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第275章 ― ダイヤモンドの塔に結ばれる同盟

ダイヤモンドの塔の中心大広間は、戦の余韻を残したまま、

灯る松明と魔法の水晶に照らされていた。

その光の下、静かに足音が響く。


リュウガとその仲間たちは、

新たに王位を継いだ王子――勝利の末に塔の主となった男の隣に立っていた。


隣にはエレノア王国の王。

彼は力強く右手を差し出し、王子と握手を交わす。


その音は、時代と時代を結ぶ“盟約”のように響いた。


「塔は再び立ち上がる」

エレノア王が言う。その声には揺るぎない決意があった。

「そして共に立つ。我らを脅かすすべての敵に、連合して抗おう」


新たな王は一瞬だけ視線を落とし、そして答えた。


「民はすぐには戻らない。彼らはあまりに多くを失った……

だが、私がこの地を“家”として築き直せば、きっと戻ってくる。

それが、私に与えられた務めです」


リュウガは黙ってうなずいた。

“背負う重さ”とは何か、彼自身が誰よりも知っていた。




仲間たちが一人ずつ前へと出て、自らの決意を示していく。


セレステ(プリズム形態を解いた人間の姿)

中央の水晶にそっと手を添える。

「一つの勝利は、真実への一歩……

いつか必ず、ヴァルデルに奪われたものを取り戻す」


カグヤ

腕を組んだまま空気の匂いを嗅ぐ。

「この塔は、まだ“故郷”の匂いがしない……

でも、私は見張ってるよ。

もう誰にも、この壁を汚させない」


ヴェル

震える声で、兄とアルウェナの前に膝をつく。

「私はもうただのユニコーンの姫じゃない。

妹として、家族を守る者として――ここに立ちます」


ウェンディ(パールと共に負傷者を治療しながら)

「誰も失いたくなくて、医術を学んだ。

でも、リュウガの技術があれば……

もっと多くの命を救える。今の私なら、それができる」


クーロ

前へと進み、その瞳は決意に燃えていた。

「ヴォルテルに向かうなら、私も行く。

もう誰にも、あんな首輪はつけさせない」


アンとアイオ

避難民の子供たちと遊ぶ。

アイオは掌から花を咲かせ、アンは光るカードで小さな幻を見せる。

子供たちは、久しぶりに笑った。


アンドロイド部隊(パール、アズ、クリスタル、ヴィオラ、リーフティ)

ガレオン号の修復作業に無言で従事し、

その後は静かにリュウガの背後に並ぶ。

まるで、鋼鉄の軍勢のように――指示を待つ姿。


スティア

金属音を響かせながら、砲塔を調整する。

「システム最適化完了。

――ガレオン、再び空を駆ける」


みゆき(巫女)

リュウガの傍に寄り添う。

その青い瞳は一瞬だけ柔らかく揺れた。

だが、アイオがリュウガに近づいた瞬間――

その瞳に鋭い火花が走る。

誰にも気づかれなかったが、

その“嫉妬”の痕は、確かにそこに残った。


リシア(エルフ)

水晶の柱に手を当て、風のように囁く。

「この壁は、まだ笑い声を知らない……

でも、風は言ってるわ。

いつかまた、子供たちがここで笑えるって」

そして、弓を構える。

「その日が来るまで、私は弦を張り続ける」




新王は彼らの前で深く頭を下げた。


「本当に……ありがとう。

この勝利は、あなたたちの力があってこそだった。

民が戻る日は遠いかもしれない。

けれど――その道を開いてくれたのは、あなたたちです」


マグノリアとグレイオもそれぞれ感謝の言葉を贈る。


「その偉業、歴史に刻まれましょう」

と、マグノリアは厳かに。


「そしてそれは、

真に“耐えた者”の記憶として残る」

と、グレイオは重く続ける。


リュウガは、一歩前へと出て答えた。


「塔は守られた。だが、戦いは終わっていない。

ヴォルテルはまだ――俺たちに答えていない」



修復を終えたガレオンは、塔の上層で待っていた。

英雄たちは、塔の頂から夕暮れに染まる光景を見下ろす。


祝宴はなかった。

歓声もなかった。


あるのは、ただ――

“これからの戦い”を知る者たちだけが持つ静けさ。


だがその静けさの中には、

確かに一つの“希望の種”が、芽吹いていた。

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この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
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