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第37章 星空の下で踊る

夜の空はきらめく星々の帳になり、魔法の光が蛍のように舞う中、城の中央広場では優雅な旋律が鳴り響いていた。リュウガはダンスフロアの近くに立ち、先ほどのヴェルとのハプニングで髪にからんだ魔法の梨の葉を振り落としている。パンチを一杯取ろうとした瞬間、微笑む老貴族が近づいてきた。


―若き冒険者よ… 王国のために最大の犠牲を払った騎士が、最初に好きな淑女と舞うのが伝統だとご存知か?


リュウガは喉を鳴らし、ゆっくり振り返る。そこには刃のように光る6組の眼が彼を見つめていた。


―「誰が先に言ったんですか?」―胸に手を当ててセレストが不敵に微笑む。

―「私が先に聞いた」―まるで戦士の石像のように構えるカグヤ。

―「それは卑怯だよ!そっちの方が近かったもん!」―と手を挙げるアン。

ヴェルは外交的な笑顔を見せながらも、競争心を隠せずに答える。

―「皆さん… 恥をさらしたくないでしょう? 王女として、私が舞い始めるのは当然の義務であり権利です」

―「それなら姉の私が最初に舞うべきじゃない?」―ライシアがしなやかに加勢する。

―「リュウガに選ばせたほうがいいんじゃない?」―とアイオが演劇的にため息をつく。


リュウガは手を挙げてそっと言ってみる。

―「…えっと、一言だけ…」

―「ダメ!!」―全員が声を揃える。


執事がビクッとしながらも礼節正しく近づいてきた。

―「お嬢様… フロアはリュウガ様をお待ちしています。どなたと最初に踊りますか?」


会場は凍りつき、音楽すら止まったかのようだった。リュウガは汗を拭う。

―「あの…皆さんと…踊らせていただけますか?」


執事は目を見開き、言った。

―「…順番でよろしいですか?」

―「…はい」


少女たちは寄り添いながら考える。緊張の一瞬の後、アンが手を挙げて宣言する。

―「じゃんけんで順番を決めます!」


魔法のトリックや威嚇が飛び交う激戦の末、順番が決定した。


第1番 – ヴェル

王女は誇り高く近づき、ほおは紅潮していた。リュウガが手を差し出すと、ヴェルは慎ましく微笑む。

―「知ってる?あなたと出会って、私の宮廷ルーティンがめちゃくちゃよ」ヴェルは静かにささやきながら、リュウガと優雅にステップを踏む。

―「すまないな…」―彼が言う。

―「詫びてなんかないよ。むしろ…好き」―彼の肩に頭を預けながらそう囁いた。 会場の奥では、彼女の母、女王がうるんだ瞳で見守り、父である王はパンチでむせている。


第2番 – セレスト

セレストは優雅に近づき、眉をひそめる。

―「王国一の求婚者なんて…世界を救った後はダンスの先生でも務めてもらわないとね」

―「俺にレッスン受ける?」―彼が返す。

―「個人指導なら考えてあげる」―そう言いながら、セレストは彼をしっかりリードする。

ターンの間、彼女は耳元で囁いた。

―「リュウガ、秘密を抱えているのはあなた一人じゃない。これが終わったら…私も教えるよ」


第3番 – カグヤ

カグヤは無言で近づき、顔を赤らめ、手は震えていた。

―「足踏んだら…何も言わないでね」

リュウガは優しく笑う。

―「いてくれるだけでいいよ」

彼女は二度つまづきそうになるが、堪えてつづける。

―「バカ…どうしてそんな…胸がドキドキするの?」

―「どんな?」

―「ずっとそばにいたいみたい…!」


第4番 – クロ

クロは静かに歩み寄り、頬を赤らめ、視線も定まらない。

―「こんなの慣れてないけど…誘ってくれてありがとう」

―「君が一番ふさわしいよ」―彼が応える。

彼女はドレスに足を引っかけるが、リュウガが支え、しっかり抱く。

―「解放してくれて…ありがとう」

―「感謝しなくていい。君の笑顔が見たかっただけ」


彼女は彼の目を見て──そして、微笑んだ。


第5番 – ライシア

エルフの彼女は優雅に手を差し出す。

―「あなたには計り知れない恩があるの、リュウガ。ヴェルを変えたのはあなたよ」

―「彼女が必要だったのは…ちょっとの風で、君がその風になってくれた」

―「たぶん…でも真の風を吹かせたのは、あなた」

二人のステップは森を歩くように軽やかで、最後に彼女は正面を向く。

―「これからの責任、受け止めてくれる?」

リュウガは戸惑いながら答えた。

―「責任って…どんな?」


彼女は微笑みながら言った。

―「心の」


第6番 – アン

アンが駆け寄り、花は少ししおれても笑顔はそのまま。

―「お兄ちゃん、次は私! 星みたいに踊ろうよ!」

―「もう一回踊ったけど…」

―「前のはノーカウント! 祭りのヒーローでしょ!」

子どもたちが見守る中、アンは無邪気に回り、彼は微笑む。

―「変わらないでほしいな、アン」

―「お兄ちゃんもだよ! ずっと私たちのお兄ちゃんでいて!」


第7番 – アイオ

アイオは落ち着いた足取りで近づき、成熟した微笑み。

―「今度は…アイオとして踊りたい。呪いじゃなく私で」

彼が手を取ると、優雅なムーブを始める。

―「気分はどう?」

―「うん。混乱してるけど…あなたと一緒なら大丈夫」

リュウガは彼女の真剣な表情に驚く。

―「ずいぶん変わったね」

―「みんなそうだよ、あなたもね、リュウガ」


舞踏が終わり、拍手喝采が広がる。彼はベンチに崩れ落ちた。

―「お願い…二回戦だけはやめて!」

少女たちが顔を見合わせる。

―「二回戦?」―ヴェルが笑いながら聞き返す。

―「今度は審査員付きだよ!」―セレストが調子に乗る。

―「フロア整えて!」―アンが声を張る。


彼は頭をかきながらつぶやいた。

―「…これ、もうハーレムアニメだよね?」


――星が瞬く夜祭の中、王国の若者たちの心は渦巻きを続けていた。

夜の空が星々のベールとなり、魔法の光が蛍のように舞う中、城広場では、優雅な旋律に合わせてカップルが踊っていました。リュウガはダンスフロア近くで、ヴェルとのハプニングで髪にくっついた魔法の梨の葉を払い落としながら、ポンチを一杯つかもうとしているところでした。そのとき、魔法の声がスピーカーから響き渡ります。


エレノア王国の皆さまに告知です! ヴェルミュラ王女の命により、特別イベント開催! 本日夜をリュウガ冒険者と過ごす『特権』をかけたコンペティションを行います!」


リュウガは思わず水を吹き出しそうになります。


— 「えぇっ!?」


— 「運命を受け入れなさい」 と横で照れつつ強調するクロ。


— 「公平な試合です!」 と公式さながらに宣言するセレスト。


— 「審査員付き、リアルな試練もあるよ!」 とリストラストをすでに頭の中で調整するカグヤ。


審査員は、王・女王・王子・ドラマ好きな貴婦人二人、そしてアンとアイオ。自作のプラカードには、「がんばれセレスト!」、「ヴェル、がんばって」などの文字が……


リュウガは抜け出そうとするも、リュウガの腕を掴んで離さないライシア。


— 「いいえ。あなたは最後まで見届けるのよ、勇者よ」


第一試合:「最も印象的な告白」

ステージに一人ずつ出てきて、魔法のマイクで気持ちを語ることに。


セレスト

「リュウガ…私を救ってくれたのは、壊れていた私を見てくれたから。あなたが教えてくれたの。愛のために戦うことを。愛してるのは…あなた。」


拍手喝采。


カグヤ

「あなたがいたから、自分を信じられた。言葉は少ないけれど、気持ちは本物。女として見てほしい、リュウガ……戦士だけじゃなく。」


客席から「オーーー」と声。


クロ(緊張しながら)

「わたし…ずっとあなたが誰か知っていた。あの首輪のときも。不安じゃなかった。ただ…あなたがいると安心した。だから今度は…わたしが、あなたを離さない。」


客席からは涙。


ヴェル(笑顔で)

「リュウガ…わたしは難しい姫かもしれない。誇り高くて、わがままで、反抗的。でも…あなたのために、本当に欲しいものを見つけた。それは王位じゃない、あなた。私を選ぶなら…あなたが私の世界になるの。」


ライシア(落ち着いた声で)

「同じ男の人を好きになるなんて想像もしなかった。でも…感情は抗えない。たとえそれが罪なら…私はその炎に燃える。」


リュウガは顔を両手で覆ってしまいます。


— 「なんだこのラノベ展開は…」


第二試合:「カップルで最もクリエイティブなアクティビティ」

2分間、リュウガとペアで何をするかを審査。化学反応、創造力、アプローチ度が問われます。


セレスト:魔法の羽をつけ飛行しながら笑い合う。

—「ほら、いつか私があなたを飛ばすって言ったでしょ?」


カグヤ:ナイフ術の特訓(接触が多すぎて怪しさ爆発)。

—「もっと力入れて! その調子…いいよ!」


クロ:彼女の手料理を静かにシェア。

—「あなたは…食べてるときが一番幸せそう。」


ヴェル:魔法風船ゲーム。ズルして勝利。

—「勝ちはわたし…あなたの心と同じく、ね。」


ライシア:エルフの笛を演奏しながらリュウガ観察。

—「この曲は…あなたのために作ったの。」


審査結果:完全同点!

審査員は割れる。


貴婦人2人 → セレスト & ヴェル


王 → ライシア


女王 → クロ


王子 →(明らかにカグヤが好き)→ カグヤ

アンとアイオのプラカード:


— 「…みんな勝者!」


リュウガは芝生でひっくり返ります。


— 「殺す気か…?」


ヴェルが近づいておでこにキス。


— 「始まったばかりだよ、リュウガ…」


夜空の星、音楽、ダンス、そしてひび割れたハート。

それでもこの夜は、まだ終わらないのです。

夜の祭りの温かな光が広場を照らし、甘いお菓子や花の香りが漂い、音楽が隅々まで満ちていた。笑い声、ダンス、ロマンチックな告白に包まれて、その場はまさに至福の一夜…──だが、リュウガの視線はヴェルが貴婦人たちと笑っているのを見て、ピタリと止まった。


一人の騎士が、優雅な身のこなしと整った顔立ち、磨き上げられた鎧でヴェルに近づき、微笑みを浮かべた。


— 「王女殿下…お一緒に踊っていただけませんか?」


ヴェルは淡く頬を染めながらも礼儀正しく頷いた。

— 「もちろんです。光栄ですわ。」


二人は手を取り合って中央のダンスフロアへ。静かな音楽に合わせて優雅に踊り始めた。その光景に観客も自然な笑みをこぼす――しかしリュウガには違った。ステータス画面が久々に瞬きし、表示されたのは:


【敵性隠匿検知:高リスク対象 隠蔽レベルB】


リュウガはギュッと目を細め、騎士の左手に注目した—マントに隠されたそれは明らかに武器と思しきものだった。


「獲物を逃すわけにはいかない」──彼は冷静に、だが迅速に動いた。


— 「おっとっと!」と、リュウガは踊りのつまずきを装って騎士に突進。両者は地面に倒れ込んだ。群衆が息を呑み、ヴェルは驚きの声をあげ、音楽は止まった。その瞬間、リュウガは巧みに小さな短剣を破壊している。


— 「ごめんなさい! 大丈夫ですか?」と彼は慌てて騎士の腰を支えるふりをする。


— 「うっ…な、何を…!」と騎士は狼狽。


リュウガはそのまま不自然に体を揺らしながら、騎士を会場から引き離す。

— 「どうやら飲みすぎたようで。こちらでお預かりしますね。」


ヴェルが戸惑って問いかけようとしたが、リュウガは軽くウインク。

— 「大丈夫、すぐ戻ります。」


祭りの外れた小径にて、リュウガは騎士を壁に倒しつけた。

— 「話せ。お前は誰で、何を企んでいた?」


— 「し、知らない…!」と騎士は狼狽。


リュウガは冷たく指を鳴らしながら関節を締め上げ、声をひそめる。

— 「もう一度だけ聞く。礼は不要、お前の時間は終わった。」


苦しみに呻く騎士に、リュウガはさらなる圧迫。やがて一通の手紙が騎士の内ポケットから地面に落ちる。

— 「…悪い判断だったな」とリュウガは低く呟き、魔法の強化を加えた拳で騎士をノックアウト。


倒れた騎士の上に降り、リュウガはその手紙を拾い上げる。目を見開き、唇を噛んだ。

— 「…まさか…」


その場で開封せず、彼は目を細めながら静かに呟く。

— 「まだ全貌を知らない。だが、動きを止めるわけにはいかない。」


リュウガは魔力を込めて空間閉鎖の紋章を描き、その場に小さな次元の封印を発動。騎士は意識ごとその次元へ押し込まれた。


壁の石に小さな印を残すよう指先で刻む。

「Ryuga was here. 二度と狙うな」


深呼吸し、リュウガは祭りの会場へ戻る。誰も異変に気づかない。音楽が再開し、温かな灯りが再び広場を満たす。


セレスト、カグヤ、クロが近づいてきて、リュウガは少し汚れた頭を振り払う。

— セレスト:「どうしたの? 大丈夫?」

— リュウガ(笑顔で):「ええ、ちょっとゴミ出ししてただけさ。」


…だがリュウガの胸中には、あの手紙の文字がこだまし、祭りはまだ終わらないことを告げていた。




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この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
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