表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/324

第32章 歓喜の再会

闇の後には、必ず光が訪れる。

戦場はすでに遠く、今ここにあるのは——

ぬくもりと、笑顔と、言葉にされない約束に満ちた一つの部屋。



リュウガはゆっくりと目を開けた。

温かな感覚が彼を包んでいた。


シーツは絹のように柔らかく、ステンドグラス越しに差し込む朝日が、部屋を金色に染めていた。

ここはエレノア城。高い天井、金色の装飾、荘厳なシャンデリア——

生きている、そう確信させるものばかりだった。


「……俺、生きてるのか……?」


その声は、かすれた囁きだった。

腕を動かそうとして、胴体に巻かれた包帯に気づく。

その頭上にはホログラムのパネルが浮かんでいた:


【状態:回復中 – 最終決戦から1.5日経過】

【システム安定化中 – スキル《アンロック》起動 – 解析中…】


「《アンロック》……あれは、いったい……?」

喉が渇いて、声はかすれていた。


そのとき、扉がそっと開いた。


「お兄ちゃ〜ん!♫」


アンが勢いよく飛び込んできた。

短い赤髪が跳ねながら、パステルピンクのリボン付きパジャマを着た彼女は、遠慮もなくベッドに飛び乗り、リュウガに抱きついた。


「起きたんだね!よかったぁ!すっごく寂しかったんだから!」


リュウガは微笑んだ。


「アン……?元に戻ったのか?」


「うん!もうロボットみたいな喋り方しないよ!変な単語も言わないし!もう大丈夫!」


その時、アイオがふわりと入ってきた。

長いオレンジ髪に、輝く真紅のドレスをまとい、優雅に浮かぶその姿。


「ふふ……英雄の目覚めとしては、なかなか演出が派手ね」


「アイオも……無事なのか?」


「ええ。霧は完全に消えたわ。それより、朝ごはんを持ってきたの。食べないと……セレステが怒るわよ?」


二人は顔を見合わせて、くすくす笑った。


リュウガは彼女たちをやさしく見つめた。


「こうしてまた……君たちに会えて嬉しいよ」


「いつでも一緒だよ、お兄ちゃん!」

二人が同時にそう言った。


再び扉が開いた。

今度はクロだった。


落ち着いた装いに、背中には剣。

首輪はもう無く、その瞳には静かな決意が宿っていた。


「やっと目を覚ましたか……」


落ち着いた声。だが、その視線には深い想いがにじんでいた。


「クロ……無事でよかった」


彼女は頷き、胸に手を当てた。


「自由になった。あなたは敵じゃなかった。ただ……時間が必要だっただけ。ありがとう、リュウガ」


アンが目を輝かせてクロに駆け寄った。


「クロお姉ちゃん、すっごく綺麗になったよ!」


クロは少しだけ頬を染め、控えめに頷いた。


その時、セレステが現れた。


輝く軽装の鎧を身にまとい、驚くべきことに——その両腕は人間のものになっていた。


「……よく寝たみたいね、寝坊助」


その腕を自然に動かし、まるで最初から金属ではなかったかのように振る舞っていた。


「その腕は……?」


「《アンロック》の発動時、爆発の中で組織が再生されたって……魔法じゃない。あなたの力よ」


彼女はベッドのそばに座り、そっと彼の肩に手を置いた。


「ほんと……バカなんだから。全部失っても、必ず立ち上がるんだもん」


アンとアイオは顔を見合わせて小声でささやいた。


「セレステ、真っ赤だ〜」


「これって……プリンセスナイトの恋……?」


セレステは顔を真っ赤にして飛び上がった。


「な、なに言ってんのよ!!意味わかんない!!」


クロは腕を組み、皮肉気に微笑んだ。


「そういう見せ方は……反則よ」


リュウガは静かに笑った。


「みんな……無事でよかった」


セレステはふうっと息をつき、そっと尋ねた。


「ねぇ、リュウガ……その《アンロック》の力、これからどうするの?」


彼は天井を見上げた。

その目には疲労の影が残るも、確かな意志が宿っていた。


「……わからない。けど……きっと、すぐにまた必要になる」


しばしの沈黙——

だが次の瞬間、アンが声を上げた。


「じゃあさ、全部終わったら、いっぱいお菓子食べに行こうね!」


「それと、髪も結ってね〜!」

アイオがそう言ってぎゅっと抱きつく。


クロは小さく呟いた。


「ふぅ……にぎやかすぎるわね」


セレステは吹き出し、

そして本当に久しぶりに、部屋は静かな平和に包まれた。


——そう。

困難は、これからが本番かもしれない。


でも今はただ、それぞれの命が、ここにあった。

一緒に。


温かな部屋。

まだ交わされていない約束。


笑いがあって、愛があれば——

傷跡は、きっと早く癒える。


本当の「解放アンロック」は……

もしかすると、これから訪れるのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ