第235章 – 抵抗の残響
〈エクリプス〉によって傷ついたダイヤモンドの塔。
だがその内部では、味方たちがまるで精密な時計の歯車のように動き続けていた。
一人ひとりが、自らの限界を超えて戦っていた。
中央ホールでは、アルサ王子が母から受け継いだ〈クリスタルキー〉を握っていた。
その手は震えていたが、声は揺るぎなかった。
—「残存エネルギーをすべて第二防衛線へ!次の一撃で、もう壁は落とさせない!」
まだ若き王子だが、その瞳には確かな決意が宿っていた。
—「この塔は、僕の誇りだ。最後の一瞬まで、僕が守る!」
南の前線では、マグノリアが魔法の杖を振るい、炎と風の嵐で帝国兵の波を吹き飛ばしていた。
—「来なさい!今日の私は、燃え上がる砦よ!」
槍兵たちが彼女を包囲しようとするも、彼女は笑顔で火炎竜巻を放ち、全てを焼き払った。
—「リュウガが命を懸けているなら、私も命を燃やす!」
最前線では、ドワーフのグレイオがルーンが刻まれた戦鎚を振り下ろしていた。
一撃ごとに地面が揺れ、敵兵たちは次々に地に伏す。
—「さあ来い、腰抜けども!岩の息子グレイオ様が相手してやる!」
敵兵が背後を狙うも、グレイオは頭突き一発で返り討ちにし、味方の笑い声が響く。
—「戦いは、硬い頭と熱い心で勝つんだよ!」
東の側面では、アンドロイドのクリスタルとナヤが戦場を機械の嵐と化していた。
クリスタルは両腕から〈プリズム・データブレード〉を展開。鎧を着た騎士すら切り裂く。
—「解析完了。弱点特定。攻撃開始。」
ナヤは背中から魔導ドローンを召喚し、正確無比な爆撃を繰り返す。
—「戦術ユニット起動中。敵の通過は許可しない。」
二人の無機質な破壊の美しさに、味方も思わず見惚れていた。
西の側では、**ブルナ(馬娘)**がその獣のような力で突撃を繰り返す。
魔法の蹄が火花を散らし、帝国兵を次々に吹き飛ばしていく。
—「仲間のために!リュウガのために!」
兵士たちが槍を構えるが、彼女の動きは速すぎた。
風のように駆け、雷のように蹴りつける。
そして最後に、後方支援の中心に立つのは〈白の姫〉の姿となったクロだった。
優雅に杖を掲げ、忘れられた言語で祈りを口にする。
その杖の先から放たれたのは、夜明けのように輝く白い光。
それは呪いを浄化し、帝国の闇魔法を消し去っていく。
—「過去の鎖には、もう怯えない。今こそ、本当の私で戦う!」
ダイヤモンドの塔は生きていた。
王子も、戦士も、機械も、落ちた姫も…
皆が闇の中で、それぞれの光を放っていた。
そしてその胸にあったのは——
たとえリュウガが今いなくとも、
彼はきっと戻ってくるという、強い信念だった。
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