表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

304/320

第287章 ― ヴォルテルの夜

宿屋の扉が閉まり、賑やかな通りの音が背後に遠ざかっていった。

新しく塗られた木材とスパイスの香りが漂う館内。広々とした受付にて、口ひげをたくわえた宿主が緊張気味の笑顔で迎えた。


「いらっしゃいませ…皆さん全員でご宿泊でしょうか?」

大所帯に目を丸くしながら尋ねた。


リュウガがうなずいた。

「そうだ。部屋をいくつか頼む。」


宿主は記録簿をめくりながら冷や汗をかく。

「大部屋が3つ、中部屋が4つございます。ただ…皆さまが全員泊まるとなると、それなりに高くなりますが…」


リュウガが懐から財布を探そうとした瞬間――

フローラが無言で数枚の金貨をカウンターに置いた。


「私が払うわ。」

その瞳には迷いもなかった。

「これは…ヴォルテルの安全への投資と思ってちょうだい。」


宿主は驚き、そしてすぐに感謝の笑みを浮かべた。

「もちろんでございます、お嬢様。」

階段を上がると同時に、騒動が始まった。


アンが真っ先に手を上げた。

「アイオと同じ部屋じゃなきゃイヤー!」


「当然でしょ!」とアイオが胸を張る。

「私はファッショニスタの妹なんだから!」


ウェンディが腕を組み、いたずらっぽく笑った。

「じゃあ私はリュウガと一緒の部屋ね。お医者さんとして、怪我のチェックをしなきゃ。」


「それはズルい!」とすぐさまセレステが反応。

その目はキラリと光る。

「私も彼のそばにいなきゃ!」


カグヤは舌打ちし、ニヤリと笑った。

「まったく…“自称ドクター部屋”ができそうね。」


パールは冷静に手を挙げた。

「各部屋に信頼できる者を配置することを推奨します。安全第一です。」


スティアが両腕(というか砲台)を持ち上げて言った。

「俺は廊下で寝て、全員を守ろう!」


その言葉に、宿の他の客たちは飛び跳ねるほど驚いた。


リュウガは額に手を当て、深いため息をついた。

「……制御不能になってきたな。」

巫女・ミユキが静かに近づき、柔らかく微笑んだ。

しかしその青い瞳は、どこか危うい光を宿していた。


「リュウガくん…どこで寝ても構わないわ。でもね…私は必ず、あなたの近くにいるから。」


その声に、場の空気が一気に凍りついた。


アンがアイオに小声で囁く。

「…あの巨獣より怖くない…?」


「しーっ!聞こえるよ!」

アイオはピタリと動きを止め、震えていた。


この章、そして物語を読んでくださってありがとうございます!

もし気に入っていただけたら、評価・コメント・またはどんな形でも感情をシェアしてくれると嬉しいで

どんな反応でも大歓迎です!皆さんの声が力になります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ