第228章 ― エクリプスへの疾走
《ルイナの巨像》の咆哮は、まるで戦の太鼓のように響き渡り、
その一歩一歩が《ダイヤの塔》の基盤を震わせていた。
だが――本当の脅威はそれではなかった。
遥か遠く、《エクリプス》が再び魔力を蓄え始めていたのだ。
その黒いプリズムが、次第に激しく脈動し始めていた。
「……もう一度撃たれたら、終わりだ」
ヴェルが、怒りを押し殺すように呟いた。
その瞬間、アイオが前に踏み出す。
彼女の瞳に宿るのは――決意の輝き。
「だったら――撃たせなければいい!」
光が彼女を包み込み、姿が変わる。
星を散りばめたテンガロンハット、きらめく投げ縄、
両腰に光エネルギーのリボルバー。
ポンチョ風のスカートが風に舞う。
プリキュアスタイル:マジカル・カウガール・アイオ
「さあ、ショータイムよ、カウボーイたち!」
その隣では、ヴェルが《サーモンユニコーン・プリンセス》の姿に変身。
温かな輝きと猛々しさを宿したその姿で、
彼女の槍は、まるで朝日のように閃く。
エルフのリシアは弓を引き絞り、
瞬間移動の魔力を帯びた矢を次々と展開。
「生きて辿り着きたいなら、私に続け。」
最後に進み出たのは、紫の髪と光る茶色の瞳を持つアンドロイド、ヴィオラ。
両腕が双砲に変形し、プリズムエネルギーの唸りを響かせる。
「任務開始:護衛と支援。目標:アイオ及び部隊の通路突入支援。」
その時、《ダイヤの塔》の王子が古地図を手に現れた。
「この秘密通路はエクリプスの側面へと繋がっている。
我が家系のみが知る……お前たちの唯一の希望だ。」
リュウガが地図を受け取り、厳しい表情で頷いた。
「もう時間はない。アイオ、ヴェル、リシア、ヴィオラ――行け!
あの砲が再び撃つ前に!!」
突撃が始まる。
アイオが投げ縄を振り回し、敵兵の一団を光の爆発で吹き飛ばす。
「さあ踊ろうか、ロデオのリズムで!」
ヴェルは角の突進で敵陣を貫き、
炎のような軌跡を空に描く。
「――暁の騎兵は止まらない!」
リシアの矢が敵の壁に刺さり、
次の瞬間、彼女たちはその背後へと転移する。
「通路が見えた! 急げ!」
ヴィオラは双砲を解き放ち、
帝国の弓兵たちを抑える弾幕を形成。
「全域カバー完了。進路確保済み。」
ついに4人は、秘密の通路の入口にたどり着く。
その奥は黒いクリスタルに覆われ、内側から波動が脈打っていた。
背後から聞こえる戦場の怒号と、コロッサスの咆哮が徐々に遠ざかる。
ヴェルは深く息を吸い、仲間たちを見る。
「もう戻れないわ。私たちが失敗したら……また撃たれる。」
アイオはテンガロンハットを持ち上げて、ニッと笑う。
「だったら、失敗なんてしないだけよ。」
そして一秒も無駄にせず――
彼女たちは闇の中へと走り出した。
エクリプスの咆哮と、残された時間を振り切るように。
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