表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
298/324

第281章 謎の中の感謝

ガラスのような目をした少女が立ち去った後も、酒場にはまだ緊張感が残っていた。

村人たちは再びひそひそと話し始めたが、誰も大きな声を出そうとはしなかった。


リュウガは眉をひそめたままため息をつき、フローラの方へ顔を向けた。

彼女は腕を組んだまま、まだ扉の方をじっと見つめていた。


「……フローラ」

リュウガの声は低く、しかし真剣だった。

「ありがとう」


フローラは驚いたように片眉を上げた。

「ありがとう? なぜ?」


リュウガはゆっくりとうなずいた。

「君が立ちはだかってくれなかったら――たとえ視線だけでも――あの少女は何かしていたかもしれない。俺たちは気づかなかったかもしれないが、あの圧…皆にのしかかっていた。」


フローラはしばらく黙ったあと、穏やかに微笑んだ。

「別に大したことはしてないよ。ただ…あんな“もの”に虫けらのように扱われるのが、我慢できなかっただけ。」


アンは力強く立ち上がり、頷いた。

「私はちゃんと感じたよ。あいつ、私たちをまるで存在しないみたいに無視した。…それが一番腹が立つ。」


アイオは落ち着いた様子でリュウガを見つめた。

「Verseって…そんなに強いの?」


リュウガはすぐには答えなかった。

その目は冷静で、何かを計算しているかのようだった。


「村人の言葉が本当なら――俺たちは今、これまでの戦いを超える存在と関わってしまった。」


ヴェルは首を傾け、低い声で言った。

「最高ランクの冒険者グループ…しかもリーダーは“英雄”? これはもう別次元の話ね。」


リュウガは一瞬目を閉じ、静かに続けた。

「何であれ、Verseとはいずれ向き合うことになる。だが…」

彼は再びフローラを見つめ、わずかに、ほんのわずかに微笑んだ。

「今は、君が俺たちの側にいてくれて嬉しい。」


フローラは顔を少し赤くし、視線をそらした。

「へ、変なこと言わないでよ、リュウガ。ただ…やるべきことをやっただけ。」


村人たちの囁きは続いていた。不安と恐怖の中で――

その中でも「Verse」という名だけが、確実に皆の記憶に刻まれていた。

読んでくれてありがとう!

コメント・評価、ぜひお願いします

あなたのひと言が、この物語をもっと強く、美しくしてくれます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ