第254章 ― 緋の騎士への最後の一撃
もはや通路はただのトンネルではなかった。
そこは、まるで地獄から切り取られた戦場だった。
緋の騎士――鎖に覆われ、刃の翼を広げた怪物――その一歩ごとに地が震え、吐息一つが死の宣告のように響く。
だが、そんな彼の前に立ちはだかる者たちがいた。
傷だらけで、血に塗れ、震えながらも――英雄たちは、まだ倒れていなかった。
セレステ(プリズマドゥーラ形態)はバイザーを開き、宣言する。
「スキャン完了。コア部、弱点あり…ただし、全員の同時攻撃が必要」
ヴェルが口元に血をにじませながら、微笑む。
「ならば…やるしかないじゃない!」
クーロの瞳に赤き月が宿る。剣を掲げるその姿は揺るがない。
「すべてを賭けてもいい。奈落になど、負けるものか!」
カグヤは全身に海の力を宿し、変身を重ねる。
「シルーロ、マンタレイ、フグ…私のすべてを、ここで使い切る!」
リュウガは巫女に支えられながらも、手を高く上げた。
「その炎、俺に重ねろ。こいつを…絶対に、沈める!」
セレステ(ジェイド+プリズマドゥーラ):
「ベクトルの嵐」と「多波長プリズムブレード」を同時展開。
緑と虹色のクリスタルが敵の弱点をマーキングし、防御の隙を生む。
ヴェル(グラナート):
「緋星の審判」を発動。空間の時間を5秒停止させ、
頭上に赤い球体を出現させ、罪と死の審判を下す。
クーロ(蒼月):
「蒼月の涙」で騎士の胸元の時間を凍結し、
天と次元を越える斬撃を連ねる。
カグヤ(海獣形態):
シルーロ形態で鎖を翻弄し、マンタレイで空中から波動を放ち、
フグ形態で反撃を三倍にし、騎士を初めて膝つかせる。
リュウガ:
「マグマ・バースト:最終核」発動。
巫女の信仰の光がその魔力を強化し、トンネルの中に太陽のような灼熱を生む。
仲間の日本勢も動く。
剣士:神速の斬撃で空間を切り裂き、聖なる鋼の結界を生成。
槍使い:大地に槍を突き立て、光の柱を発生させ、
騎士をセレステの指定した座標へと押し出す。
そして巫女:涙を流しながら杖を掲げる。
「リュウガ…いつだって、私はあなたの隣で戦う」
その光が全員を包み、最後の動きに必要な“命”を少しだけ回復させた。
⚔️ 最終コンボ
セレステが叫ぶ。
「今だ――全員、撃て!」
ジェイドとプリズムのクリスタルが爆発し、鎧に亀裂が走る。
ヴェルの紅い棘が嵐となり、鮮血の雨を描く。
クーロは月下に舞い、斬撃が騎士の記憶すら断ち切る。
カグヤが空中へと押し上げ、そして中心で炸裂する波動が核を狙い撃つ。
そして――
リュウガが魔力の全てを槍に込め、叫ぶ。
「――マグナ・フュージョン:終焉の星!!」
巫女の信仰と仲間たちの攻撃が調和し、
炎と水晶の槍が生まれ、緋の騎士の胸部を貫いた。
騎士が咆哮する。
鎖が悲鳴のように軋み、刃の翼が崩れ落ちる。
「馬鹿な…我は…永遠の存在…だったはず…!」
鎧が砕け、黒の破片となって散る。
最後に核が爆ぜ、白い閃光が通路を包み込む。
――そして、静寂が訪れた。
英雄たちは、呼吸もままならぬ中、それでも立っていた。
緋の騎士――完全に、崩壊した。
リュウガが膝をつき、巫女が抱き留める。
ヴェルは血に染まった手を見て、弱々しく笑う。
クーロは剣を支えに、必死に立ち続ける。
カグヤは倒れながらも、獰猛な笑みを浮かべていた。
セレステのシステムは限界を超えながらも、仲間たちを守る結界を維持し続ける。
「やっ…た…のか…」
だがその瞬間、地を揺らす咆哮が響く。
――奥に見える「蝕の光」は、100%の輝きを放っていた。
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