表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
267/324

第250章 ― 緋き影の下での誓い

通路の空気は、もはや呼吸すら困難なほどに重く沈んでいた。

緋色の騎士が地面に剣を突き立てると、その周囲を漂っていた黒いオーブが無数に増殖し、黒き月の群れのように回転を始める。石床は圧力に耐えきれず、ひび割れを生じさせていた。


「よく耐えた…だが、ここで終わりだ」


オーブから放たれたのは、緋のエネルギーで形作られた無数の槍――それは嵐のように降り注いだ。

ヴェルが燃える棘の壁を展開し、セレステはプリズムの結界を広げ、クーロは青の剣を振るい、飛来する一部を凍らせた。


それでも、爆風は彼らを壁へと吹き飛ばした。


リュウガが立ち上がろうとするが、以前の戦闘で受けた傷から血が流れ落ちていた。

巫女が駆け寄り、光を帯びた手で彼の胸に力を込める。

「リュウガ…お願い、持ちこたえて!」

その声は癒しと絶望を混ぜた祈りのようだった。


彼はかすかに笑みを浮かべる。

「心配するな…まだ倒れる気はない」


煙の中から現れたのは、黒いワニ忍者の姿をしたカグヤ。その鱗は生きた鋼のように輝く。

「全員、下がれ!」

彼女が咆哮し、口から闇のエネルギーのブレスを放つ。それは大地を二つに割った。


だが緋の騎士は、それを片手で防ぎ、口元に笑みを浮かべる。

「面白いな…半獣か。だが、すり潰すだけだ」


カグヤは怒涛の連撃を繰り出す。

モード・ハーレクインシュリンプで高速のフェイントと斬撃を、

モード・ゲーターで圧倒的な力を叩きつける。


だが、騎士はすべてに耐え、呪われたエネルギーがその鎧から噴き出していた。


セレステはジェイドモードとなり、「光学予知システム」を起動。敵の剣筋を読み取り、叫ぶ。

「左、ヴェル! 上、クーロ!」


その的確な指示が、致命傷を回避させた。

だが、黒鎖の端が仲間の身体をかすめ、皮膚と鎧を引き裂いていく。


ヴェルは腕から血を流しながらも、負けじと叫ぶ。

「どれだけ押し潰そうとしても…私たちは退かない!」


クーロは荒れた息をつきながら前に踏み込み、

彼女の「黄昏の閃光」は空気を切り裂き、黒い裂け目を残す。

その一撃に、騎士が初めて一歩後退した。


怒りの咆哮と共に、騎士が第二段階へと移行する。

その緋色の鎧は殻のように開き、内側からは生きた黒鎖に包まれた異形の肉体が現れる。

目は人ならざる炎を灯していた。


「今こそ――奈落の重圧を思い知るがいい」


黒鎖が増殖し、通路全体を埋め尽くす。

その一撃一撃は、肉体を傷つけるだけでなく、命の力を吸い上げていく。


リュウガは意識を朦朧とさせながら、その光景を見つめる。立ち上がろうとするも――

巫女が彼を止め、涙を浮かべて訴える。

「ダメ…! 動けば、あなたが死んじゃう! この戦いは、あの子たちに任せて…!」


悔しさに歯を食いしばりながら、リュウガは拳を握る。


――セレステ、クーロ、ヴェル、カグヤ。

彼女たちは傷だらけでありながら、なおも立っていた。


騎士が剣を高く掲げる。

その刃は黒き炎に包まれ、終焉を告げる刃となっていた。


セレステが目を閉じ、静かに囁く。

「ならば…私たちも、すべてを賭けるまで」


ジェイドとプリズムの結晶が空へ舞い上がる。

ヴェルは燃える花びらの陣を広げ、クーロの瞳には紅の月が浮かぶ。

カグヤは、すべての姿を重ね合わせた咆哮を放つ。


――最終の激突は、今まさに始まろうとしていた。

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

読んでくれてありがとう!

感想・評価・コメント、お待ちしています

あなたの声が、この物語の力になります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ