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第245章 – アリシア姫の咆哮

空が金属の咆哮で引き裂かれた。

傷つきながらも容赦のない巨人が両腕を振り上げ、大地を震わせる一撃を放った。

アリシアの巨人の姿となったアンは、それを剣で受け止めたが、衝撃で廃墟の中へと吹き飛ばされた。


地面に亀裂が走り、塵が地平線を覆った。


アンは息を荒げ、手を震わせていた。

額から血が滴り、白いドレスには光の亀裂が走っていた。


— ここで…倒れるわけには…いかない… — 彼女は苦しそうに呟きながら立ち上がった。


ダイヤモンドの塔の城壁から、全員が心を締め付けられる思いでその姿を見つめていた。

— アン、お願い! — ハルが叫ぶ。尻尾が切迫したように揺れていた。

— 諦めないで! — ブルナも叫びながら帝国の騎士を角で弾き飛ばしていた。


リーフィは冷静な目で戦況を見つめ、静かに呟いた。

— 信じられない…壊れかけていても、まだ輝いてる。


巨人は胸を開き、暗黒の核を露出させた。

地面から呪われたエネルギーを吸収しながら、さらに巨大化し、身体を覆うルーンが紫に燃え上がった。

空気は重く、息をするのも苦しい。


アンは歯を食いしばった。剣は震えていたが、緑の瞳は炎のように燃えていた。


— これ以上…何も壊させない。


目を閉じたその瞬間、仲間たちの笑顔が胸に浮かんだ。

アイオ、リュウガ、笑う子供たち、そして共に戦ったセレステ。

その一つ一つが、力の欠片になった。


金色のオーラがアンを包み込み、太陽のように眩しく広がっていく。

— これが私の運命…みんなのために戦う!


巨人が拳を振り下ろす。その黒い腕は山のように重く大きかった。

アンは剣を掲げた。炎のように金と青に輝いていた。


— アリシアの剣…運命を断つ最終の一閃!


一閃、彼女の全力を込めた斬撃が放たれる。

大地が数百メートルにわたって裂け、剣は巨人の暗黒核を真っ二つに切り裂いた。


金属の悲鳴が空を引き裂く。

巨人の体は内側から光り、呪いのエネルギーと浄化の光が交差しながら、灰のように崩れ落ちていった。


アンは膝をついて倒れ込み、元の大きさに戻った。

まだ手は震えていたが、彼女は疲れ切った笑みを浮かべた。


— やった…私…やったんだ…


戦場は沈黙に包まれた。

だが次の瞬間、城壁から勝利の歓声が上がった。


— アン万歳!

— アリシア姫が私たちを救ってくれた!


ブルナとハルが彼女の元へ駆け寄り、涙を浮かべて抱きしめた。

— アン、すごかったよ! — ハルが泣きながら叫ぶ。

— 今までで一番の戦いだった! — ブルナも抱きしめたまま言った。


アンは笑みを浮かべ、彼女たちにもたれかかった。

— 一人じゃなかったから…みんながいてくれたから…


塔の上では、リーフィが遠くの地平線を見つめていた。

巨人は倒れたが、戦いは終わっていなかった。

エクリプスはまだ遠くでエネルギーを蓄えており、イアト帝国の軍勢も撤退してはいなかった。


— この戦いには勝った…だが、戦争はまだ終わっていない —

彼女の瞳は鋼のように輝いていた。


こうして、灰色の空の下で、アンは証明した。

どんなに小さな光でも──巨人を打ち倒すことができると。

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この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
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