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第249章 ― 限界まで

新たな敵の重圧により、通路が揺れていた。

緋色の騎士が静かに進む。ひと足ごとに、金槌のような音が響く。その周囲には黒いオーブが浮かび、闇の心臓のように脈打っていた。


「もう力は残っていないはずだ。降伏すれば、せめて楽に殺してやろう」


クーロがふらつきながらも立ち上がる。脇腹から血が流れ続けていたが、その蒼い瞳には怒りの光が宿っていた。

「たとえ体が砕けても…私は、絶対に跪かない!」


ヴェルが翼を広げる。その羽根は疲弊で震えていたが、意志はまだ折れていない。

「ユニコーンだろうがなんだろうが…まだ、戦える」


リシアも弓を引き、腕を震わせながらも、視線は真っ直ぐ敵を射抜いていた。

「倒れるとしても…撃ちながら倒れるだけよ」


緋色の騎士が剣を掲げると、オーブから黒い鎖が放たれ、三人に向かって飛んでくる。

クーロがそのうち二本を剣で何とか弾き、ヴェルは水晶の壁で一つを防ぐ。リシアは連射で最後の鎖を砕いた。


だが、衝撃で三人とも壁に吹き飛ばされた。


「ぐっ…!」ヴェルが苦悶の声を上げ、息を荒らす。

「もう…限界が近い…」リシアが血をにじませながら呟く。


騎士が剣を向ける。

「その抵抗心、見上げたものだ。だが、無意味だ」


通路が赤い光に染まる。


膝をついたクーロが、必死に叫ぶ。

「まだ…終わってない!」


残された力を振り絞り、彼女は蒼い光の波動を剣から解き放つ。ヴェルはタイミングを合わせ、黄金の花びらの砲撃を放つ。リシアも、最後の力を込めた矢を射出する。


三つのエネルギーが赤い光線と衝突し――通路が眩い爆光に包まれる。


やがて煙が晴れ、三人は立っていた。息は絶え絶えで、傷だらけ。それでも、まだ倒れていなかった。


だが、緋色の騎士もまた――ほとんど無傷で姿を現す。


「…それが限界か?」


彼が剣を振り上げ、決着の一撃を放とうとしたその時――


轟音が天井から響き、通路の扉が開いた。

空から、光の奔流とともに降りてきたのは――


「下がれ!」

トンネル全体に響いたのは、リュウガの力強い声。


彼の隣には、プリズムのように輝くセレステ、サイバネの翼を広げたウェンディ。背後からはスティアが砲撃を構え、パールが影のように舞い降りる。


「ギリギリ間に合ったな」

魔力に包まれた手を構えながら、リュウガが微笑む。


騎士が振り返り、新たな一行に目を向ける。

「ふむ…ついに“本命”の登場か」


傷ついたクーロが、彼を見て微かに笑う。

「…遅いわよ、リュウガ」


「すまない」

リュウガも短く微笑み返す。

「君たちだけで終わらせるわけにはいかないだろう」


空気が一変する。仲間は増えたが、敵もその真の力を解放しつつある。

そしてその背後で、「蝕の光」は99%を示していた。


通路での最終決戦が、今――幕を開けようとしていた。

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この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
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