第200章 – 運命の一撃、審判のプリズム
クリスタルの回廊はすでに瓦礫の廊下と化していた。
壁には灼熱の亀裂が走り、空気は焼けるように震え、
その中で、四人の戦士たちはやっとの思いで立っていた。
クロは荒く息をつき、白く燃える杖をまだ握っていた。
だがふと目を伏せ、苦く微笑む。
—「もう祈るだけじゃ、足りない…
壊す時だ。」
彼女の身体が光の冠に包まれた。
服は変化し、白と金銀の荘厳なドレスとなり、
その手には月光のダイヤモンドハンマーが現れた。
山のように重く、それでいて彼女の手では羽のように軽い。
—「モード・プリンセス:紅鎖の殉教者」
セレンの目が大きく見開かれる。
—「馬鹿な……!」
クロは何も答えず、叫びとともに跳躍した。
ハンマーを頭上に掲げ、彗星の如く振り下ろす。
—「私に繋いだ鎖のすべてを――これがその代償!」
轟音。
ハンマーはセレンの腹に直撃し、
彼の聖なる鎧は粉々に砕け、悲鳴とともに吹き飛ばされた。
何メートルも転がされ、床に沈むセレン。
エルリアは目を見開き、慌てて彼のもとへ駆け寄った。
—「セレン! しっかりして!」
だがその前に、セレステが立ち上がった。
紅と金に燃えるプリズムを胸に。
—「……もう救いはないわ。」
彼女は手を広げると、無数の輝く結晶の花弁が回廊を舞い始めた。
—「プリズム共鳴・終結式:記憶の審判」
結晶の嵐が、天から降るように降り注いだ。
祈りの壁も、神の加護も、
エルリアの叫びもすべてを貫き、沈めていく。
彼女の体は光の中で花のように崩れ、白百合のように儚く倒れた。
クロはゆっくりとセレンの前に立つ。
彼はまだわずかに意識がある。
震える手で剣を取ろうとする。
クロの瞳は冷たい。
—「二度と私に鎖をつけることはできない。」
彼女はハンマーを高く掲げ――
ためらうことなく振り下ろした。
乾いた音。
それは終焉の音だった。
セレンは動かなくなり、
砕けたクリスタルの上に血が広がっていく。
セレステは膝をつき、エルリアの最期を静かに見つめた。
涙が頬を伝う。
ウェンディは、震える声で呟く。
—「これはもう戦闘じゃない……処刑だ。」
クロはそっと目を閉じ、
ハンマーを光に変えて消した。
セレステは、地に崩れ落ちるように座り込む。
—「わかってる……でも、
これしかなかった。
私たちの大切なものを、もう誰にも奪わせないために。」
静寂。
回廊には、消えかけた光と、血に濡れた結晶だけが残った。
戦いは終わった。
だが、その代償は――
この塔の終わりまで、彼女たちを追い続けるだろう。
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