第216章 ― 塔での再会
〈蒼天の中庭〉に刻まれた古代のルーンが輝きを放ち、エレオノーレの援軍が通信ポータルを通って次々と到着した。
重厚な騎士たちの足音、戦獣のうなり、そして規律正しく隊列を整える弓兵や魔導士たち。
すべてが、洗練された軍の威容を物語っていた。
その先頭に立つのは、白銀の鎧をまとい、まるで星のように輝く存在——カエラン王子。
そのすぐ後ろには、黒い短髪と紫の瞳を持つ軍師アルウェナ・ファルケンラスの姿があり、
その目はすでに戦場のあらゆる要素を読み取っていた。
その光景を待ちわびていたヴェルは、抑えきれない感情を抱えて駆け出した。
「兄上――!」
涙を浮かべた声が空に響く。
カエランは強く弟を抱きしめ、背をぽんぽんと叩いた。
「ヴェル……もっと会うのが遅くなると思っていたよ。
……見違えたな、まるで本物の後継者みたいだ。」
ヴェルは少しだけ離れ、目を輝かせながらうなずいた。
「兄上がいてくれるなら、怖くない。
エレオノーレがここに来てくれたなら……俺、もう大丈夫だ!」
アルウェナが近づき、静かな口調ながらも温かみを帯びた声で言った。
「成長したわね、ヴェル。
最後に会ったときは、弓の扱いもおぼつかない小僧だったのに……今は立派な戦士の顔をしている。」
ヴェルは顔を赤らめたが、真っ直ぐにうなずいた。
「今度こそ、役に立ってみせます。」
そのとき、リュウガが前へと進み出た。
真剣な表情で、塔のクリスタルが生成する立体地図を地面に投影する。
「ダイヤモンドの塔へようこそ。」
その声はぶれずに、明確だった。
「だが、感傷に浸っている暇はない。」
カエランは眉をひそめ、わずかに驚いたように返す。
「まるで……この要塞の主みたいな口ぶりだな。」
リュウガは一歩も引かず、そのまま見返す。
「主ではない。……だが、“守る者”ではある。
そして今行動を起こさねば、この塔は落ちる。」
アルウェナは投影された地図に身を屈め、
赤く点滅するマーカーを見つめながら低く言った。
「……〈破滅の巨像〉、そして皇帝本人……」
リュウガはうなずいた。
「そうだ。名はまだ分からない。だが重要なのは、
あの巨像は数時間で突破できる力を持っているということ。
いま、あれを止めている唯一の存在……それが俺たちだ。」
カエランは腕を組み、顔を険しくする。
「ならば、共に戦おう。
エレオノーレの軍は……決して後退しない。」
リュウガは全体を見渡し、声を張り上げる。
その言葉は兵士にも、アンドロイドにも、すべての仲間たちへ向けたものだった。
「今日、我々が守るのはこの塔だけじゃない。
——この壁の外に残された、“すべて”だ。」
しばしの静寂。
だがそれは、雷鳴の前の静けさだった。
次の瞬間、全軍の決意が一つの咆哮となって響いた。
そしてその遥か彼方、〈破滅の巨像〉がまた一歩、地を踏み鳴らす。
その足音は、迫る嵐の予兆のように、地平を震わせていた。
この章に心を動かされたなら、ぜひ「お気に入り」に登録し、コメントとシェアをお願いします。
あなたの応援が、この物語を生かし続ける力になります。