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第240章 ― 鋼の裁き

怒りと炎が空気を満たしていた。

「ヴォルテル」という言葉に感情を爆発させたセレステは、目前の英雄たちを焼き尽くすほどのクリスタルの爆発を解き放つ寸前だった。

レンジとダイチは迎え撃つ構えを取り、ミユキは未だ名を呟きながらリュウガに寄り添っていた。


すべてが虐殺で終わるかと思われたその瞬間――


金属の閃光が粉塵を切り裂き、穏やかだが凛とした声が響いた。


「命令:即時、戦闘行為を停止せよ」


風になびく銀髪を背に、リーフティが両陣営の間に現れた。両腕を広げ、その翠の瞳は虹色のコードで煌めいていた。

彼女が展開した半透明のエネルギーフィールドは、剣もクリスタルも同時に封じた。


「分析完了」

機械的ながら威厳を帯びた声で続ける。

「味方を識別。最優先事項:リュウガの保護。互いの戦闘=主目標への脅威」


その隣に降り立ったのはナヤ。琥珀色の瞳が強く輝き、無数のドローンが周囲に展開、両陣営へと砲口を向ける。

「警告:次の敵対行動は、即座に無力化されます」


その声は叫びではなかった。

緊張を貫く、冷たい刃だった。


「ここはイアト帝国に包囲されている。仲間同士で争えば、それは火薬庫で火遊びをする子供と同じ」


セレステは歯を食いしばりながらも、空間に揺れる自身のエネルギーを抑える。リーフティの断固たる姿勢が、彼女を止めていた。

「……あなたたちが来なければ、ここで終わらせていた」


レンジは剣をゆっくりと下ろしつつ、セレステから目を離さなかった。

「俺たちは……お前たちの敵じゃない」


ミユキは涙を流しながら、リュウガの意識なき体を抱きしめて震えていた。

「……違う、最初から敵なんかじゃなかった」


再び静寂がクレーターを包む。響くのはナヤのドローンの低音と、リーフティのプリズムフィールドの脈動だけ。


「命令完了」

銀のアンドロイドはそう告げた。

「最優先事項:リュウガの救出」


一瞬だけ、戦争は止まった。

それは人間の外交ではなく――

アンドロイドたちの“鋼の裁き”によるものだった。

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この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
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