表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
240/324

第232章 ― 救出部隊

通信機の沈黙は耐えがたいものとなっていた。ウェンディやアンドロイドたち、さらにはヴェルやリシアの呼びかけも虚しく、返ってくるのは雑音だけだった。ガレオンは沈黙し、リュウガは敵地のどこかで消息を絶っていた。


セレステは唇を引き結び、胸のクリスタルがくすんだ輝きで脈打っていた。

「じっとなんてしていられない。もしリュウガが傷ついているなら、一秒だって惜しい」


アンは拳を握りしめ、涙を堪えながら叫んだ。

「死なせない! いつも私たちを守ってくれる彼を……今度は私たちが連れ戻す番よ!」


緊張がその場を支配した。全員を危険に晒すわけにはいかないが、リーダーを帝国の手に渡すこともできない。


そのとき、カグヤが一歩前に出た。彼女の体を獣の影が覆い、変身が始まる。伸びた耳、夜のように黒い毛並み、光る牙。忍犬の姿が凛と浮かび上がった。

「私が行く。灰に覆われた戦場でも、匂いを辿れば見つけられる」


セレステは手を掲げ、その体が緑と橙の光に包まれる。鉱石の破片が彼女の鎧と融合し、“ウナキータ”──抵抗と調和のクリスタルの姿となる。彼女の目は宝石のように輝いていた。

「あなたが見つけてくれたら、私は彼を守る盾になる」


三番目に進み出たのは、狐の尾を持つ少女ハルだった。彼女は幻のように分身し、その尾が炎と風で弾けた。

「私は囮になる。もしヴァルダーや皇帝に遭遇したら、たとえ命を落としても、リュウガには指一本触れさせない」


ウェンディは唇を噛みしめた。行きたかった。でも負傷者を安定させる役目が彼女にはあった。

「お願い……彼を連れて帰ってきて」


セレステは優しく微笑みながら、そっと彼女の肩に手を置いた。

「必ず。彼にはまだ果たすべき運命がある……ここで終わる男じゃない」


救出部隊は静かに出発した。煙と炎の中へと足を踏み入れる。イアト軍の太鼓と巨獣の咆哮が遠くで響いていたが、彼女たちの足を止めることはなかった。


三人は慎重に、だが確固たる意志で進んだ。

裂けた空の下──どこかで、リュウガは発見されるのを待っている。

読んでくれてありがとう!

もし気に入ってくれたら、絵文字でもコメントでも評価でも、

どれか一つでもしてくれたらとても嬉しいです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ