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第218章 ― 日蝕の咆哮

ダイヤモンドの塔の壁が、〈破滅の巨像〉の猛攻に震えていた。

だが、その後に現れた存在は——

エレオノーレ軍の歴戦の兵士たちでさえ、青ざめさせるには十分だった。


巨像の後方、数十体の魔獣と鎖につながれた魔導師たちによって引かれ、

出現したのは、巨大な構造物——オベリスクと大砲を掛け合わせたような異形の兵器。

黒く輝くルーンがその表面を走り、

先端には、周囲の光を吸い込む漆黒のプリズムが浮かんでいた。


皇帝ヴァルセリオンが腕を掲げ、

その声が戦場全体に轟いた。


「これぞ〈エクリプス〉。イアト帝国の最終兵器なり。

その力であれば、星々さえも消え去ろう。」


その兵器の前に立ったのは、

緑と黒で刺繍された法衣を身にまとった老魔導士。

その瞳は、超常的な光で覆われており、

彼こそが帝国随一の術式管理者——“主導詠唱師”であった。


「陛下」

老魔導士は深く頭を垂れた。

「エクリプス、発射準備完了。ご命令をいただければ、塔は二つに割れましょう。」


ヴァルセリオンは、氷のような微笑みで命じる。


「撃て。世界に見せよ……真の支配者を。」


——


塔の最上層では、クリスタルのプリズムセンサーがその光景を全て捉えていた。

投影された映像には、暗黒のエネルギーを集束させる巨大砲塔の全容が映し出される。


アルウェナは一歩退き、唇を固く閉ざす。


「……あれはただの兵器じゃない。儀式だ。

一発撃つたびに、何百人もの命が消える……」


カエラン王子が剣の柄を強く握りしめる。


「撃たれれば……塔は耐えきれない!」


ヴェルがリュウガに縋るように叫ぶ。


「どうすれば……!?」


リュウガは目を閉じ、魔眼による視界で戦場を俯瞰した。

エネルギーの流れ——

エクリプスと老魔導士を繋ぐ魔力の導管が、視界に浮かび上がる。


彼は目を開き、揺るぎない声で言った。


「まだ破壊はできない……だが、遅らせることはできる。

老魔導士の魔力チャンネルを切れば、エクリプスは撃てない。」


クリスタルがすぐに情報を処理し、投影座標を更新する。


「確認完了。標的座標をマークしました。」


ウェンディが太陽の炎に包まれた槍を掲げ、前線に躍り出る。


「なら、時間はない。あの爺さん、生きてる限り撃たせない!」


——


エクリプスが震動を始める。

その黒いプリズムは、空を覆う“暗黒の月”のように光り出す。

老魔導士の詠唱は空気すら震わせ、

重く、鈍く、破滅の鼓動を刻んでいく。


帝国は、確信に満ちた咆哮を上げていた。

——そして、塔はその歴史で初めて“恐れ”を感じていた。


だがリュウガは、剣を掲げて叫ぶ。


「——全軍、エレオノーレを守りつつ突撃せよ!

老魔導士を止めろ!エクリプスが撃つ前に!!」


その瞬間、戦いはただの防衛戦ではなくなった。

“時間”との戦いが始まった。

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この物語はメキシコ出身の作者「ジャクロの魂」によって執筆されています。 お気に入り・評価・感想などいただけると、物語を続ける力になります! 応援よろしくお願いします!
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