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第264章 ――「真なる英雄たちの誓い」

空気が灼けつくように熱を帯びていた。

エクリプスの咆哮は、まるで宇宙の竜の咆哮のように響き、

黒き力を浮遊する魔法陣の中で渦巻かせていた。


空は震え、

戦場にいるすべての命が感じていた。

――第三の砲撃が来る。

そして、それはすべてを焼き尽くす。




空中では、サイバネティックアーマーを纏ったウェンディが、魔導長と激しくぶつかり合っていた。

太陽エネルギーを帯びた翼が火花を散らし、

放たれるプラズマの閃光が、敵の魔法障壁と激突しては消えていく。


「その怪物をもう一度チャージさせるなんて、させないッ!!」

ウェンディが怒声を上げながら、電光の拳を放つ。


だが魔導長は余裕の笑みを浮かべる。

「もう遅い、娘。蝕は止められぬ。」




地上では、リュウガが血を滲ませながら膝をついていた。

再生した肉体は焼けるように痛み、

一呼吸ごとに千本の針を飲むような苦しみが走る。


巫女は彼の胸に両手を当て、懸命に癒しを続けながら叫ぶ。

「もうやめてッ!その力を使い続けたら…あなたの命が縮む!!」


だがリュウガは、弱々しくも笑って言った。

「……命が削れてもいい。皆を失うくらいなら…その方がマシだ。」


その言葉は、ヴォルテルの英雄たちの胸を貫いた。


ミユキは拳を握りしめ、震えながら呟く。

「……自分の世界ですらないのに、命まで懸けて……」


別の仲間が地面を叩く。

「じゃあ俺たちは何だ!?女神の人形かよ…!」


場に重たい沈黙が落ちた。

その時、巫女が震える声で告げる。


「リュウガはずっと…日本でもそうだった。

誰かを守るためなら、何もかも捨てる人なの…!」


その言葉のあと、

プリズマドラとジェイドのクローンが同時に声を発する。


「英雄とは、称号を与えられた者ではない。

誰を守るか――それを、自ら選ぶ者だ。」


その声は、剣より鋭く彼らの心を切り裂いた。


やがて、ミユキが震える手で武器を掲げた。


「……なら、私は……自分で決める。」


一人、また一人と仲間たちが頷き、

その瞳には決意の炎が灯っていた。




地平線の彼方で、エクリプスが唸りを上げる。

魔法陣は最大まで拡張され、

砲口には闇の光が渦を巻き始めていた。


魔導長が両手を天に広げ、歓喜の叫びを上げる。


「――第三撃目、世界を焼き尽くせ!!」


地鳴りが響き、山々が軋み、空気さえも凶器と化す。

息をすることすら、苦痛だった。


リュウガは痛みに耐えながら、通信機に叫ぶ。


「みんな、構えろッ!!

……次の一撃は、塔を狙ってくるぞ!!!」




ヴォルテルの英雄たちが、リュウガと巫女の前に立ち並ぶ。

その武器は光を宿し、まるで心に応じて答えるかのように震えていた。


「もう迷わない…」

ミユキが、涙を浮かべながら笑う。

「戦おう、リュウガと共に。」


「神に命じられたからじゃない――」

「俺たちが、自分の意思で戦うんだ。」


その魂の炎は、空気さえ燃やしそうなほど強く輝いていた。


リュウガはふらつきながらも、声を漏らす。


「……ようこそ。

これが……本当の戦いだ。」




そして――

エクリプスが唸りを上げ、漆黒の砲撃が放たれた。

天空を切り裂く死の光が、審判のように降り注ぐ。


ウェンディは咆哮しながら魔導長へと突撃し――

セレステはモルガナイトの姿で、再びヴァルダーと衝突し――

リュウガとヴォルテルの英雄たちは、砲撃の進行方向へと走る。

武器を高く掲げ、闇に立ち向かう。


天からの死が、地上を照らした。

その光景の中で、戦場は――焼けるように燃え上がっていた。


(つづく)

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この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
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