えていた。


「《プリズム・マトリクス:跳ね返し》!」

ビームは跳ね返され、木に直撃して大爆発。


アイオはくるりと着地し、ヨーヨーを再度回す。


「ありがと!今度こそフィニッシュ!《反逆のハートチェーン》!」


ヨーヨーが巨大なピンクの光のリボンとなり、地面をたたきつけ、衝撃波が敵を一掃する。


リュウガは中心で拳を突き上げ、赤いオーラを纏った石が宙に浮かぶ。


「《地核支配》!」


剣を地面に突き刺すと、大地から岩の柱が突き出て敵を潰す。


生き残りの兵が後退しようとしたとき、カグヤが木の上から嘆息。


「これだけ連携してるようで、まだバラバラ…」

黒煙を出すクナイを投げつつ言った。

「リュウガ、わかってるでしょ?足りないもの」


リュウガは腕を掲げて皆に呼びかける。


「全員、フォーメーションを! 連携でこそ真の力が出せる!」


全員がそれに応えた。ヴェル、アイオ、アン、セレステ、クーロ、リシア。そして最後にプレティウムも、剣を手に戻ってくる。


「これで、少しは実力を証明できたか?」

彼はそう言いながら。


アンは腕を組み、ニヤリと笑う。


「サビついてるかと思ったけど…やればできるじゃん。でも、協力プレイの方が良いでしょ?」


プレティウムはすぐには答えなかったが、その沈黙には否定はなかった。


戦場は静まり返る。敵兵の体は黒煙となって消えていった。


「人間じゃなかった…」

セレステが調べながら呟く。


「人形の兵士か… だが、誰のものだ?」

リュウガが低く唸る。


薄れゆく戦場の霧の中、テオの王国への道が、思った以上に危険なものであることが明らかになっていく。


そしてその時、後方で警戒していたリシアが足を止める。


彼女の呼吸が浅くなり、瞳が鋭く光り、手が武器に伸びた。


「……止まって」

その声は低く、張りつめていた。


「え?どうしたの、リシア?」

ヴェルが気づく。


セレステもすぐ振り向く。


「何かが来るの?」


リシアはすぐには答えなかった。だが、その視線は密林の奥へ。


「足音がする… 一人じゃない。複数。重く、規則的に…行進してる」


「別部隊!?でもさっき倒したばかりだよ!?」

アイオが驚く。


リュウガが手を上げる。


「静かに… 聴け」


——皆が黙る。


その時、それは聞こえた。


トゥム…トゥム…トゥム…


地の奥から響くような太鼓のような音。地面の小石が揺れ始め、やがて激しく震えだす。


クーロが木から降りて構えを取る。


「これは…自然じゃない。濃い気配が…ある」


セレステがリュウガに近づく。


「これもテオの敵?」


リュウガは即答しなかった。目を閉じて魔力を研ぎ澄ませ、目を開いたときには表情が引き締まっていた。


「……違う。もっと古い」


地面が震える。


「全員、警戒!何が来てもいいように!」


その頃、ゴシン号の内部。


アンの母は外の映像を映すスクリーンに手を当て、感情のない声で呟く。


「すべては…灰…

感情は… 禁忌…

願いは…歪み…

光も…闇も…ない。

ただ…虚無だけ。

それが…平穏…

それが…テオ…」


その声は低く、幽鬼のように響き、空気を凍らせた。


隣のカグヤの分身が、ごくりと唾を飲む。感情は消えても、彼女の奥には、まだ「なにか」があった。


そして、戦場へ。


足音が激しく近づく。


「来るぞ…!」

カグヤが武器を構える。

「フォーメーションを!!」


森の木々が揺れ、冷たい風が戦場を貫いた。


そして——


二つの巨影が、森の奥から姿を現した。

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この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
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