表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/324

第27章 炎の怒り、バリアに血が滴る

剣戟の轟きは、誰にも慈悲を与えない。

血が旗を染め、

叫びが炎と混ざり合う時――

そこに残されるのは、ただ一つ。


耐えること。


そして、今夜――

エレオノールの都は燃え尽きるか、あるいは――再び立ち上がるか。




リーダー・ハークルの笑い声が、まるで地獄の太鼓のように戦場に響き渡る。彼は巨大な棍棒を力いっぱい振り回し、その目はサディスティックな悦びで赤く煌いた。


「――全員、突撃しろ! この忌々しい結界を破り、この街を我らのものにするのだ! すべてが、我らが支配する!」


背後では、山賊、異形の獣人、堕落した魔導師たちが一斉に咆哮しながら襲いかかる。その姿は、暗黒の大津波のようだった。


城壁上ではセレステが片腕を高く突き上げ、大声で指示を飛ばす。


「――防御モード、発動! 通すな! 負傷者を守れ!」


魔法の盾が激しい攻撃を受けて瞬く間に光り、兵士たちは矢を放ち、魔導弾を撃ち、盾の壁を築く。傍らでは、輝く槍を構えたオーレン率いる精鋭部隊が、そしてネリアンが杖から光の結界を展開して的確に防御する。


「エレノアのために――!」

オーレンが戦槍を振るいながら叫ぶ。


「後退などするな! 絶対に通さない!」

ネリアンは光の障壁で矢の雨を弾き返し、仲間を守り抜く。


一方、カグヤは風のように滑る。もはやただの忍びではない。影そのものと化し、敵陣をねじ伏せる死の幻影だ。


「変身・蛇忍(サソリの囁き)!」

彼女の身体は細長く変化し、毒牙のような顎で幻惑の罠を仕掛け、敵同士を喰い合わせる。


「変身・阿修羅エビ(ハセツランブ)!」

色鮮やかな鎧と刃で武装し、一閃の打撃で骨を砕く。


「変身・水鉄砲エビ(カイシンショット)!」

圧縮水弾を放ち、敵を吹き飛ばす。


「変身・ベータフィッシュ(リュウセイバクハ)!」

ジグザグに動き回りながら敵の隊列を乱し、制御不能に陥れる。


「変身・蚊忍(チシオの攻撃)!」

彼女は霧のように消え、背後から現れて敵の気力を吸い取り、砂のように干からびさせる。


その頃、地上ではリュウガが棍棒の一撃を躱していた。衝撃が砕け、土煙が巻き上がる。リーダー・ハークルは嘲笑を浮かべる。


「それだけか、冒険者! お前の怒りはどこにある! ふさわしい舞台を見せろ!」


リュウガの瞳が炎で揺れた。


「……求める怒りが、やがてお前自身を焼き尽くす。」


大地が震え、彼は炎を纏った剣を高く掲げる。


「ファイアソード――天使の激震テンシのゲキリン!」


一閃、黄金の焔が剣に宿り、地を裂く勢いでリーダーの肉を斬り裂いた。


リーダーは血を滴らせながら、狂気の笑顔を浮かべる。


「ふふ……いいぞ、その調子だ!」


その間も、敵軍はバリアを押し続ける。セレステが力を込めて詠唱した。


「ソニック・マインダー――永遠の光のアリア!」


衝撃波が敵兵の鼓膜を轟かせ、数十体を吹き飛ばした。


「通すな! ここから一歩も下がるな!」


その光景はまるで嵐前の静寂のよう。天は黒雲を広げ、戦場は火と煙に包まれ、地は血で濡れてゆく。


そして――炎と鋼の剣を構えたリュウガと、血に飢えた巨人リーダー・ハークル。その一騎打ちが、まるで神々の戦いのように繰り返される。


一撃ごとに大地が砕け、衝突の度にエレノアの運命が火の中で書き記されていく。


この壮絶な戦いの先に待つものとは――。

高所の城壁で、セレステとカグヤは戦局を見極め、攻撃の隙を突いて敵の波状攻撃を防ぎ続けていた。セレステは胸の宝石を光らせ、手を天へと掲げた。


――「Xセイバー・ディヴァインパルス!」


黄金の光が螺旋を描きながら降り注ぎ、数十の敵の動きを鈍らせ、その隙に味方兵が反撃に転じる。剣戟の轟き、矢の風切り、灰色の煙が戦場を覆い尽くしていく。


――「カグヤ、右翼を頼む!」


セレステの声が響き、カグヤは一瞬目を閉じ、ニンシの言葉を胸に思い浮かべた。失われた命の痛みと、赦しへの炎。決意が彼女の内側で燃え上がる。


――「今度こそ、絶対に失わない!」


そして手を回し、光とともに姿を変える。


● 深海獣・センタロフリネスピヌ:「アビサルルアートラップ」を展開し、幻惑の網で敵同士を混乱させ、噛みつく。

● 氷牙獣・フォカロボ:「グレイシャルランページ」で突進、攻撃範囲を凍結させて敵を吹き飛ばす。

● 剛腕獣・ゴリラ:「シミアンクラッシュ」で拳を振るい、音速の衝撃波で兵列を崩壊させる。

● 大地獣・マウンテンブル:「テクトニックスパイク」で尾を突き出し、地面の岩盤を打ち砕き、複数の敵を貫く。


――「真の強さは心の中にあるのか!」

カグヤは怒りと覚悟を込めて吠えた。


――「セレステ、援護する!」


息を切らしながら彼女が叫ぶと、セレステは杖を構えた。


――「Xセイバー、展開!」


背後に光の剣が浮かび、先端が敵を薙ぎ払う。後方から援護に駆けつけた兵士や魔導師たちが、再び前線を固める。


一方、最前線では――


リュウガと敵将クラヴァックの激突が地を震わせる。棍棒による衝撃は大地を砕き、破裂音が響いた。


――「お前は強い、外部者だが神ではない! 身体を裂いてやるぞ!」

クラヴァックが咆哮と共に魔力の波動を放つ。


リュウガは「フォースパルス」で身を跳ね退け、一瞬の隙を突いた――


――「神などいらない。猛き悪を討つ力こそが必要だ!」

魔力こもった蹴りが敵を数メートル押し返す。


その時、クローが息を切らしながら駆け寄った。


――「ヴェル姫とリッシア姫は…?」

リュウガの問いに、クローは首を小さく振った。


――「…戦場にはいるようだが、姿を見失った。手がかりはありません…」


その直後――クラヴァックの一声が空気を裂いた。


――「爆裂矢、撃て! 城壁を揺らせ!」


ルーン刻まれた巨大な矢が放たれ、魔法の結界を突いて城壁の弱点を破壊。轟音とともに瓦礫が崩れ落ち、AurenとNerianが巻き込まれそうになった――


しかしその瞬間、チーター形態のカグヤが閃光の如く現れ、二人を腕ごと抱えて安全地帯へと引き戻した。


――「――大丈夫か!?」

彼女の声に応えて、二人はかすかに頷いた。


だが――その直後、二人の姿が揺らいで消滅していく。


――「そんな…!」

カグヤは呆然と立ち尽くした。


そして消えたその場所に姿を現したのは――ヴェルミラ姫とリッシア。


――「ヴェル!? リッシア!?」

リュウガが驚きの声を上げる。


――「ごめんなさい…私たち、後ろにいられなかったの」

ヴェルが頬を紅潮させながら、俯き気味に謝る。


リッシアも毅然と応えた。

――「私もよ。この国は私たちのもの。隠れているわけにはいかないの。」


戦場に一瞬の静寂が訪れ、敵ですらその場に凍り付いた。


だが、クラヴァックは不気味な笑みを浮かべた。


――「ふむ…面白い。狩りの獲物が増えたようだな。」


その声が、夜の闇をさらに重く包み込んだ。


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)






煙が渦巻く中――

クラヴァクの咆哮は、戦の角笛すらかき消すほどに響いた。


だが彼の目には映らなかった。

まだ立ち上がる者たちの胸に、確かに燃え始めた“炎”を。


二人の王女は、消えることを拒んだ。

一人の戦士は、剣を手放さなかった。


闇が吠えようとも――

希望の声は、沈まなかった。


戦いは終わっていない。

だが――


エレオノールにて、伝説は今、幕を開けた。







こんにちは!『フラグメント・メモリ』を読んでいただきありがとうございます!

ポイントやブクマ、とても励みになっています。

これからもよろしくお願いします!ご感想などもお待ちしています!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ