表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
250/324

第242章 ― 日蝕の影に潜む真実

空気はまだ煙と塵に満ちていた。

リュウガはセレステとミユキに支えられながら、少しずつ脚に力を取り戻していた。

その瞳には疲労の色があったものの、それ以上に、すでに多くを悟った者の硬さが宿っていた。


「……リュウガ」

ミユキは涙をこらえながら呟いた。

「やっと……」


リュウガは一瞬だけ目を閉じ、深く息を吸い込むと、擦れたが芯のある声で語り始めた。

「もう……感情から目を背けたりしない。君たちが何も知らなかったのは顔を見れば分かる。けど、真実は……誰かが俺の記憶を改竄したんだ」


ヴォルテルの英雄たちが凍りつく。

まるで冷水を浴びせられたかのように。

ミユキが何かを言おうとしたが、リュウガが手を上げて制した。


「今は……話すときじゃない」

その瞳に冷たくも確かな決意が宿る。

「いずれ、この答えは出す。必ずな」


セレステは視線を伏せ、彼の言葉を静かに受け入れた。

だが、その瞳の奥にある緊張の色は消えていなかった。


そのとき――

ナヤが厳しい表情で近づいてきた。

琥珀の瞳にはホログラムが映り、空中に地図が投影される。

赤い大円が脈動しながら表示されていた。


「警告。ダイヤモンド・タワーへの帰還ルートは封鎖されています」

声は冷静だったが、その裏には明確な緊迫感があった。

「“エクリプス砲”が再充填中」


地図には、エネルギー中枢が拍動するように点滅していた。


「推定発射までの残り時間:15分」

ナヤは真っ直ぐリュウガを見据える。

「そのまま進めば、確実に殲滅される」


リュウガは傷の痛みに顔を歪めながらも、眉を寄せて地図を見つめる。

その瞳には、絶対に諦めないという光が宿っていた。


「……ならば、別の戦略を立てる」


ナヤは頷き、別のルートを指し示す。

「危険度は高いが、代替ルートを発見済み」

地図に隠された通路が浮かび上がる。

「君の身体はまだ損傷が激しいが、細胞活動に急速な再生パターンが見られる。戦闘を極力避ければ、移動中にある程度回復可能」


リュウガは拳を握りしめる。

「それで十分だ。……ここで倒れるわけにはいかない。これまで見てきたものすべてを、無駄にはできない」


セレステが彼の肩に手を置いた。

「あなたは一人じゃない、リュウガ。今回は……最後まで、私たちも共に行く」


ヴォルテルの英雄たちは、言葉なくそれを見守っていた。

空気にはまだ緊張が残っていたが、ひとつだけ明確になったことがあった。


――“エクリプス”との戦いは、まだ始まったばかりだ。

読んでくれてありがとう!気に入ってくれたら、コメントや評価、絵文字を残してくれるととても嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ