第244章 ― 鋼鉄と心のレジスタンス
帝国の巨像が黒い拳を振り上げると、大地が震えた。
アリシアの巨人形態となったアンは、光るクリスタルの剣で応戦したが──
その拳には邪悪なエネルギーが満ちており、雷鳴のような一撃でアンを地面に叩きつけた。
「うぐっ……!」
アンの叫びと共に、大地が陥没し、大きなクレーターが生まれる。
剣は手から滑り落ち、砂塵が戦場を覆った。
塔の上では、兵士たちとアンドロイドたちが息を呑んだ。
「アン!!」ハルが絶叫する。
「お願い……立ち上がって!」と、ブルナが歯を食いしばる。
巨像の胸にある暗黒のコアがより強く脈動し、一歩ごとに地を揺るがしながら、
ダイヤモンドの塔へと歩を進めていく。
息を荒げながら、アンは膝をついたまま、額から血を流しつつも剣を睨み返す。
「まだ……終わってない……」
巨像が再び拳を振り上げ、止めの一撃を構える──
***
その頃、塔の内部もまた地獄と化していた。
帝国イアットの軍勢が絶え間なく襲い掛かり、壁を砕こうとしている。
リーフィは城壁の上から冷静に指示を飛ばす。
「弓兵部隊、右側で交差射撃!スティア、今だ、推進砲を!」
スティアの大砲が轟音と共に炸裂し、敵兵を空へと吹き飛ばす。
アズは最前線で手を振りかざし、地面を粘性の液体で覆った。
敵兵が滑って転んだところを、水素の泡で爆破する。
「化学は裏切らない……」と冷笑を浮かべる。
ヴィオラは塔の側面から一発一発、的確に射撃。
「一発一殺」と、その目は冷たく光る。
クリスタルは優雅に降下し、紫の光線を放ちつつ、
まるで外科医のように敵陣を切り裂いていく。
そしてエレノア王子は兵と共に剣を振るい──
「この壁は死守する!!」と咆哮しながら、敵騎士を斬り伏せる。
王は後方で魔術師部隊と連携し、防壁魔法の維持を指揮。
「アンを守れ!彼女が外で耐えている間に!」
ブルナとハルは門の前で猛攻に応じていた。
ブルナは突進し敵を吹き飛ばし、ハルは二本の尾に炎を灯し、
エネルギーの鞭で敵兵を灰にする。
「私が生きてる限り、ここは通さない!」ブルナの叫び。
「アンは私たちを信じてるんだ、応えよう!」涙交じりに叫ぶハル。
***
戦場に戻る。
アンはよろけながらも立ち上がる。
緑の瞳には、まだ折れぬ意志が宿っていた。
巨像が迫る。その影はすべてを覆うほどに大きい。
アンは剣を手に取り、歯を食いしばる。
「何度倒れようと……私は、必ず立ち上がる!」
決着の時はまだ遠い。
だが──アンの心は、決して折れていなかった。
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