第198章 ― 圧力を断つ刃
セレステとウェンディの連携、対するセレンとエルリアの猛攻。
その戦いは狂気の領域に突入していた。
塔の回廊の壁はひび割れ、
空気は火炎とプリズムの嵐となり、
一撃ごとの衝突が、水晶の嵐の中で雷鳴のように響く。
セレステは息を荒げながら、
もう一撃――怒りのダイヤモンドパンチを叩き込んだ。
セレンは剣で受け止めるも、衝撃に耐えきれず後退。
その聖剣は火花を散らし、震えていた。
エルリアは杖を掲げ、浄化の波動を放つ。
ウェンディは太陽の盾でかろうじて防ぐが、
その腕は限界寸前だった。
—「…なんてしぶといのよ!」
ウェンディは汗を滴らせながら叫ぶ。
セレステは歯を食いしばり、
胸のプリズムが振動していた。
—「たとえ砕けても、私は退かない!
この光は折れない!」
その瞬間、静かだが強い声が廊下の奥から響いた。
—「なら、君ひとりで砕けなくていい。
…その重さ、少しは私にも背負わせて。」
クロが現れた。
白銀の衣装を身にまとい、
**“白のプリンセス”**の姿で、杖を高く掲げる。
彼女の足元に純白の魔法陣が広がり、
その光が回廊を照らした。
—「アルス・ルクス:千星の嘆き(ラメント)」
天井の水晶から、星のような光の弾幕が降り注ぐ。
セレンとエルリアは、とっさに全力で防御を展開。
セレステは目を見開いた。
—「クロ…?」
彼女は静かに微笑む。
—「助けを受け入れるのは、弱さじゃない。
それが、私たちが**“仲間”**である証。」
ウェンディは深く息を吸い、槍を掲げた。
—「なら、3人で本気を見せてやる!」
戦場はさらに激しさを増す。
セレンは、聖剣を最大限に解放し、
幻想と防壁を貫く一閃を放つ。
エルリアは、かすれた声で祈りを続けながら、
聖なる障壁で仲間を守る。
セレステは、感情の限界から、灼熱の水晶を放ち、
ウェンディは、燃え盛る太陽の炎を回廊全体に拡げた。
クロは、眩い白光の加護で全員を包み込み、
その輝きは敵の視界を封じ、味方だけを導く。
まるで、砕けた空に星が舞う世界。
その一撃一撃が、新たな星の誕生と死のようだった。
同じ頃――
塔の核心部で、リュウガは全てを見ていた。
その視界に、戦場が、力の流れが、敵の再集結が映る。
—「…彼女たちは、まだ持ちこたえられる。」
だが、彼の目はさらに遠くを見る。
イアト帝国の新たな部隊が動き出し、
東から迫る異形の波動も、刻一刻と近づいている。
リュウガは拳を握る。
—「今、誰をどこに使うかで――
この塔が“希望”になるか、“墓”になるかが決まる…。」
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