第248章 ― 矢とユニコーンと剣
通路の空気は灼けつくように熱かった。クーロの脇腹から血が流れ、ヴェルとリシアも限界寸前。そして「蝕の光」はすでに98%のチャージに達していた。
黒鎧の隊長が黒剣を振り上げ、影の獣が咆哮する。
「これが貴様らの終わりだ」
だが、ふらつきながらもクーロは剣の先を地に突き、震える笑みで立ち上がる。
「まだよ…私は、絶対に諦めない」
ヴェルが手を差し伸べ、その翼はオーロラのように輝いていた。
「なら、一緒にやろう」
リシアが深く息を吸い、弓が太陽のごとく輝く。
「最後の一矢…みんなのために」
三人は一列に並ぶ。クーロは剣を掲げ、ヴェルは光の角を解放し、リシアは弓の弦を限界まで引き絞る――その手は震えていた。
「――連携攻撃!」
クーロが青の浄化の波を放つ。
ヴェルは「冬星 ― 静天の印」を召喚し、通路全体を水晶の結界で凍てつかせる。
リシアのヘラクレスの矢が放たれ、光の千の矢へと分裂する。
三つのエネルギーが一点に収束し、氷・光・魔の雷撃となって隊長とその獣を貫いた。
通路は閃光とともに爆発した。敵の咆哮は掻き消え、身体は灰となって崩れ落ちる。
――静寂が通路を包んだ。
ヴェルが膝をつき、荒く息を吐く。
「や…やったのね…」
リシアが弓を下ろし、呼吸を整える。
「ほんとに…ギリギリだったわ…」
傷ついたクーロが微笑む。涙を浮かべながら。
「こんなふうに…あなたたちと戦えて、幸せだった」
だが、安堵の隙を突くように――
新たな轟音が闇の奥から響き渡った。
通路の影から、さらに恐ろしい姿が現れる。
真紅の鎧に身を包み、竜の形をした兜をかぶった騎士。その周囲には、呪われた心臓のように脈打つ黒い球体が浮かんでいた。
「ほう…私の部下を倒したか」
その声は虚無のように冷たかった。
「だが、それはただ貴様らの終焉を早めただけだ」
三人の体が凍りつく。
そして奥で、「蝕の光」が99%を示していた。
――安堵は、ほんの数秒しか持たなかった。
本当の悪夢は、ここから始まる。
この章に心を動かされたなら、ぜひお気に入り登録・コメント・シェアをお願いします!
あなたの応援ポイントが、この物語をSyosetuで生き続けさせます!