表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
234/324

第226話「クリスタル作戦」

内壁の上から、エレオノール王は戦場を見下ろしていた。

いつもは穏やかなその瞳に、今は爆炎の輝きと、破壊を撒き散らす巨像――**破滅の巨像コロッソ・オブ・ルイン**の影が映っていた。


「まさか…この塔が、こんな戦いを迎えるとはな……」

低く呟くその声には、重い覚悟が込められていた。


遥か遠く、“エクリプス”が脈打っていた。

犠牲と黒き魔力を糧に、破滅の力を蓄えている。

王は拳を握りしめた。このままでは、どれだけ耐えようと、再びあの砲撃が放たれれば、すべてが終わる。


そのとき、粉塵にまみれた鎧を着た少女――セレステが一歩前へ出た。

その紫がかった瞳には、迷いなき決意が宿っていた。


「陛下…ご提案がございます」


「言ってみよ、セレステ」


彼女が天に手をかざすと、幾つもの浮遊水晶が出現し、戦場の立体地図を描き出す。

塔、ガレオン、巨像、そして闇の砲台エクリプス――すべてがそこにあった。


「巨像はガレオンに気を取られていますが、長くは保ちません。そして、本当の脅威はエクリプスです」


重苦しい沈黙の中、彼女は続けた。


「私の持つプリズムコアの力をすべて一点に集中させ、ウェンディとアンドロイドたちの補助を得れば――

遠距離からでもエクリプスの中枢を破壊できる、“反射爆撃”を放てるかもしれません」


王は眉をひそめた。


「それは……お前自身が無事では済まぬだろう」


セレステは静かに笑った。


「ええ。でも、やらなければ皆が死にます」


そこへ、満身創痍のリュウガが現れる。彼はその言葉を聞いて頷いた。


「ならば――俺も共に行く。お前一人にはさせない」


ヴェルが弓を持ち上げ、にやりと笑う。


「おいしいとこ、独り占めはナシだぜ」


額に血を流したままのアンも頷く。


「これはもう、チーム戦でしょ?」


王は、彼ら一人ひとりを見つめた。

若い。しかし、その瞳には何よりも強い“光”があった。


「……よかろう。ダイヤモンドの塔は、全力でお前たちを支援する。

この日を、歴史に刻め――!」


セレステは目を閉じ、胸元のプリズムが共鳴する音を感じた。


「作戦開始。――コードネーム、“クリスタル”」


空は唸り、砲台は脈打ち始める。

第2撃まで、残された時間はわずかだった。

読んでいただきありがとうございます!

もしこの章を楽しんでいただけたら、ぜひ評価やコメントを残してくれると嬉しいです。

感想でも、好きなシーンでも、絵文字一つでも構いません!

本当に励みになります。ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ